見出し画像

分断を超えたつながり、支え合い

つながることを諦めない。つながりたい人とつながる。私たちはつながれる。

そんなことを確かめたくて、今、動き始めている。


社会が気付いているのにそのままになっている

社会からの当たり前のような「お母さんが頑張ればいい」、祖父母世代からの「私が頑張ったから、あなたもやれるでしょ」、パートナーからの「俺は仕事を頑張っているんだから、家のことは頼む」というプレッシャー。

おぉ、多世代同居よりも核家族が増えて、近所づきあいもままならない今の時代、お母さんだけでできることって、どれだけあるんだろう。

「親なんだから子どものことを自分で責任を負うのは当たり前」という有無を言わせない誤解。

うむ、うむ・・・まぁ、できることはもちろんやるけど、1人の人生のすべてに責任を取るのは難しいし、「親だから」の前に、この少子化時代に、貴重な社会の担い手を育てているんだよね? 

それって、社会の理解や支えなくして成り立つことなんだろうか。親に全責任を押し付けるのは違うんじゃないかと思えてならない。

お母さんの悲鳴が、ようやく「産後うつ」として認知されるようになってきた。実は「児童虐待」という形で、親の悲鳴はずっと前から顕在化していたのだけど、世間の受け取り方はまだまだ「親が悪い」の一択になりがちだ。

「お母さんがやればいい」が、いつの間にか「お母さんだけがやればいい」になっていないか。コロナ禍で集まれず、緊急事態宣言で公共施設もずっと閉まっていて、行き場ないけれど自宅は出たくて、商業施設のフードコートで過ごしているお母さんたちもいると聞く。

それは時に「すごくつらいんだ」って言っていいし、誰かを頼っていい。親が1人で頑張ろうとすることが、子どもたちの孤独な闘い(いじめとか、不登校とか、拒食症とか…)を生んでいる一因のような気もしている。大人が他人と頼り合い助け合っていたら、子どもも他人をうまく頼るようになると感じる。依存ではなく自律的な相互支援。

大事だとみんな知っている。社会は問題に気づいている。でも見て見ぬふりをしている。自分には何もできないと感じている。

誰でもできることー関心を持ち、意見を表すこと

でも、社会はつながっている。誰かの不安やリスクは、明日の自分や家族の不安やリスクになるかもしれない。

だから、誰もが赤ちゃん、子どもから人生を出発したのだから、赤ちゃん、子どもを育てる家庭を応援する社会にしたい。しゃかいみんなで子育てをするには、まず地域の支援者や医療機関が手を携えることで、産後うつも児童虐待も減らすきっかけを作りたい。

でもね、悲しいかな、この分野って、本当にお金が発生しづらい。

誰しも目の前の課題に精いっぱいになるから、仕方のない一面もある。妊娠・出産は一時的な体験で、その後の子育てや仕事のことに追われて、「黄金の可愛い時期」「大変な地獄の時期」はあっという間に記憶の彼方へーー

そこで、まずは、ただ想像してほしい。

自分の子はまた親になるかもしれない。その子が親になりたいと思ったときに、どんな環境があったら、親として安心してスタートできるだろう。

自分が子を持たなくても、老後を支えてくれるのは若い世代だ。人はたった1人では生きていけない。その若い世代が、子を産みたい、子を持ちたいと思えない社会は衰退していくしかない。子を産みたい、子を持ちたいと思ったときに、それが選択できる社会を残していくことは必要じゃないだろうか。

子を持たない大人にも、親体験をしてほしい。赤ちゃんの無条件の可愛さは人を癒すし、一方で可愛いだけじゃない、泣いて大変、抱っこを迫られてつらい親には、泣いて大変だねーと共感してくれる大人、ちょっと抱っこをしてくれる大人がいてくれるだけで「生きててよかった」とほっと安堵する瞬間がある。

子育ては大人も成長する。大人も完ぺきじゃないとの自覚を突き付けられる。大人も子どもと一緒に気づき、学んでいくことができる。そこには親かどうかは関係なくて、先生も、地域の大人も、みんな同じ。

誰にでもできること。それは関心を持って、意見を表すこと。

どんな声でもいい。「よくわからない」「もっと知りたい」そんな些細な指摘でもいい。みんな赤ちゃんから人生を始めたなら、すべての赤ちゃんが幸福のもとに人生をスタートするチャンスがあっていい。そんな平等なんてありえないかもしれないけれど、理想を願い、追いかけることをやめたら、現実の改善なんて、少しも望めない。

つながることは世界を広げること

つながると、自分とは異なる人との交流が始まる。つながると、異なる視点に目を見開かれたり、共感や感動で心揺さぶられたりすることがある。

端的に言って、1人でいるときより、ずっと世界が広がる。

だから、親として第2の人生をスタートする妊娠・出産の時期にこそ、人とつながること、世界とつながることを支援する仕組みが大切になる。

助産師さんが妊娠中や出産、産後に妊産婦さんをケアするように、お母さんたちや各家庭のそれぞれの事情に沿って(個別的)、

人本来が持つ産む力、生まれる力、生きる力を尊重して(生理的)、

妊娠前後から産後の子育てまでずーっと相談できる(継続的)、

そんな支援の輪が地域社会の中で生まれるように、

助産宿(じょさんじゅく)」という任意団体で、2020年夏から、半年ほど活動をしている。

4月からの2021年度スタートと同時に、会員登録制度も始めてみようとチャレンジしている。

この春、やってみたいこと。それはコロナ禍でも、社会の価値観が多様になっても、それでも、「子育て世代につながることは大切だし、子育てを真ん中に、子育てに直結する人も直接は無関係な人も、つながることは大事だし、つながっていきたい」と声を大にして、この地に足を踏ん張って、叫んでみること。

会員募集 投稿用

助産師、看護師、保育士、理学療法士、管理栄養士、産後ドゥーラ、産前産後セラピストが集う助産宿だから、できることがたくさんある。

毎月1回、Zoomでお話会を開催している。3月は離乳食期の姿勢と栄養をテーマに、理学療法士と管理栄養士がタッグを組んで、自治体の離乳食講座ではなかなか聞けない、マタニティ雑誌でもあまり取り上げられない、興味深い内容をお届けした。

「ハイハイがうまくできない」と悩むお母さん。かかりつけ医に「経過観察ですね」と言われて不安だったけど、助産宿のつながりで、現時点でわかる特徴や、家でできる遊びの工夫などをお伝えしたら、とても喜んでいただけた。

2月には支援者向けのおんぶと抱っこのオンライン講座を開催して、大いに盛り上がった。今後もさまざまなつながりで支援者の支援も充実させていきたい。産科・婦人科・産婦人科の医院のサポートもしていけたらいいなと妄想している。

まだ小さな団体だから、やり方やアプローチもどんどん変わってくるだろう。それでも良ければ。つながってもらえれば。つながることで地域のお母さんたちの支えになれたら。この春にやりたいこと、それはつながりを諦めず、つながりを信じて、つながりを発信し続けること、つながりを広げること。

安心して産み育てやすい社会を作るため、また社会全体で子育てを支援する仕組みを作るため、サポートいただけると嬉しいです。いただいたサポートは、あいのちの活動で使わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。