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25-1.パトロンさんとの出会い①


僕はその日もKさんと居酒屋に行き、それから数軒ゲイバーをはしごしていました。

「そろそろ慣れてきた?たまには濃い店にも行ってみようか?(笑)」

Kさんの提案で行くことになったのはいわゆる熊っぽい人が集まるお店。毛が濃い、髪型は角刈り、男らしい人が集う出会いの場。この手のお店はおよそママ(オジサン)の姿で〇〇専が決まります。

扉を開けてカランカランというドアベルの音が鳴ると、「いらっしゃいませぇ〜」と声が聞こえてきました。どんな人がいるのかちょっとワクワクしていた僕は、中に入ると少し拍子抜けしてしまいました。

この時は割と普通のサラリーマン風のオジサン、細身のお兄さん、ママだけが体のゴツい熊みたいな人でした。

僕たちは真ん中に近い席にいたサラリーマンのオジサンの横に案内されて、オジサン、僕、Kさんが並んで座っていました。

お店にいる人たちはみんな面白くて、初めて会うはずなのにそれぞれの話を聞いてみんなで笑ったり、歌ったりしてとても楽しい雰囲気でした。

その時…カウンターの下で僕の足を触る手。そして、隣のオジサンが耳元でこう言いました。

「君可愛いね…良かったら今度デートしない?美味しいもの食べに連れてってあげるよ。」

少し驚いて、僕はKさんの方を見ました。Kさんは何が起きてるか分かっているようで、「たいが嫌じゃなかったら行ってみたら?(笑)」と言いました。少し悩んだけど、Kさんがそんなこと言うなら…とちょっと拗ねながら『僕なんかでいいんですか?』と聞きました。

オジサンは「君みたいな可愛い子が遊んでくらるなら大歓迎だよ」と言ってくれました。なんか悪い気はしなくて『じゃあお願いします。僕はたいって言います。お兄さんは…?』と聞くと、「Oだよ。たいくんの電話番号聞いてもいいかな?何か好きな食べ物とかある?」

…Oさんとはメールでまた連絡を取り合うことになりました。ママは「やだぁ〜ナンパ?Oさん若い子でもイケるのね〜(笑)」なんて言いながら、楽しそうに見ていました。

その後もう少しお酒を飲んで、僕もKさんも眠くなったので店を出ることにしました。帰り道、Kさんに『知らない人と2人で会うのはちょっと怖いです…』と言うと、「あのお兄さん、そこそこいいところで働いてると思うし、悪いことはして来ないと思うよ(笑)」といつものように笑っていました。そして「美味しいもの食べて、もしかしたら何か買ってくれるかもしれないし、まぁそういう付き合いも経験してみたらいいんじゃない?(笑)」と言われ、『そういうものなのかなぁ…』と思いながらその日はKさんの家に帰りました。


僕はお気持ちだけでも十分嬉しいのです。読んでくださってありがとうございます🥰