【24時間TV】「安い感動(笑い)」が地球を救う?岡田斗司夫氏の主張をめぐって~第1回~
■シリーズ概要
この記事は、全4回にわたるシリーズの第1回目である。
本シリーズでは、毎年夏に放送される「24時間テレビ」と、NHKの「バリバラ」の対立を中心に、感動ポルノと呼ばれる問題に焦点を当てる。
さらに、岡田斗司夫氏の主張を通して、現代のメディアがどのように障害者を描き、視聴者にどのような影響を与えているのかを考える。
そして最後に、24時間テレビに投げかけられた問題の論点は何なのかを明らかにし、今後の障害者に関するメディアのあり方を提示したい。
1. 24時間テレビとバリバラ
1.1 24時間テレビ
「24時間テレビ 愛は地球を救うかも?」は、1978年開始の日テレ系で放映されるチャリティ番組である。
この番組は、「愛」をテーマに、障害者や病気と闘う人々、災害被災者の支援、地球環境保護など、さまざまな社会問題に対して寄付金をつのることを目的としている。
長時間にわたる生放送で、芸能人や著名人が出演し、チャリティーイベントが開催され、感動的なドキュメンタリーが紹介される。
特に有名なのは、毎年、著名人が挑戦する「チャリティマラソン」であり、番組の目玉企画の一つだ。
大変な距離を走り切る姿を通じて視聴者に感動を与え、寄付を呼びかける。このマラソンは年々注目を集め、走者が誰になるのか、放送前から話題となるほどだ。
1.2 バリバラ
「バリバラ」(正式名称は『バリバラ〜障害者情報バラエティー〜』)は、NHKが放送しているバラエティ番組である。
障害者に関する情報や問題を、ユーモアや批判的な視点を交えながら紹介する、社会的メッセージ性の強い番組である。
「バリバラ」は、障害を扱う際のステレオタイプや感動ポルノに対して批判的な立場をとっており、感動や同情ではなく、障害者が直面する社会的な課題に焦点を当てた内容を提供している。
時は2016年、そのような志向を持つバリバラは「笑いは地球を救う」という特番を放送した。この特番は、ちょうど「24時間テレビ」が放映されている裏で行われ、24時間テレビのあり方を風刺的に批判した。
「24時間テレビ」が障害者や病気と闘う人々を感動の対象として描く一方で、「バリバラ」はそのような感動ポルノ的な描写に異を唱え、「笑い」を通じて障害者を別の視点から捉える試みを行ったのである。
「笑いは地球を救う」は、感動に依存せず、ユーモアを通して社会問題に切り込み、障害者を特別視せずに描くという新たな視点を示した。
これにより、感動だけではなく、障害者の多様な側面を理解することができるようになるというメッセージが込められていた。
第1回目のまとめ
第1回目では、「24時間テレビ」と「バリバラ」の違いを整理し、それぞれが障害者をどのように描いているかを紹介した。
次回は、岡田斗司夫氏が展開する「感動の質」に関する主張にに焦点を当て、その理論を詳しくみていこう。
岡田氏の主張は、本当に問題の本質を捉えているのか。第2回ではその論点をさらに掘り下げていきたい。
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