2020/08/24 おいしそうに書きたい
宮下奈都さんの書く、食べ物が好きだ。
初めて出会ったのは、『太陽のパスタ、豆のスープ』。突然、婚約破棄された主人公。一人暮らしを始め、高級な鍋を買って、ぎこちないながらも料理を作って食べる。その料理のおいしそうなこと。
最近読み返しているのは、『とりあえずウミガメのスープを仕込もう』。これは完全に食べ物の話ばかりのエッセイ集。ページをめくるだけでお腹も心も満たされる。
宮下さんの本を読んでいると、なぜか、よく豆が出てくる。豆好きなのかもしれない。
大きな鍋で豆をコトコト煮る。
蓋を開けると、ふわっと豆のにおいが広がって、つやつやの豆がぎっしりつまっているのが見える。
いや、匂っても見てもいないけど、確かにそこにあるように感じる。月並みだけど、本当にそうなのだ。
そういえば子どものころから、物語に出てくるおいしそうに描かれたものが好きだった。
児童書で料理物といえば「こまったさん」「わかったさん」。でも、わたしが好きだったのは王道とは少し外れて「大どろぼうシリーズ」だった。
アイスクリーム屋さんに盗みに入ったどろぼうが、興味本位で機械を動かし、いろんなアイスを作ってしまう。砕いたおせんべいを混ぜこんだ「せんべいアイス」がおいしそうで忘れられない。せんべいの塩気がアイスの甘さを引き立てているんだろう。子どもながらに想像して心の涎を垂らしていた。
確か、ドーナツ屋さんのどろぼうもいたはずだ。あの本を読んで初めて、ドーナツは油で揚げて作っていることを知った。
食べ物をおいしそうに書けるようになりたい。
また一つ、夢が増えた。
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