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バジーノイズ【漫画】【レビュー】

「音は『空気』であり『光』である」

それが今作「バジーノイズ」の「音」の表現だ。

世の中に音楽漫画は沢山ある。「音」という、紙からは絶対に出てこないものをどう表現するか?ということが、その音楽漫画の質を決めると言っても良いだろう。

そして今作「バジーノイズ」では、音は「空気」であり「流れる光」として表される。音が流れるその「空間」自体を切り取り、魅せる。
それはまるで、数多の灯籠が流れる夜景の様。幻想的で澄み切った空気そのものを描く。

これがこの漫画の大いなる強みだ。

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(『バジーノイズ』第1巻より引用)

「誰それに似ている」

という表現はあまり良くないかとは思うけれど、そんな表現を使うならば『魚喃キリコ』さんの絵に似ていると思う。
もっとキャッチーだけれど、白と黒のコントラストのはっきりしたイラストはとてもスタイリッシュで、洗練されている。

そしてこの漫画は「バンド」から始まらない。

バンドの夢に敗れた少年が、パソコンで音楽を作り出すようになり、そこから生み出された音が周りを引き寄せる。
そんな良くも悪くも泥臭さのない、スッキリした切り口が現代風。

そして作中、SNSを通して浸透する音楽。SNSに対するスタンス。そんな今音楽をやっている若者が直面する問題が、みずみずしさを助長する。
また一巻には「tofubeats」二巻には「cero」と言った、今をときめくくアーティストの実名が出てきたりするのもニクい演出だ。

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(『バジーノイズ』第1巻より引用)

まだ2巻が出たばかり。

話の進み方はまだわからないけれど、普通にバンドで成り上がる様な話になって欲しくない。音楽を通じ、生み出される空気。それ自体を感じることができる、そんな「音楽漫画」であってほしい。

そんな音楽漫画でありながら、その「空気」こそ楽しむべき漫画。

あなたがもし、音楽を好きじゃなくとも、漫画を好きじゃなくても、あなたの本棚にきらびやかな色合い添えることが出来る作品。

それがこの「バジーノイズ」。

ツバをつけるなら今のうちです。


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