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【インスパイア小説】貴方解剖純愛歌~死ね~

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2021年2月の記事一覧

貴方解剖純愛歌~死ね~#21(最終話)【インスパイア小説】

貴方解剖純愛歌~死ね~#21(最終話)【インスパイア小説】

僕はスマホのアラームの音で目を覚ました。ベッドが硬かったのか枕の高さが合っていなかったのか、首や腰が痛い。

少しかび臭い部屋の匂いを入れ変えたくて、窓を開け放ち新鮮な空気を部屋へ入れた。もう11月にも関わらず、Tシャツで丁度いい気持ちの良い風が、体を通り過ぎた。雲一つない晴天にのぞく太陽の光は、皮膚に当たると日本の夏を感じさせた。
 
着替えを済ませ遅い朝食を摂るために街に出た。黄色や青、ピンク

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貴方解剖純愛歌~死ね~#20【インスパイア小説】

貴方解剖純愛歌~死ね~#20【インスパイア小説】

店を出てすぐタクシーを捕まえて、陽葵の自宅へと急ぐ。陽葵が遠くへ行ってしまう。初めてそのことを意識した。嫌だ。このまま会えなくなるなんて。

僕は気づくのがいつも遅い。失ってから初めてその大切さに気づかされる。僕はずっと手にしたままだった手紙に視線を落とした。封を開ける。シンプルな便せんにはびっしりと陽葵の手書きの文章が書かれていた。

               * * *

蒼へ
こんなふう

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貴方解剖純愛歌~死ね~#19【インスパイア小説】

貴方解剖純愛歌~死ね~#19【インスパイア小説】

僕は眠れぬ夜を過ごしそのまま朝を迎え、訳が分からないまま病院へと急いだ。

何で急に?あんなに楽しみにしていたのに。考えられるのはやはり容態が急変したということだけだった。遊園地で陽葵が倒れた時のことをまた思い出す。

病院に着くと陽葵の病室へ直行した。だが、部屋は綺麗に整理され、陽葵はそこにいなかった。僕は部屋を出て受付へ駆けこんだ。
「すみません、山井陽葵さんは病室を移動されたんでしょうか?」

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