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尊い愛を振り返る2

お母様が出ると、慌てて、彼に代わってくれた。彼が出ると、私は電話越しにわんわん泣いてしまった。
会いに行こうとしたのに行けなかったこと、明日でもう会えなくなることが辛いこと、ワンピースがゲロだらけになってしまったこと。

まだ、彼は高校生だったのに、運転免許もとったばかりなのに、迎えにいくから待ってて、と言ってくれて、私を彼の実家まで連れて来てくれた。ご両親もおばあ様も妹さんも、こんな夜中にヨレヨレになって泣き崩れている私を暖かく迎えてくれた。
仏間に大きな座卓があり、両脇に離れてきちんとした布団が敷かれてあって、ありがたいやら泣けてくるやら。
その夜は、2人で寝落ちするまで思いっきり話して眠りについた。


翌朝、ご家族が成田空港まで見送る為に集合していた時に、挨拶する恥ずかしさと言ったら、今でもよく覚えている。

私は大学があるので、千葉駅で別れることになり、直前までふざけあっていたが、いよいよ電車が出る時、緊張感が走った。私が泣きだすと彼も涙が溢れ、2人でホームで抱き合っておいおい泣いた。どうして行かなくちゃ行けないの?どうして行くんだどう?と。

子供だった私たちにはどうしようもなかった。

手紙読んでくれたの?と聞かれ、私は彼が数日前、私宛に自宅に送ってくれた手紙の存在をはじめて知った。知らない。じゃあ、帰ったら読んで。と言われ、うんうん、と何度も言いながら、電車は出て行った。

しばらく泣いて、大学に行った私は始終ぼーっとして、夕方、帰宅した。昨夜、帰らなかったことに母から散々叱られたが心はここになく、先ほどポストにあった彼からの手紙を早く2階の自室に行って読みたくてたまらなかった。

そこには、私たちが出会えたことの感謝、初めて自己開示できた特別な体験、私への気持ちが書かれていた。どうしても行かなくては行けないこと。私が行けということに対して、努力すると。最後に会いたいけど、勇気がないので手紙を書いたことが綴られていた。読んでから、泣いて泣いて、これまでこれほど泣いたことがないという程に泣いて。私たちの出会いは終わった。

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