3タイトル

無限!『最善手ドリル』★3★

最初からトライ / ★2★に戻る 

こんにちは! 藍澤誠です。ここまでウォーミングアップ1題と問題2題、ぜんぶ正解できましたか? 「もう2問間違えちゃったよー」という人、慌てなくて大丈夫。あと18問もあります。書く側としては、少々気が遠のいてます。まだすべてチャレンジしていない方は、上のリンクからぜひどうぞ! 

◎1日1問出題ペースで、問題は全部で20問あります。
◎最善手は1つです。
◎14問以上正解の方は、塾を今すぐ始めるべきです!

【問題】

2日間にわたって体験授業をした女の子(高3女子)が「わたしには受験ムリだってことが先生のおかげでわかりました」とニッコリ笑って、入塾を断ってきました。さて、あなたならどうしますか?

①「別の道がんばってね!」と送り出す。
②「まだスタートラインだよ。頑張ろう!」と励ます。
③「そんな甘い考えだと何やってもムリ」と叱る。

制限時間2分

◎解説と解答

「来るものは拒まず」は難しいが、「去る者は追わず」は実践できる。

「体験をしたけれど断られる」「辞めさせたいと親が言い出す」「前触れも連絡もなしに、ある日突然、来なくなる」「受験前に他塾に移られる」「友達が入っている塾の方にする」

こうしたケースは、絶対に避けられない。

むしろ、いつでも

「今日がこの子とする最後の授業かもしれない」

と覚悟し、「心の準備」と「システム設計」をしておいた方がいい。心の準備としては、上記の事態が発生しても、やみくもに自己否定をしない。「プライドが傷つく」みたいな発想はかなりマイナス。システム設計としては、いつも数人の空きが出ることを前提に、「空きが出来たら声をかけるリスト」(10人くらい)を作っておく等が考えられる。

とくに「辞められる=収入ダウン」と考えると、「辞めて欲しくない」という気持に傾いてしまう。これは明らかに双方にとって不健全。「辞められる=別の可能性が生まれる」ととらえたい。

以上のことから判断すると、考えるまでもなく【①「別の道がんばってね!」と送り出す】の一択だ。【②「まだスタートラインだよ。頑張ろう!」と励ます】は、ぐっとこらえて却下。スタート直後であろうが、ゴール直前であろうが、「去るものは追わず」という選択肢を貫こう。「去るものは追わず」のスタイルは、「去られる前にベストを尽くしておく」というスタイルに磨きをかけることにつながるのだから。

【③「そんな甘い考えだと何やってもムリ」と叱る。】については、「去るものは追わず」と共に、「捨てゼリフを吐かない」(ケンカ別れをしない)という大切なルールも併せて覚えておきたい。

「捨てゼリフ」を吐いた瞬間、多くの可能性が消えてしまう。その人がまた戻って来る可能性を閉ざしてしまうばかりでなく、辞めたその人が属しているコミュニティー(兄弟・友達・部活・学校)とのつながりも悪化する。

最善手:①「別の道がんばってね!」と送り出す。

◎実戦での棋譜

「わたしには受験ムリだってことが先生のおかげでわかりました」

このセリフは、開塾してから間もない頃に言われたものでした。
つまり、スタートアップ直後、まだ生徒数も収入も少なく「とにかく入って欲しい」という気持で一杯でした。

しかし「去るものは追わず」というコンセプトは、独立するにあたって、一番最初に決めたルールでした。ですから、そのまま「そっか、じゃあ、頑張ってね!」と言って、その子と別れました。落ち込まなかったはずはありません

ところが——

数日後、その子のお母さんから電話がありました。

「娘がお世話になりました。娘が言うには、お兄ちゃんならきっと気が合うと思うということなので、上の子を面倒みていただけないでしょうか」


ま さ か の 展 開 


お兄ちゃんは大学に入っていたものの、「サッカーの実況をやりたい」という夢が出来たらしく、その大学を辞め、別の大学に行きたいのだが、小、中、高、大と受験なしの一貫校だったため、受験勉強をどうやったらいいのかわからない。そこでぜひ見てやって欲しい。大学受験できそうなら、今の大学を辞める——とのことでした。お兄ちゃんと気が合うと思う、と妹が判断した理由は、たぶん、私の部屋にサッカー雑誌がたくさんあったからでしょう。

会ってみると、一発で意気投合。しかも、大学に払う予定だった授業料はぜんぶ塾に充てるつもりなので、「授業時間は本人が希望するだけ、授業料は気にしないで無限にやって欲しい」とのこと。


無 限 ! !


絶対、志望校に合格させなくちゃならないプレッシャー。そして、まったくゼロからの大学受験勉強スタートということで、相当大変でしたが、無事合格をアシストすることができました。そして合格したお祝いに、出来たばかりの東京スタジアム(現:味の素スタジアム)のお披露目見学会に行って、近くのレストランで食事をしました。妹の「受験ムリ」発言から、こんな展開になるとは予想できなかった。

その後も、このコンセプト

「去る者は追わず」
「去られる前にベストを尽くす」
「捨てゼリフは吐かない」

に何度救われたことでしょう。この『最善手ドリル』が、新規事業のスタートアップを考えている方の参考になればうれしいです。ぜひ、無限の可能性を信じて、最善手を指してください。

★4★へすすむ


読後📗あなたにプチミラクルが起きますように🙏 定額マガジンの読者も募集中です🚩