枯れ葉とPERFECT DAYS-余白のある映画をともに観る面白さ
映画 枯れ葉を観た。
キャッチコピーに、いい意味で裏切られたような。愛ではなく、衝動的な気持ちが湧いてくるような恋の話だった。
先を見据えた行動ではなく、今流れる風に身を任せる。湧いてくる相手への感情のまま、探し、会い、話す。
特別な出来事なんてないけど、それでもいい。
ただ会いたいし、同じ時間を過ごしたい。
大人になってからしづらそうな恋だなあ。そしてそれを続けるためにはそれ以上のことがきっと必要になってくるだろな。
枯れ葉というタイトルに込めた意味は、エンドロールの歌詞"色づいた葉も枯れて風に飛ばされていく"に集約されていると感じた。
枯れ葉になるまでの刹那を切り取っている映画だった。
あの2人はあのあとうまくいったのか...風に飛ばされてしまうのかもしれないという予感を持ってしまう。
国による表現の違いも面白かった。
日本は表情で感情を伝えるけれど、北欧の人は表情をあまり変えない。表情で伝えるのではなく、それ以外の間合い、数少ない淡々とした台詞から解釈を委ねられていた。
わかりづらいけど、彼らの中にも心の揺らぎが生まれていて、それぞれにしかわからない寂しさや喜びがある。PERFECT DAYSの後に見ると解釈がかなり増す。
PERFECT DAYSもそうだけど、余白のある映画は、登場人物の設定の幅が広く保たれ、"ん、これどういう意味だ?"の背景に対して解釈が富むからめちゃくちゃおもしろい。物語の余白から想像し、考えるものが人によって全然違ったりするから、誰かと観て語ると、考えが拡大して楽しい。
わかりやすい物語が好きで、フランス映画は毎度寝てしまうと話していた友達と行った。
静かで起伏が少なく、伝えたいことがわかりやすくはない映画に心配になったけど、台詞がシュールだったのと、これが北欧ではウケるのか?なぜだ?というカルチャーショックがハマったらしく、後半は笑いを堪えながら見ていたらしい。
1人で見ていたら、そんなカルチャーショックはなかったので、伝えたかったことはなんだったんだろう、と穏やかに考えながら帰っていたのだろう。
"なんだったんだあれは"とポップなパニックになりながら、楽しそうに衝撃を話し続ける彼との差がとても面白く、自分だったら持たなかった疑問を一緒に考え、ハッとし合えたのがうれしく、笑いが止まらない帰り道だった。
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