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動物との恋愛

動物との恋愛の話題に入る前に大学助教の西條玲奈氏の論文について見てみよう。

 ❶ロボットとの恋愛

 西條氏はロボットとの恋愛について研究発表している。

 (1)愛の能力説

 これは愛情の対象は能力を多く持つ方がよいという立場である。
 人はロボットと違い、意志、意識、欲求を持つ。

 ①愛の価値は相互理解の過程にあり、人と人との関係に於いてこそ、固有の価値を見出すことができる。

 ②また、両想いの方が満足度が高いとする幸福度を重視する考えもある。

 ③人間は人間に類似したものに親密な感情を持つという傾向もあるだろう。

 (2)愛の関係説

 この説によれば、愛の価値や幸福は関係性のあり方によって決定される。

 ①意志、意識、欲求はなくてもよい、もしくはない方がよい。相手の本心を探る努力をしなくてよいので、気が楽だ。かえって幸福だという場合もありうる。さらに、ある能力がないという点から愛の成立を否定することは、障がい者差別に繋がるかもしれない。同性愛差別にも関係してくるだろう。

 ②一方的だというのは対ロボットと対人間との関係の相違を指摘しているに過ぎず、満足度が低く見えるのは社会でノーマルとされる恋愛とは異なることからくる偏見の可能性がある。

 ③また人間が人間以外の存在に愛情を持ったとしても、一般論で個別の愛の関係を否定すべきでない。


 ❷動物との恋愛

西條氏の主張を動物に適用してみよう。

①以前、動物園の飼育員の人がゴリラは見物客に一目惚れすることがあるという事実を語ったnoteを書いた。霊長類の場合、人間と動物との両想いは可能である。
 霊長類以外では困難であろうが、ロボットと違い、動物には意志、意識、欲求がある。相互理解によって、愛情を深化させることはできるだろう。

②愛情が深化したとしても、恋愛とは違うという批判はされるだろうが、愛は障害が大きいほど燃え上がるという言葉もある。

③世の中には人間嫌いの人もいる。人間の方が親密さを感じるとは限らない。動物の方がいいという人もいるだろう。

 

古典や昔話には異類婚姻の話が出てくるが、あれは単なる創作ではないケースもあるかもしれない。動物とそういう関係を結んだという場合もあった可能性がある。


人間と動物との恋愛には困難が付きまとうが、多様性を尊重するなら、いたずらに排除すべきでなく、可能性のひとつとして認めるべきであろう。

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