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どこにもひらかない

「お嬢さん、どこへ行くの」
「パンが食べたいの」
「その包丁はどうしたの」
「弟を探しているの」
「髪の毛は、どうしたの」
「笑ったら伸びてくるの」
「僕もお供していいかな」
「目を閉じてくれるなら」

「ここは砂だらけだね」
「林檎は育たないの」
「やたら瓶が落ちてる」
「誰かがそこにいるの」
「焦げた鍋がそこら中にあるな」
「スープはおなかに入らないの」
「人参が少しだけある」
「苦いものは嫌いなの」

「なかなか甘いね」
「血がでてきたの」
「胡椒を持ってくればよかった」
「塩ならたくさん持ってきたの」
「鵞鳥もいればよかったのにな」
「眠たくなるからやめておくの」
「しまった、そろそろ朝になる」
「蜘蛛が落ちたらおしまいなの」

「やれやれすっかり埃まみれだ」
「痛くなったら、爪をかじるの」
「綺麗な包帯は無いんだろうか」
「魚が泳いだら泣いてもらうの」
「スーツを新調しなくてはね」
「金になったらさわりたいの」
「僕は、どこまで来たんだっけ」
「ここが果てになるのを待つの」

「お嬢さん、どこへ行くの」
「おなかが空くから走らないの」
「お嬢さん、どこに行くの」
「訳が無いから踏んでしまうの」
「世界が焼けたら散歩をしよう」
「わたしはどこにも開かないの」
「南の果実でも食べればいいよ」
「笑わなければいてくれるの?」
「ずっとそのつもりでいるよ」

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