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Talk alone 『最善手ドリル』★2★

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こんにちは! 藍澤誠です。

今日のドリルは判断力を磨くドリルです。

◎1日1問出題で、問題は全部で20問あります。

◎最善手は1つです。

◎14問以上正答の方は、塾を今すぐ始めるべきです!

【問題2】

体験授業に来た子(中1男子たっくん)が、「こんにちは」以外、10分間ぜんぜんしゃべりません。あなたがとるべき行動はどれでしょう?

①無言の理由を、やさしい口調で聞いてあげる。
②自分もしゃべらず、無言の空間を作り出す。
③しゃべらないことは気にしないで、授業をする。

制限時間30秒

【解説と解答】

判断にマヨったら、「他の仕事に置き換えて考える」というテクニックで、かんたんに答えが導けることがあります。

塾の先生の仕事はなんでしょう。もちろん「授業をする」ことです。それを別の仕事、たとえば「野球をプレーする選手」に置き換えて考えてみましょう。


今回の状況は、野球で言えば、お客さんが無言。つまり応援してくれない。そのとき選手はどのように対処すべきか。

①応援してくれない理由を客に聞く=あきらかに×
②自分もプレーしない=あきらかに×
③応援されないことは気にしないでプレー=◎

「言葉のキャッチボール」があると円滑に、楽しく授業が進む。生徒がノリノリだとこちらも楽しい。ただ「生徒がしゃべること」は、授業の「必要条件」というわけではない。無言で授業が進むことが「ほぼない」だけで、そういう事態が「あってもいい」。

たしかに完全に無言だと、やりにくい。だが、やりにくい、というのは自分がやりにくいだけのこと。気にしないで「そういえば自分だけしゃべってるね」くらいの勢いで、楽しい授業を心がけるのが最善手だ。

最善手:③しゃべらないことは気にしないで授業をする。

◎実戦の棋譜を見てみよう

たっくんの場合、どうやら極度に緊張していたようです。
ただ体験授業開始20分後ぐらいに、事態が激変しました。英文の中に『HOME ALONE』という単語が出てきたのです。昔、流行った映画で、留守番で家に取り残された男の子が、家にやってくる悪いヤツらを、子どもらしいアイデアでとことん撃退するという痛快な映画です。

彼はその単語を見るや、それまでの無言がウソのように、怒涛のトークを開始しました。『HOME ALONE3』のあらすじを、最初の空港の場面から、30分間くらい、ずーっと話し続けたのです。主人公のアレックスの名前はもちろん、「ヘスさん」という隣人の行動や、さまざまな「罠」の仕組みとその効果について、今、目の前で映画を観ているかのように、具体的に話してくれました。私は「すごーい」とか「へぇ」と合いの手を入れるだけでした。最後は彼、疲れ果てて

「今度、ビデオ貸しますね」

と言ってくれました。さんざんもうネタバレしちゃったのに。

映画をまるまる、全部記憶しちゃうほど夢中になれるたっくん。
彼はトークの途中で

「あ、ごめんなさい。さっき1つ言い忘れたんですけど」

と言って、罠の説明を付け加えたりしてました。

中1のたっくんは単語テストで、100問中正解2問だったんです……という状況で入ってきたのに、中2のときには100問中100問正解、満点を取るというミラクルも見せてくれました。これは一瞬の成長ではなく一年がかりのプロジェクトでした。さらに、かわいいのは、彼は「そのときに勉強したプリント」を、中3の卒業までずっと筆箱に入れていたのです。

もし面談のとき、しゃべらないたっくんに対し、別の選択肢を取っていたらどうなったでしょう。もう1つの選択はもう取れないのでわかりません。ただ、テキストの『HOME ALONE』のところまで辿り着けて良かったです。

私が無言の相手に話していた20分という長さは、「沈黙されている」と考えると辛いですが、「この人は敵じゃない!」という情報を伝えるのには十分な長さでした。

★3★へつづく

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