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2023年新春、都道府県対抗女子駅伝、自分的な感想(その2)。【陸上・マラソン・駅伝】【エッセイ】

 前記事エントリーのリンク添付

 まず、前回の記事、(その1)をリンク添付させて頂きます。
 (その1)と同様に、想像以上のすさまじく長い文章量になってしまっていますので、できるだけ「パソコン(PC)あるいはタブレットでの御拝読」を何卒よろしく御願いできるととても嬉しいです。



 では、執筆を進めます。


 「だから陸上は、駅伝は素晴らしい!」を凝縮した「7区の3人の激闘」、これは「後世に語り継がれて欲しい12分45秒間」!そして大阪の7区の白川朝陽はまさしく「陰のMVP」と称えたい!







 で、「4区(4km)」。
 「4区~7区」は「4km程度の区間が4つ連続」で、「つなぎの区間」と呼ばれがちです。で、高校生、あるいは大学生の起用が多い傾向ですけど、実はこの4区間は「選手層の差が出やすい区間」ともいえます。
 「4区」「5区」は「上り基調」、「6区」「7区」は「下り基調」です。


 「4区」「5区」「6区」は、駆け足的な感じになります。

 「4区」は、1位の大阪と2位の神奈川が「1秒差」でのスタートでしたので、開始すぐから「2.5km過ぎ」まで並走状態が続きます。
 大阪の4区は佐藤千紘(大阪薫英女学院高校→大阪学院大学3年生)。この1年で特に成長を遂げて、年末の富士山女子駅伝では、「7区(8.3km。山上り)、区間3位」の好走で、学校史上最高順位である2位への躍進に大きく貢献しました。
 神奈川の4区は出水田眞紀(白鵬女子高校→立教大学→第一生命)、経験豊富な実業団選手です。実力的には恐らく出水田がより上回る感じ。

 「2.5km過ぎ」で神奈川が1位になり、「ラスト500m」で一気に差を広げる。最終的には、「1位が神奈川、2位が京都(7秒差)、3位が福岡(9秒差)、4位が大阪(10秒差)」での入線でした。
 2位に上がってきた京都の4区は、「山本柚未(立命館宇治高校2年生。「柚未」と書いて「ゆみ」と読みます)」。今季に急成長を遂げて、学校のエースの座を1学年上の細谷から奪取して、年末の全国高校駅伝では「1区、区間3位」の好走でした。
 今回は「12分56秒」で「区間賞、7人抜き」。まさしく「期待の新星が誕生」といえる感じです。


 「5区(4.1075km)」。「叡山電鉄の跨線橋」があり、それを過ぎると「狭い道」になり、それを抜けて少しすると「左斜め前へとカーブ→折り返し地点→程なくして第5中継所」と、「『上り基調』で『技術と気持ちが共に求められる』コース」が特徴です。

 「開始1.3km」、「神奈川、京都、福岡、大阪」の4人で第1集団の形成になります。
 「2.2km」、跨線橋に突入。ここで神奈川が遅れ始める。
 「2.5km」、跨線橋の下りの場面になり、大阪が一気に仕掛ける。
 大阪の5区は「塚本夕藍(大阪薫英女学院高校1年生。直近の全国高校駅伝では「2区、区間15位」)」です。

 「ラスト850m」、ここで狭い道になる、ここが踏ん張りどころ。
 1位で入線は大阪。2位は3秒差で福岡。3位は17秒差で東京。
 大阪の塚本は「13分08秒、区間2位」で、大阪が主導権を握る流れに再び持ち込む貢献をしました。
 京都は26秒差で5位。この「5区及び6区での失敗が、最終的に優勝争いに絡めないことへと直結になった」感じです(5区は区間15位、6区は区間12位)。神奈川は34秒差で6位でした。


 「6区(4.0875km)」。
 「開始1.8km」、ここで跨線橋を下りきる。「大阪、福岡、東京、京都」の位置関係に。大阪と福岡の差は「5秒差程度」。
 大阪の6区は「薮谷奈瑠(大阪薫英女学院高校3年生。直近の全国高校駅伝では「5区、区間10位」)」です。
 この「1.8km」過ぎから大阪が福岡との差を徐々に広げていく。

 「ラスト300m」、薮谷のギアが上がる。
 1位で入線は5区終了時に続いて大阪。2位は7秒差で東京(ラスト200mで福岡を逆転した)、3位は9秒差で福岡。
 4位は17秒差で神奈川。神奈川の6区は近藤希美(東海大相模高校2年生。これが自身初めての全国女子駅伝出場とのこと)でしたが、「12分47秒、区間賞」の好走で「34秒差→17秒差」と逆転優勝に一筋の光を灯す感じに。
 その一方で京都は「34秒差、8位」へと沈みました。8位入賞が目標の愛知が「27秒差、6位」と入賞圏内でレースを進める展開になりました。





 で、「7区(4km)」。
 「下り基調」の区間ですけど「カーブが多い」ことが特徴です。「高校生が走ることが多い傾向」です。
 ですけど自分は、「4区~7区の4区間」の中では、「7区が最も重要な区間である」と考えてます。何故ならば「7区で再びいい流れをつくることで、8区、9区でより優位に立てる」と考えるからです

 この「7区の重要性」の象徴が、「2019年大会、愛知が2回目の優勝を叶えた大会」です
 このときの愛知の7区は、「小笠原安香音(安城学園高校3年生。このときが全国女子駅伝での初出場であったとのこと)」でした。ここで、1月12日のnote記事の引用をさせて頂きます。


 で、「都道府県対抗女子駅伝」、2019年の愛知の優勝の原動力になった高校生が、3人いました(厳密にはこのとき、愛知は高校生が5人出場していましたが)。

 「2区、藤中佑美(光ヶ丘女子高校→名城大学、現在は引退)」
 「6区、山本有真(光ヶ丘女子高校→名城大学、今春から積水化学へ)」
 「7区、小笠原安香音(安城学園高校→豊田自動織機、現在は引退)」

 です。山本さんは後述、小笠原さんは「がむしゃらさが印象的」でした。特に小笠原さんの2019年の愛知への貢献度は「優勝の陰の立役者」ともっと評価されてよいと思ってます。

 (2023年1月12日のnote記事「2023年新春、都道府県対抗女子駅伝を直前に、心に響いた記事(愛知・名城大学4年生、山本有真)。」より。)


 この引用部分を少し補足させて頂きますと、小笠原さんは、「開始500m」で千葉に追いつかれて、しばらく並走状態になります(襷を受けたときは千葉と「6秒差のリード」でした)。しかしここで、小笠原さんは「焦る気持ちを我慢して、自分のペースを守って、勝機が来ることを信じて待つ」方法を選びます
 これが最終的には成功で、「ラスト1km」になった瞬間に千葉を一気に引き離し、「ラスト500m」での丸太町橋でよりギアを上げる。最終的には「2位の千葉に6秒差→17秒差」をつけて1位入線(12分35秒、区間3位)、これが愛知の優勝を大きく引き寄せる「陰のMVP」的な存在になったのです







 で、今回の7区。
 主人公は、「大阪の7区、白川朝陽(大塚高校2年生。「朝陽」は「あさひ」と読みます)」。「3000m障害」が本職とのこと。
 中学3年生のとき、「幻の2021年大会」で、出場が内定していたけど、大会自体が中止になり、2年越しの「悲願の初出場が成就」で想いが人一倍だったとのことです。
 ここ数年の大阪は、「大阪薫英女学院高校オールスターズ化」の傾向が強くなりつつある印象でしたけど、いわば「異なる血を入れる」決断をした、あるいは「白川さんの実力が、振り向かせた」と想像できます。

 (自分が住んでるのは大阪です。中学3年生まで住んでた「心の故郷」は兵庫[西宮]ですけど。)
 「大塚高校」について、少し説明させて頂きますと、
 「『体育科』がある『大阪の4つの公立高校』の1つ」
 です。大阪府立の高校です。で、体育科がある4つの公立高校の中でも、「陸上」「バレーボール」の2つが特に強い特徴を持ちます。


 それと個人的に白川さんで印象的なのが、「髪をきゅっとアップに1つ結びにしていること」です。
 (要は「結べる髪の長さであること」。大阪薫英女学院の陸上の高校生は、基本的に短髪ですので。勿論、1区の水本や6区の薮谷は「短髪がむしろとても似合っている」ので、その場合は勿論それはそれでよい訳ですが。
 後で8区のところで、「陸上の高校生と髪の長さのこと」は言及させて頂きます。)

 (ちなみにここでも、2区の中島と同様に、「白川さん」という表記を併用させて頂きます。これはリンク添付ツイートでも言及させて頂いているように、「大阪の優勝の『陰のNVP』としてとても大きな貢献であったことを称える想いを伝えたいから!」です。)


 で、白川さんと激闘を演じた2人の選手。
 「東京の7区、河野花さん(東京高校3年生)」。
 「福岡の7区、宮原なな佳さん(福岡大学附属若葉高校→福岡大学1年生)」。
 白川を含めて、「3人共に、全国女子駅伝は今回が初出場」です。

 宮原の出身高校である「福岡大学附属若葉高校」は、「女子バスケットボールの有力校」です。「福岡ドームが徒歩圏内にある学校」でもあります。


 襷を受けた時点で、大阪は「東京に7秒差のリード」「福岡に9秒差のリード」でした。
 ですけど「開始880m」で、大阪は福岡、東京に追いつかれます。
 白川さん視点でいえば、「開始550mでの、カーブ右折地点」で既に「9秒差→3秒差」へと急速に詰められていたので、「追い付かれそうだな」と感じていたかもです。

 駅伝というのは「相手との力関係」がありますので、それを踏まえたある程度の想定はしているかなですけど、それでも「開始1km足らずで9秒差を追い付かれる」と、それも経験が多くない高校生ならば「どうしよう」となるかもです。
 で、「開始1.1km」で、福岡が右側(車道側)から少し前に出ます。
 歩道側から順に「東京、大阪、(少し前に)福岡」の位置関係です。


 ですけど、白川さんが「すごいなあ」と感じるのは、「福岡に追い付かれて、追い抜かれてからの対応」です
 「どうしよう」は、恐らくゼロではなかったと想像です。でもここで

 「むきにならずに『落ち着きを持ち続けて』、持ち味であるピッチ(回転の速さ)を活かして、『自分のペースを確実に刻み続ける』、それでいて『前を捉え得る位置に確実にキープし続ける』ことを心掛けて、『勝機が絶対に来ることを信じ続ける』。」

 この姿勢にすぐに切り替えて、しかもそれをずっと貫けたことです。

 「心の落ち着きを持ち続ける」「自分のペースを確実に刻み続ける」「前を捉え得る位置を確実にキープし続ける、でもオーバーペースには決してならない」「勝機が絶対に来ることを信じ続ける」
 この4つを同時にできるって、「とても難しい技術」です。「心技体の3要素をバランスよく備えている」でなければこれはできません。

 しかも白川さんって、「追い付かれても追い抜かれても、表情が全く変わらない」んですよ、いわゆる「ポーカーフェイス」。
 ピンチの場面なのにこれができることに、より心を惹かれて見ていました。


 で、「開始1kmで追い付かれて追い抜かれて、それなのに『自分のペースを確実に刻み続ける』『勝機があると絶対に信じ続けてそれまで我慢する』って、それって『攻めの走り』と矛盾するのでは?」と感じるかもです。
 正直、自分もかつてはそう考えてました。でも、いまならばはっきりといえます。

 「ううん、矛盾していないよ。追い抜かれても白川さんは『攻め続けていた』ことが伝わってたよ。なぜって『勝機を決してあきらめていなかったんだから』!」

 そう、「攻めの走り」とは、「持てるフルパワーの全力を出し続けることだけではない」と思うのです。駅伝やマラソンは、「場面に応じた適切な判断」もとても大切なことであると自分は思っていて。
 そう、いわば「勝機があると絶対に信じ続けてそれまで我慢し続ける」ことだって(バスケやサッカーでいう「攻撃的な守備」に相通じますけど)、「攻めの気持ちを持ち続けているから、我慢し続けるという適切な判断ができる」と自分は思うのです。

 確かに単純な力関係でいえば、恐らく「白川さん≦宮原」かなです。でもここはロード、それに自分も含めて3人共に初めての場所、だから「何が起きるかわからない」と信じることができていた。
 勿論、「ずっと目標だった、大阪の襷、大阪のユニフォームをついに叶えた喜び」が、白川さんに「持てる能力の100%以上を引き出させた」感じがあったといえるのでは、とも感じますけど。


 で、「1.7km」でカーブを左折する時点で、引き離そうとする福岡と大阪(及び東京)とは「2秒差」。
 この「2秒差で追走する」感じは「2km」時点でも変化がなく、でも後ろからは神奈川が「17秒差→大阪と8秒差(福岡と10秒差)」へと徐々に詰めてきている。
 (神奈川の7区は「勝呂遥香(白鵬女子高校1年生)」。直近の全国高校駅伝では「2区、区間11位」。)

 「2.3km」、ここで福岡は脚色がより増してきた感じで、大阪との差を拡げようとしている。でもここで白川さんは、2位で並走する東京が「首が右側に傾き始めた」ことを見逃さずに福岡との差を詰め始めます。
 「2.7km」、ここで「福岡[宮原]、白川さん、東京[河野]」と3人が「縦長の関係の集団」になります。表情が明らかに苦しくなりつつあり、首の傾きが明らかなのに、足を前に出し続けて全力姿勢が伝わる河野。


 「2.93km」、ここでラストの大きなカーブを右折。このカーブで3人の位置関係は「(歩道側から順に)宮原、白川さん、河野」の「横一線で並走の関係」に。

 「絶対に引き離すぞ」が伝わる宮原。「勝機は絶対にある、それを全力で仕留める」が伝わる白川さん(表情は開始当初よりも「より凛々しくなってる」感が)。そして「絶対に最後まで全力を出し切る、勝つのは自分よ」が伝わる河野。河野は、色黒の感じが映像映えする感じです。

 「ラスト900m」、ここで白川さんと宮原が仕掛け合いが始まった感じで、でも河野も粘りを試みる。4位で追走する神奈川との差は「ラスト760m」で「8秒差→12秒差」に拡がってる。


 「ラスト550m」、さあ勝負どころの「丸太町橋」が見えてきた。
 ここで一気にギアを上げたのは、白川さん。表情は変わらないけど、特に腕の振りが明らかにより強くなっている。
 だけどここで、懸命に粘るのが河野。首どころか身体全体を左右に大きく揺らす感じになってますけど、このときの河野は、「身体全体を最大級に使い、足を最大級に前に出すことで、持てる全力以上を出し切ってる」ことが伝わる!
 なんと、丸太町橋を渡り切った直後の「ラスト350m」で、河野が1位になります。このとき一瞬ですけど、白川さんの表情が「うそっ!?」になってるのが、河野さんの「執念」を物語っています。

 「ラスト250m」。白川さんは、あきらめていなかった。ここで改めてギアを上げて、今度こそのラストスパートへ。で、河野を抜いて1位に。
 さあ、第7中継所が見えてきた、8区の中学生が待ってる。


 最終的には、1位入線は大阪。白川さんの記録は「12分45秒、区間7位」です。
 2位は福岡。「ラスト150m」で残された全力を振り絞り、最後は東京を抜いて「1位と1秒差での入線」。3位は東京、ラストはさすがに力尽きた感じですけど、それでも「1位と2秒差での入線」でした。
 襷を渡し終えた1位~3位の3人はいずれも、「笑顔を出す気力が、一礼をする気力が残っておらず、精魂尽き果てた」感じでした。このことが「今回の7区の激闘を物語っている」といえます(ちなみに白川さんは、襷を受けるときは笑顔がありました)。

 4位の神奈川は、「17秒差」でスタートして、一時は「8秒差」まで詰めましたが、最後は失速した感じで「1位と14秒差」(ですけど、勝呂の記録は「12分42秒、区間5位」なので「持てる全力を出し切れた」といえる)。
 5位は京都。「34秒差→23秒差」ですけど、京都の7区は細谷愛子(立命館宇治高校3年生。直近の全国高校駅伝では「3区で区間賞」)ですけど、細谷は「12分34秒」で「2年連続の7区区間賞」。学校のエースの座は1学年下の山本に明け渡しても、勝負強さは健在であると。今春からダイハツに進むとのことですけど、素材としては大きいですので、今後が楽しみです。

 それと、10位で長野でしたけど、長野の7区は赤羽真衣佳(長野東高校3年生)でしたけど、長野東では「チーム主将」なのに全国高校駅伝ではついに走ることが叶わなかったのです(それ故に長野東は、村岡が「事実上の駅伝主将」を務めていました)。ですので今回は「悲願の初出場を叶えた」感じですけど、今回の赤羽の7区の「13分03秒、区間12位」は「陸上の神様からのとても素敵なプレゼントだよ」と自分は思います。これが今後の赤羽にとって大きなプラスになりますようにと。
 もう1人、9位の鹿児島。鹿児島の7区は小倉陽菜(神村学園高校1年生。直近の全国高校駅伝では「3区で区間9位」)で、「とびっきりの笑顔が似合う童顔と短髪がとても素敵である」感じですけど、今回は「13分03秒、区間12位」ですけど、これから学校のエース級を務めるであろう感じですので、今回が「これからの飛躍へのステップ」にできるとより素敵だなです。




 で、自分は、この7区は特に「白川さん」に光を当てて綴ってます。
 それは、「大阪の優勝において、白川さんが果たした貢献度が、優勝を引き寄せることに大きく結び付いたから」です。

 実況曰く、白川さんは「陸上一家」に育ったとのことで、両親も兄も陸上経験者とのことです。ですので白川さんの「陸上に対する姿勢」は、恐らく家族から有形無形の感じで教わってきているのかなと想像します。

 もしかしたら、白川さん、「なぜ自分は走っているのだろう?」と、「走る意義が分からなくなった経験」や、「走ることが嫌いになってしまった経験」もあるかもと想像です。
 ですけど、勿論「主観」といえばそれまでですけど、今回の出場者の中で自分的に「最も心を揺さぶった」のは、(同じ大阪の2区の中島さんと同等以上に)7区の白川さんでした。走っている白川さんは、自分には誰よりも輝いて映った。「走ることが大好き!」であったらより嬉しいですと。


 「あきらめたら、そこで試合終了。」
 『スラムダンク』の安西先生の言葉ですけど、自分にとって「大切にしている言葉の一つ」です。

 福岡に追いつかれて抜かれて、引き離されかけて、追い付いてもまた福岡に前にいかれて、ギアを上げたのに東京に粘られて抜かれて(「3回追い抜かれた」計算になります)

 「何度もピンチに陥り、それでも『【絶対にあきらめない気持ち】を4kmも、12分以上もずっと貫ける』ことって、それ自体がとてもすごいことだよ!
 これをやり遂げた白川さんは、『最高に【かっこかわいい】と感じたよ』と伝えたい、とても感動です!」

 (「かっこかわいい」は「かっこいい」+「かわいい」の意味です。)

 と自分は思う感じで、自分が白川さんの立場ならば、それができることを正直とても想像できません。


 確かに、白川さんの「数字上の記録」は、「12分45秒、区間7位」です。
 宮原、河野に比しても「数字的な区間タイム」は下回っています。
 「区間賞と11秒差」ですので、「充分に良質なタイム」といえますが。

 ですけど自分は、「1位での入線、区間7位という数字上の結果」以上に、「『1位での入線に持ち込めた【過程】【姿勢】』こそ、自分が白川さんを最大級に称えたいことです!」と伝えたいのです。
 もしかしたら、白川さんは、ここまで綴ったこと(絶対にあきらめない、まずは確実にマイペースを刻む、等のこと)を、そこまで深く考えていなかったかもしれません。ですけど、白川さんの「気持ちの強さ」は、少なくとも自分には伝わっていたよ!と伝えたいのです。


 で、この7区。白川さんをここまで特に強調して綴りましたけど、

 今回の都道府県対抗女子駅伝の7区は、4kmという短めの距離の中に、『だから陸上は、駅伝は素晴らしい!』という魅力が存分に凝縮だった!
 それは、『白川さん(大阪)、宮原(福岡)、河野(東京)』の3人がそれぞれに特筆できる素晴らしさをそれぞれ表現できていたことが大きく、結果はどうあれ、3人がやり遂げたことは『観ている人間の心に響く』素敵さがあったよと伝えたい!

 そのように、自分は思うのです。では、どういうことか。


 【7区(4km)の名勝負、「3者3様」に特筆の魅力があった!】

 白川さん(何回も追い付かれて追い抜かれても、「焦らずに堅実にマイペースを刻むという冷静かつ適切な判断ができて、それでいて勝機が必ずあると信じ続けて、絶対にあきらめなかった」こと。いわば「気持ちの強さ」で「ラスト250m」で勝機を自らつかみ取ったこと。)

 宮原(「ラスト550m」で力尽きたけど、それまではほぼ終始主導権を握り続けたこと。引き離せなかったのは「白川さんの執念がすさまじかったからが故の結果論」であり、「攻め続ける姿勢」を最も表現できていたのは宮原さんといえる、「勝負し続けた」ことに意義がある!)

 河野(「2.3km以降」、身体的には恐らくぎりぎりの感じなのに、それを補って余りある「気持ちを前面に出す姿勢」はストレートで、観ていて心を強く揺さぶられた。「ラスト350m」では1位になる場面もあり、最終的には力尽きたけど「魂の走り」がとても伝わった!)


 そう、宮原と河野は、確かにラストでは力尽きました。
 ですけど、宮原は「力尽きるまではずっと主導権を握り続けていた」、いわばストレートに攻め続けたのです。最終的に力尽きたのは自分から見れば「結果論に過ぎない」訳で、白川さんが「異次元の我慢強さ」であったからそうなってしまったに過ぎないと。
 そして、河野。「陸上は最終的には『気持ちのスポーツ』である」を再認識させてくれた、「2.3km」でスタミナ切れを起こしてからの走りは、まさしく「魂の走り」でした。「ラスト350m」で白川さんを抜き去る場面からは「はあ、はあ」という荒い息づかいが画面越しに聞こえてしまうほどの「執念」で、「すごいなあ」と感じます。

 確かに、宮原と河野は、「ラストで力尽きた」感じです。
 でも「やらずに後悔するよりも、やって後悔する方がよい」という言葉を、宮原と河野は体現したといえます。
 だから自分は、1人の陸上ファンとして伝えたいです!

 白川さんも、宮原も、河野も、3人共に『Excellentな走り』だったよ!




 そう、「追い付かれて追い抜かれても正直が絶対にあると信じて我慢し続けて、そして一瞬の勝機を逃さずに仕留めた」、これだけでいえば、「2019年大会、愛知の小笠原のリプレー映像の感じ」といえるかもです。
 確かに、あのときに小笠原が果たした貢献と、今回の白川さんが果たした貢献は、「チームの優勝を大きく引き寄せた、『アンカーにいる絶対的エースに襷が渡った時点で、優勝は事実上約束されている』に持ち込めた」意味では、とても近いといえるかもです。

 ですが今回の7区は、単純にそれだけでは語れないと自分は思ってます。


 「全力で引き離そうとした、主導権を握り続けようとした」宮原。
 「一度白川さんに仕留められかけたのに、執念で差し返す場面をつくった」河野。
 「一度は仕留めたはずなのに差し返された、だけどあきらめずにもう一度仕留め切った」白川さん。


 「3人共に、とてもすごい」。だから「陸上は、駅伝は、最高に素晴らしい!」。
 自分は「陸上は『自分自身との戦いのスポーツ』、だから大好き!」と思ってますけど、結果は勝者と敗者で分かれてしまったかもだけど、自分は1人の陸上ファンとして「白川さん、宮原、河野、3人共に『自分自身の弱さに克った!』、だから勝者だよ!」と称えたいです!


 「2.93km」でラストの大きなカーブを右折からの場面以降は激しさがより増した感じですが、そこで「これって、ある場面を連想させるよなあ…?」と。あっ、そうだ、「2008年、競馬の天皇賞秋、ウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイの激闘、いわゆる『大接戦ドゴーン』だ!」と。

 そう、いわば今回の7区は「駅伝版の『大接戦ドゴーン』」、そう解釈すると、とても「すとんと落ちます」。



 で、白川さん。本職は「3000m障害」とのことです。
 自分は、陸上の日本選手権だと、いわゆるトラック種目は全般的に好きで、特に「10000m」「5000m」の長距離トラック種目が特に大好きです(尤も近年は「10000m」は日本選手権としては別日程になってますが)。
 ですけど実は、「3000m障害」は、そのような種目があることは勿論存じていますけど、どのような種目、特徴があるのかは正直全くわからないでいました。

 で、今年(2023年)の「陸上の日本選手権」
 「6月1日木曜日~6月4日日曜日、ヤンマースタジアム長居」
 そう、「2021年から3年連続で、大阪(長居)での開催」です。
 今年こそは、絶対に生観戦を叶えたい!特に「5000m」は好きな種目ですからと。
 ですけど、「今回の都道府県対抗女子駅伝の7区」を通して、

 「『3000m障害』にも、目を向けよう。日程が合えばの注釈付きではあるけど、『5000m』『1500m』などの従来的なトラック種目とは異なるプラスの特徴がきっとあるはずだから。」

 この気持ちを持てるようになったことが、1人の陸上ファンとしての、今回の「都道府県対抗女子駅伝」を通しての「思わぬ大きな収穫」です。


 そう、それは、「今回の都道府県対抗女子駅伝の7区、結果はどうあれ、3人がやり遂げたことは『観ている人間の心に響く』素敵さがあった」こと。

 だからこそ、強く願うことがあります。

 「7区の3人(白川さん[大阪]、宮原[福岡]、河野[東京])、結果はどうあれ、3人がやり遂げたことは『観ている人間の心に響く』素敵さがあったよと伝えたいです!
 そしてだからこそ、『3人が今回の都道府県対抗女子駅伝の7区で御互いに全力をぶつけ合えたことは、きっと何かの【ご縁】だよ!』と思う訳で、願わくはではあるけど、今回の7区でのことをきっかけに、3人が交流を持てて、御互いに高め合える関係になれるとより素敵だなと感じます!」

 そのように、強く思うのです。あくまでも「願わくは」ですけど。



 人間にはそれぞれに「その人らしさ」があると自分は思ってる。陸上選手だって1人の人間である訳で、学校(特に高校)が「結べる髪の長さを否定することは、絶対におかしい!」と感じるのは自分だけですか?


 で、「8区(3km。中学生区間)」。「上り基調」が特徴で、特にラスト1kmは地力の差がもろに出る傾向です。
 レース展開の振り返り自体は駆け足になります。

 7区の激闘の結果、わずか2秒差以内で「大阪、福岡、東京」が相次いでスタートの展開に。
 8区でまず主導権を握ったのは、ここでも福岡です。「福岡、大阪、東京」と「縦長で並ぶ」展開に。
 (福岡の8区は[菅原心菜。3年生]、大阪の8区は[河村璃央。3年生]、東京の8区は[大木優奈。2年生]。)
 「開始1km」。4位の神奈川が「14秒差→7秒差」、5位の京都が「23秒差→17秒差」へと、それぞれ差を詰めます。

 「ラスト1km」。主導権を握ろうとした福岡はここでは引き離しに失敗した感じで、東京がギアを上げて前に出る。東京の大木は童顔で、走る直前では右側のヘアピンを結び直すかわいらしさですけど、走るときの凛々しさが「ギャップがある」感じで素敵です。それでいてまだ2年生なのに「物怖じしていない」、そこに可能性を感じます。
 福岡の菅原は、「Star Light AC」、つまり恐らく「地域の陸上クラブ」での参加登録。「走ること自体が大好き!」がこの時点で伝わりますし、3人の中で躍動感を最も感じるのは菅原です。
 その一方で後続は、4位の神奈川は「14秒差→7秒差→8秒差」ですが、5位の京都は「23秒差→17秒差→12秒差」とさらに徐々に差を詰めます。
 神奈川の8区は「岡崎萌々、3年生」、京都の8区は「杤尾佳穂、3年生」。
 (京都の杤尾は陸上と共にピアノも並行して続けているとのことです。)


 しかし「ラスト750m」、福岡はここでギアを上げて、今度は「仕留めた」感じに。大阪、東京も食らいつく姿勢が伝わるけど、「ラスト400m」で東京はガクッと来てしまいます。
 「ラスト250m」。逃げる福岡、2秒差で大阪、5秒差で東京、7秒差で神奈川。神奈川は7秒差から詰め切れていないけど、「気持ちで勝負する」姿勢は前を走る3人以上にとても伝わります。
 しかし神奈川に詰められたことを感じたのか、そこから東京が息を吹き返します。

 第8中継所、ついにアンカーに、つまりそれぞれのエースに襷を渡す。
 1位で入線は福岡、2位は2秒差で東京、3位は5秒差で大阪、4位は7秒差で神奈川。
 その一方で京都は、「ラスト1kmで12秒差」へと詰めましたが、最終的には「5位、22秒差」で、力尽きてしまった感じです。結果的には京都はこの「ラスト1kmでの急失速」で「事実上の終戦」になってしまいました。
 区間賞は福島の「木戸望乃実、3年生」。ボーイッシュな短髪がとても映えますけど、「9分43秒」はとても好タイムです。

 ですけど特に印象的なのは、東京の大木。ラスト1kmで勝負を仕掛けて主導権を取りに行き、それは結局は失敗でラスト400mで一度は失速したけど、そこであきらめずにラスト250mで立て直せた。
 中学生だとまだ「基礎も身体もできていない」ことが多い傾向で、しかも大木はまだ2年生です、ですけど一度ガクッと来てそこであきらめずに立て直せることに「大きな可能性を感じる」。内容的には「10分07秒、区間7位」という見た目の記録以上に価値を感じます、来年の出場時は勿論、高校意向を含めてこれからの可能性を楽しみにしてる!と。そして「子どもってすごい!」と改めて学ばせて頂く感じです。


 ですけど、ここで特に綴りたいのは、8区のある選手を通して、1人の人間、1人の陸上ファンとして、「とても考えさせられること、問題提起したいと感じること」があるからです。




 「橘のん(鹿児島、中学2年生)」。中学2年生ですので、全国女子駅伝は初出場です。
 記録は「10分08秒、区間7位」。全体順位自体は「9位→9位」でしたけど、前を走る長崎との差を「40秒→3秒」に詰めたことで、鹿児島の7位入賞に貢献でした。
 で、「10分08秒、区間7位」は、実は全体1位争いをしていた東京の(同じ中学2年生の)大木優奈と同タイムです、中学2年生でこのタイムは「かなりの好成績」といえます。
 ですので、将来性がとても楽しみ、といいたいのですけど、実は走り自体は中継所のときしか映っていなかったので、走りのことへの言及は申し訳ないけどできません(ごめんなさい)。では、なぜ、橘さんのことを取り上げるのかです。



 2019年、日本の女子陸上界では、いわゆる「鉄剤注射」が問題化して、事実上禁止されました。このことはいまリンク添付した3つの記事を参照されたしですけど、この「鉄剤注射」、簡潔に述べれば「隠れドーピング」です。
 で、この「鉄剤注射の禁止化」は、特に女子高校陸上界に少なからず影響を与えた感じがあります。

 「鉄剤注射の禁止化」は、勿論、陸上が大好きな女性にとってプラスであるのではと想像します。ですけど、1人の陸上ファンとしては、「鉄剤注射のこと以上に深刻と感じること」がある、そしてそれは未だに残存している、と感じていることがあります


 人間には一人一人それぞれに、『その人らしさ』がある、『その人らしさが最大級に尊重される社会』が最も望ましいと自分は考えます。
 この『その人らしさ』に照らせば、『結べる髪の長さを許容しない』ことは、『その人らしさの否定、つまり人間の尊厳の否定と同義である』、はっきり述べれば『隠れたセクハラ、パワハラのようなもの』『多様性の尊重に逆行する考え』と感じるのは、自分だけでしょうか?
 『結べる髪の長さを許容しない』は、恐らく『不文律』かもしれません、でもその不文律で『その人らしさを否定して』、結果としてそれがその人の陸上生命を奪うリスクになって、プラスの影響があるといえますか?


 どういうことかというと、「名指し」させて頂く感じでごめんなさいですけど、
 「立命館宇治(京都)、大阪薫英女学院(大阪)、神村学園(鹿児島)
 いま挙げた3校は、日本人選手は出場時は全員「短髪あるいはボブヘア」、つまり「結べる髪の長さが恐らく許容されていない?」感じです

 で、いま挙げた、「鹿児島の8区の中学2年生、橘のん」さん。
 ミディアムの髪を1つ結びにして、かつ三つ編みのような感じで、紺のヘアゴムで髪を3回結んでいます。童顔であることも相まって、これがとても似合っているんですよ。
 それと、襷を受ける前に、心臓に左手を当てて、何かを自らに言い聞かせる感じが、「持てる全力を出し切って!」とより強く思う感じで。

 で、この話は伏線があって、

 鹿児島の6区(西本穂乃香さん。出水中央高校3年生。「13分12秒、区間12位」。「ミディアムの髪を三つ編み&一つ結び」にしていた。中学3年生時に全国女子駅伝3区の出場経験がある。出水中央高校は私立で、一山麻緒の母校です。)
 鹿児島の7区(小倉陽菜さん。神村学園高校1年生。「13分03秒、区間12位」。「童顔&短髪」がとても特徴的。全国女子駅伝は今回が初出場。)
 鹿児島の8区(橘のんさん。舞鶴中学校2年生。「10分08秒、区間7位」。「ミディアムの髪を三つ編み&一つ結び」にしていた。全国女子駅伝は今回が初出場。)


 正直、「鹿児島の6区、7区、8区」の3人共に「かわいい」感じで映像映えしますし、7区の小倉さんは短髪ですけど、恐らく結べる長さの髪でも恐らく似合いそうな感じです。ちなみに3人共に「ハチマキ姿がとても似合っていた」ことも共通しています。
 ですけどここで自分は「かわいいは正義」云々を述べている訳ではないのです、誤解されたくないので明示させて頂きますけど。


 鹿児島の6区の西本さん、中学3年生のときに全国女子駅伝に出場経験がある、つまり実力者ということです。恐らく進学先が神村学園であった場合、全国高校駅伝のメンバー入りを叶える実力はあったと想像します。
 で、西本さんの出身中学校、「米ノ津中学校」は「出水市」とのことですので、恐らくシンプルに「出水中央は自宅に近いから」が進学先の大きな理由だったかもと想像です。
 (ちなみに神村学園は串木野にあります。串木野から出水は、「在来線で12分+新幹線で11分」ですので、意外と遠い距離であることに留意が必要です。)

 で、橘さんが現在通う中学校、「舞鶴中学校 鹿児島」と検索をかけると、「霧島市」とのこと。
 この霧島市は、いわゆる「市町村合併」でできた経緯を持ち、地域的には「旧国分市」とのことです。
 串木野や出水は「鹿児島本線側(地図でいう鹿児島の西側)」ですけど、霧島(国分)は「日豊本線側(地図でいう鹿児島の東側)」です。


 中学2年生で全国女子駅伝に出場を叶えるって、「とてもすごいこと」と思うのです、しかも橘さんの地元である鹿児島の最有力学校の神村学園は「全国高校駅伝で優勝争いができる学校」の位置付けです。
 ですけど、少なくともいままでは、神村学園の女子陸上部(の中長距離部門)は「短髪あるいはボブヘア」です。それが「明文化」か「不文律」かは、想像の域を出ませんけど。

 仮に、橘さん自身が、「髪の長さを、必ずしも結べる髪の長さにはこだわらない、単発やボブヘアでも全然大丈夫だよ。」と考えているならば、勿論それはそれでよいのです。
 ですけどもしも、「高校に入学したら、結べる髪の長さを奪われる感じになったら、本音は嫌だなあ…。」と考えていたら、それってとても悲しいことであると自分は考えるのです。


 なぜ、自分がこうして、

 一部の高校で『髪は短髪あるいはボブヘアにする必要がある』という『ブラック部則』が未だにまかり通っていること自体が絶対におかしい!

 とここで伝えたいのかと申しますと、かつて、「陸上が大好きな女子高校生と、髪の長さのこと」で、とても考えさせられることがあったからです。




 2015年、「世羅高校(広島。県立)」は、「全国高校駅伝(女子)」で「初優勝」を叶えました(男子とのアベック優勝。ちなみにこのときの女子は「日本人のみでの優勝」でした)。
 当時、主将及び1区を務めて優勝に大きく貢献したのが、「小吉川志乃舞」さんです(当時は3年生。「こよしかわしのぶ」と読みます。1区で区間賞でしたけど、同タイムの2位だったのが「田中希実(西脇工業高校1年生)」です)。
 力強い走りが印象的でしたけど、童顔と長い髪も特徴でした。で、長い髪がとても似合ってるんですよ!

 小吉川さんは、中学3年生のとき、全国女子駅伝3区で11人抜きをして、当時から有望株といわれていました。故郷は三原(広島)とのことです。
 で、これは当時の記憶からですので、もし違っていたらごめんなさいですけど、進学先を世羅にした理由の一つに「公立なので、結べる髪の長さを許容してくれるから」があったといわれていました。
 というのも、確かに世羅は地元の最有力校になるのですけど、中国地方の女子陸上界で当時のno.1学校は「興譲館(岡山)」でした。当時の興譲館は「全員が短髪(ボブヘアでさえない)」が特徴の一つでした。

 いえることは、小吉川さんは世羅で最高に輝いたこと。つまり小吉川さんには、輝ける場所があったことです。これに加えて、当時2年生で5区(アンカー)を務めた向井優香さんという「御互いを高め合える存在」に出会えたことも恐らく大きかったでしょう。


 で、何を伝えたいのかと申しますと、

 人間には一人一人それぞれに、『その人らしさ』がある、『その人らしさが最大級に尊重される社会』が最も望ましい。だから『その人らしさが大切にされる』『多様性や違いを尊重し合う』意味で、女子陸上(特に高校)の世界で、『結べる髪の長さが許容される(否定しない)』感じであって欲しいです!

 このことを、正直強く抱きます。とても申し訳ない感じですけど。



 松田瑞生をリアルタイムで楽しめる喜び。太田琴菜が挫折を乗り越えて完全復活した嬉しさ。そして柳谷日菜は「これから1年でも長く全国女子駅伝の9区で輝いて、2027年のMGCのステージへ」と強く願う!






 さあ、「9区(10km)」。
 今回にメインで取り上げるのは「3人」です。


 松田瑞生(大阪。大阪薫英女学院高校→ダイハツ。今回が出場9回目[うち9区は4回目]で、中学3年生時から出場。高校時代からずっと陸上シーンを湧かせ続けて、4学年年上の鈴木亜由子と共に近年の女子陸上界の中心選手に君臨し続ける。マラソンでは「大阪で3回、名古屋で1回の優勝」に輝くが、陸上人生でほぼ唯一最大の失敗が「2019年のMGC[結果は4位」」。それ故に今大会は「自分こそがMGCの本命に最適任」を証明する位置付けでもあった。底抜けに明るい人間性も特徴の大きな一つ。)

 柳谷日菜(京都。大阪桐蔭高校→関西大学→ワコール、社会人1年目。全国女子駅伝は今回が初出場。大学時代は2つの大学駅伝で通算7回出場だが区間賞経験がない一方で、「関西学生ハーフマラソンで2回優勝」の経験を持つ。昨春に実業団入りで急成長で、直近の12月の記録会で「10000m、32分01秒」と自己記録を1分近く伸ばした。「福士加代子さんへの憧れ」を公言とのこと。)

 太田琴菜(兵庫。須磨学園高校→立命館大学→日本郵政グループ。高校1年生から出場で、出場7回目、9区は2回目。高校及び大学では「学校の絶対エース&世代トップレベル」で君臨してきたが、大学の終盤から度重なる負傷で「長い挫折の時期」に陥る。昨年3月の名古屋マラソンでマラソン初挑戦で「2時間25分56秒」でMGC出場権を叶えた。高校及び大学ではスピードがむしろ魅力であったが、挫折を経てスタミナがより魅力になった感が。)


 では、「9区」の振り返りから。
 9区開始時の位置関係は「1位は福岡、2位は2秒差で東京、3位は5秒差で大阪、4位は7秒差で神奈川」でした。

 「開始1.7km」、紫明通りのS字カーブ。2区は「祐梨子カーブ」としていまや名物の場所ですけど、この復路にあたる「9区のS字カーブ」です。
 大阪、神奈川が、前を走る福岡、東京を「3秒差で追走」ですけど、中学校・高校時代から経験豊富である「大阪、神奈川」と、そうではない「福岡、東京」の差が、「紫明通りのS字カーブでのコース取り」に出てる。
 (神奈川の9区は「佐藤成葉(荏田高校→立命館大学→資生堂)」です。立命館大学時代は「大学トップレベル」として湧かせてました。全国女子駅伝は中学3年生時から出場で、今回が出場9回目ですけど、9区は今回が初めてです。
 福岡の9区は「逸木和香菜(福岡大学附属若葉高校→福岡大学→九電工)」、東京の9区は「唐沢ゆり(日本体育大学→九電工)」です。


 「2.4km」、千本北大路の交差点を進み、走者の左側に「レクサス北大路」がある場所(実はここから徒歩で北側へ歩くと佛教大学になります)。この9区は最初は上り基調で、この「レクサス北大路」が「9区の最高到達点」ですけど、ここで松田、佐藤が1位に追い付いて、4人が「縦長の関係の第1集団」になります。
 「2.7km」で、松田、佐藤が抜け出して、優勝争いは事実上「大阪、神奈川の2チームに絞られる」展開に。
 普段は「底抜けに明るい」松田ですけど、今回の松田はサングラス姿で、完全に「勝負師モード」の感じです。

 「3.7km」、左手に平野神社がある場所で、1位は大阪と神奈川が並走、「8秒差」で福岡と東京、「24秒差」で京都。
 京都は、「大阪とは17秒差」でのスタートでしたので、秒差は実はより離されていることになる。「絶対にあきらめない」が伝わるけどの感。


 「5kmのチェックポイント」、実はここは下り基調、ここから一気の下り坂があり、それを過ぎると長い直線になる場所です。
 松田が1位、その真後ろで佐藤。しかし走りの「余力」は松田がより上回ってるように映る。
 「19秒差の3位で福岡、23秒差の4位で東京、31秒差の5位で京都」。

 しかし福岡が5kmを通過の時点で既に、というか5kmの看板を過ぎてすぐに、松田が一気にロングスパートをかけて、佐藤はこれについていけない。
 長い直線が始まる「5.65km」、つまりわずか650mで、早くも佐藤に「5秒差」をつける。しかも脚色は松田の方がより輝きを増してる、もうこの時点で「事実上の勝負あり」。

 その一方で「5kmのチェックポイント」では、「1分16秒差の6位で千葉、1分39秒差の7位で愛知、2分05秒差の8位で鹿児島」です。
 8位入賞を確保したい兵庫は「2分56秒差の11位(開始時は2分40秒差の13位)」。7位の愛知との差は「2分5秒差→1分17秒差」、差があまりにも離れている感がと。


 「6km」で松田と佐藤は「10秒差」。既に長い直線ですので、映像で分かる位置関係でだと、下記の感じです。
 「松田、10秒差で佐藤、そこから離れて福岡、東京、柳谷(京都)。佐藤と福岡よりも、福岡と柳谷の距離感がより近いように見える感じ。」

 「6.5km」では、松田と佐藤は「15秒差」。一方で後続では柳谷が東京に並んで、福岡も射程圏内にしつつある感じの展開に。


 「7.7km」、「西大路五条の交差点」。ここでカーブを右折して五条通りへ、つまり最終決戦へ。
 松田と2位の佐藤との差は「32秒差」。3位の福岡は「45秒差」、4位の柳谷は「47秒差」。
 五条通りに突入の時点で、「大阪の優勝はまず確定、松田はあとはどう勝つかだけ」、レース的には「柳谷が2位まで上がれるか」の感じになってきた感じでした。


 さあ、ついに西京極の競技場へ。松田は笑顔が出て、既に優勝を確信。
 「みずきさん、ラストー、ラストー」と、既に前のめりになっている2区の中島(ともに並んで見守る高校生よりも前のめりの感が)。
 「ラスト200m」、ここで2位の柳谷が競技場へ、プライドは示せた感があるが、勝負は既に決まっている。「ラスト100m」、松田がサングラスを取って満面の笑顔に。

 今回は「笑顔&ガッツポーズでのゴール」に。「2時間15分48秒、大阪が優勝」。
 「どうだ!」と松田。拍手する中高生。「やったよー!」と中島。
 喜びを分かち合う景色。「故郷の襷」を分かち合える喜び。
 だから「都道府県対抗女子駅伝は最も大好きな大会の一つ!」と再認識です。


 「2位は49秒差で京都。3位は59秒差で福岡、4位は61秒差で神奈川」。
 その後は「5位が東京、6位が千葉、7位が鹿児島、8位が愛知」。
 兵庫は懸命に追い上げましたが「9位。8位とは25秒差」の結果。
 太田は追い上げたけど、「襷を受けた時点での差があまりにも大きすぎた」感じです。



 9区の展開の振り返りはここまでとして、ここからは個別の選手の振り返りを。まずは「太田琴菜(兵庫)」からです。

 個人としては「32分11秒、区間3位」ですけど、数字的なタイムよりも、太田が印象的なのは「輝きを取り戻せた、完全復活を遂げた」ことが伝わったことです


 4年ほどでしょうか、とにかく輝きを失いかけていた時間が、正直とても長かった。これほどの長い期間、恐らく「つらい」「悔しい」と感じたことは何回もあったのではと想像ですけど(多くの場合、耐えきれずに限界であると感じて引退を決断するか、企業側から社業専念を打診されて引退に追い込まれるかになるでしょうから)。
 ですので、「明けない夜はない」と地道な努力を続けられた太田自身も、復活のときを信じた企業側(この場合、日本郵政側)もすごい。で、日本郵政は「いつの時代でも必要な存在」ですので、「引退して社業に専念」でも一社会人としてはいわば安定になるけど、「苦しい道を自ら選ぶ」で、それを乗り越えたこと、これはとても称えられて欲しいことです

 「泣き顔で走っている」のは、太田の場合は「高校時代から泣き顔はデフォルトなので」です、これは「全力で走っているが故である」なんですよね。ですけど、「跳ねるように軽やかに走る」感じが伝わること。
 それと、第8中継所で8区の中学生を待つとき。「心からの笑顔」なんですよ。「立命館大学の太田が帰ってきた!」、そう感じたのです。


 で、「足の回転を活かしつつ躍動感が伝わる」のが太田の特徴ですけど、それが蘇っている。
 現実的ターゲットである愛知との差、「2分5秒差」はあまりにも遠かった。それでも可能性はゼロではないと信じて、持てる全力を出し切ろうとする姿勢に、心を揺さぶられます。
 確かに、立命館大学時代の「切れ味」はもうできないかもしれません。でもその一方で「ロングスパートをも含めたスタミナ」はむしろ増している感がある。その意味では「より長い距離でこそより輝ける、それこそマラソン適性が高い」といえます。

 そしてこれは想像の域を出ませんけど、何よりも強く感じるのが、太田は「走ることが大好き!」が根底にあるのではと。「走ることが大好き」の想いがなければ、いまの復活はできなかったのではと思うのです。
 須磨学園、立命館大学時代の輝きに照らせば、当時に「想定されていた最大期待値」「叶えたかった姿」にはなれていないかもしれません。太田が持っている潜在能力は、恐らくそれこそ「松田、亜由子と同等以上のものがあった」、それこそ「怪我さえなければ」と。


 ですけど、「兵庫の9区」は現況では「太田こそが最適任」ですし(「須磨学園、日本郵政」の5学年後輩である「大西ひかり」も候補ですが。田中希実は現況では「1区タイプ」でしょうし)、「MGCのステージに立てること」「都道府県対抗女子駅伝の9区に必要不可欠の存在といえること」、この時点で「1人の陸上人としては充分に成功である」のです
 それに、太田は「現時点でまだ27歳」、つまり「マラソン選手としてはこれからが全盛期」です。
 それに、挫折の時間が長かったことは、「内面的な成長」の意味では、むしろそれを通して学んだことがいくつもあるのではとも想像します。「努力しているのに報われない」人間の気持ちとかを含めて。

 座右の銘が「初志貫徹」とのこと。恐らく、挫折を乗り越えて蘇れたのも、この言葉に支えられたと想像です。
 もともと、高校時代から好きな選手の1人ですけど、この「初志貫徹」という言葉、「叶えたい自分をずっと持ち続ける姿勢」が伝わる感じで、今回の走りをも含めて、「これからもずっと応援し続けたい!」と思います。
 「10月15日のMGC本番」、いままで培ったことのすべてを出し切って欲しい!、誰よりも壮絶な挫折を乗り越えた分、「想いの強さは人一倍である」と想像ですので。




 個別の選手の振り返りの2人目、「柳谷日菜(京都)」。

 個人としては「31分54秒、区間2位」です。
 クイーンズ駅伝で「5区(10km)」を走り、直近の12月の記録会で10000mの自己記録を1分近く更新の「32分01秒」、伸び盛りの選手だよとは伺っていました。

 で、調べると、関西大学時代に1年生からメンバー入り、2年生からは主力を務めて、4年生では全日本女子(5区)、富士山(5区)のいずれもで最長区間を務めてます。「関西学生ハーフマラソン」で2回優勝(2020年、2022年)の実績もあるとのことです。

 ですけど、ごめんなさい、関西大学時代の柳谷は、正直「かわいらしい雰囲気の選手だね」というのが「おぼろげながらレベル」である程度で、「どのような選手か」というのは、正直全くわかりませんでした。


 「どんな選手かはわからない、でも伸び盛りである」と伺う。
 だからこそ、注目して観てみたい。

 で、最初に結論から述べますと、

 「柳谷日菜という新星誕生!一人の陸上ファンとして、『今回の最大の収穫』!まだ潜在能力が開花し切っていない時点でのこの走りに『特大の可能性』を感じるし、長い距離ほど輝きを放てそう、まさしくマラソン向き!
 『2027年のMGC本番』に向けての意味では要注目選手といえるし、これからの女子陸上界を湧かせる選手になれそう!
 『応援したい選手の1人になった』と、はっきりと伝えたい!」


 いや、「かわいい」からでしょ、って?それが全くないとは言いません、確かに「かわいい」ですから。
 ですけど今回、柳谷にとても惹かれたのは、

 「完成度がまだ高くない中で、ずっと攻め続ける走りができている、福士加代子さんとは少しタイプが異なるかもだけど(現時点では、福士さんのような爆発力はない)、『ピッチ重視の走りなのに、それでいて躍動感を感じる』、そう、『いつか才能を完全開花させたとき、すさまじい領域に到達を叶えても決して驚かない』、そうはっきりといえる。
 それと、『優勝を叶えられなくて悔しい』という言葉が先に出てきたことも、大器の片鱗を感じる。『自分はもっとできるはず』と感じている証明だから。」

 と感じるんですよね。


 「京都の9区」。それこそ「歴代の名選手」が思い浮かびます。
 それこそ「選ばれし人間のみが務められる、最高名誉の一つ」です。

 「福士加代子」。ワコールは勿論、女子陸上界のレジェンドです。「都道府県対抗女子駅伝」が高いステータスを持つのは、福士さんと小林祐梨子さん、早狩実紀さんの長年の活躍があってこそです。
 「樋口紀子」「小島一恵」。立命館宇治高校、立命館大学の黄金期の原動力です。
 「木崎良子」「西原加純」。丹後地域、佛教大学が生んだ快足選手。特に木崎は2012年ロンドン五輪出場まで上り詰めました。


 名だたるビッグネームが務めた「最高名誉の一つ」、「京都の9区」。
 それに照らせば、柳谷は「目に見える実績がほとんどない若手有望株」です。
 「自分でいいのかな?嬉しいけど、重圧だなあ」。この感覚は恐らくゼロではなかったと想像です。

 ですけど、最初の2kmほどは重圧との闘いだったかもですけど、そこからの柳谷さんは距離を進めるたびに「輝きが伝わる」感じに映ってました。
 「足の回転の速さ」が、恐らく最大の特徴でしょう。ですけど、それでいて推進力を兼備できている。「抜ける」と判断したらギアを上げられる

 「憧れの存在」と公言する福士さんとは、正直タイプが異なります。福士さんは、むしろ「爆発的なスピード」が魅力でしたから。
 ですけど、柳谷の「ペースを安定して刻める感じ」「長い距離になるほどより輝ける、絶対的なスタミナ」は、それ自体がとても素敵な長所です


 そして何よりも、自分が柳谷に惹かれるところ。
 「走ることが大好き!」「楽しんで走っている」が伝わるんですよ。これがシンプルにとても好感であること。

 それと、柳谷は今回はボブヘアでしたけど(現役時代の福士加代子さんに近い)、関西大学時代は長い髪であったとのことです。
 柳谷は「童顔」ですので、長い髪も確かに似合ってます。ですので、髪を切るときは、恐らく勇気が要る決断だったのではと想像です。ですけど、正直に感じることとしては
 「柳谷の場合、いまのボブヘア、とっても似合ってるよ!『福士さんが観た景色を自分も観たい』という大きな一歩に確実になってるよ!」
 と、正直強く感じます。


 柳谷の潜在能力の最大値を「100」とすれば、いまは恐らく「30~40」ほどと想像です。粗削りとまでは思いませんけど、「完成されている」感じは全くないのです。
 それでいて、精神力が要求される9区で「31分54秒、区間2位」。「31分台での走破」は「トップレベルの選手の目安的な指標」といえる感じで、「特大の大器」であると映ります。

 気が早いと思われるかもですけど、「2027年のMGC」、そのステージに立つことは勿論、優勝候補の1人としてMGCに立つとなっても、正直驚かない、それほどの潜在能力を感じると。これからの成長の歩みが、いつ初マラソンのステージに立ち、そこでどんな景色を示すのか、現時点で既に「わくわく感」でいます。すでにハーフマラソンまでは守備範囲であることを証明済みですので、この解釈は決して非現実的ではないのではと。


 直近の12月の記録会での10000mの自己記録の大幅な更新、及び今回の9区での「31分54秒」という快走。9区区間賞は「生ける伝説」である松田瑞生ですので、柳谷の「31分54秒」は「松田を除けば1位」を意味します。
 これを自身にして欲しいと強く願いますし、それこそ

 「『柳谷日菜』は、(『不破聖衣来(群馬)』と共に)今後数年は『都道府県対抗女子駅伝の9区の中心を務める選手』になると考えてよい。
 『現時点で23歳』で、『2027年のMGC本番まで、あと4大会ある』こと、それに『京都の9区は、現実論的に柳谷が最適任である』ことが、追い風要素といえる。」
 (それに理論的には「大阪の9区」を選ぶこともできる。水本[大阪薫英女学院高校3年生、今春からエディオン]が10kmに対応できる目途が立つまでは「実質的な空位」の状況が続きそうだから。)


 そう、「京都の9区」「大阪の9区」のそれぞれの状況。

 「京都の9区」(立命館宇治高校関係の選手の質的な低下が徐々に顕著になりつつあること。個人的には「三原梓[立命館宇治高校→日本郵政。社会人2年目]」の将来性に期待しているが。細谷愛子は故郷は静岡であることにも留意が必要。そうなると、柳谷が「今後、2027年のMGC本番までは固定」で、その間に成長著しい「山本柚未[立命館宇治高校2年生]」や、三原が育つことが理想型だが。)

 「大阪の9区」(大会終了後、松田瑞生が「今大会を参加の区切りにする意向」を表明で「事実上の空位」に。候補の最有力は村尾綾香[大阪薫英女学院高校→ダイハツ]だが、中学生・高校生時代の輝きに照らせばいまの伸び悩みはもどかしい。村尾が復活できればそれが理想型だが、現時点でより現実的は「水本佳菜[大阪薫英女学院高校3年生、今春からエディオン]が10kmに目途が立つこと、それまでは村尾がつなぎ的に務める」感じか。それに「1,2区が『水本→中島紗弥』で2年連続で機能できている」ことを崩したくないことも考慮の要素になる。
 柳谷の出身は大阪なので、理論上はあり得る。ただ大阪は近年は「大阪薫英女学院高校つながりの度合いを強めていた」感じで、大阪桐蔭が母校の柳谷はつまり「非薫英」。尤も今回、7区で「非薫英」である白川朝陽[大塚高校2年生]が躍動したことで「ハードルが下がった」感があるので、柳谷が「大阪の9区」を望めば「水本が育つまでの最適解」になるが。)


 「京都の9区を務めさせて頂けたことに、とても感謝です」と述べていることに照らせば、現実的には今後も当面は「京都の9区=柳谷が最適任」といえるのではです。

 確かに、例えば3区のドルーリーは「とても強い衝撃」です。2区の中島、7区の白川は、自分の心をとても強く揺さぶりました。
 ですけど、1人の陸上ファンとしての「最大の収穫」は
 「『柳谷日菜』という新星に出会えたこと!」
 これを、はっきりとストレートに伝えさせて頂きます。これからもずっと応援したいです!と。


 今大会は「ポスト鈴木亜由子/松田瑞生時代」への突入の始まりともいえる。新たなる息吹を楽しみにしてることと共に、松田は「さあ、10月15日のMGC、最高の景色を叶えよう」!




 (前略)
 2021年の中止を挟んで7大会前の2015年も、アンカーを務めて同じように優勝のフィニッシュをした松田は、「安田監督に優勝をプレゼントできたことが本当にうれしく思います」と満面の笑顔で振り返った。

 「アンカーには松田がいる」(安田功監督)。それが大阪の合言葉だった。そして、その通りの継走を見せた

 1区の水本佳菜(薫英女学院高3)は、年末の全国高校駅伝で区間賞を獲得した同じ6kmを、実業団勢に交じって4位と健闘。これで波に乗ると、2区では薫英女学院高OGの中島紗弥(エディオン)が早くもトップに躍り出た。

 「1、2区で流れを作って、3区から8区をなんとか耐える」想定だったという安田監督。最高の出足から、その後もトップ争いを繰り広げた。

 各区間で遅れそうになる場面が何度かあったが、最後に盛り返す粘りを発揮。8区区間中7人が区間ひとケタでつなぐ。その目線は、常にアンカーの松田へと向けられていた。そして、その松田が8人の汗が染み込んだタスキを、しっかりとトップでフィニッシュに届けた。

 「あまり予想していなかったので本当にうれしいです。あの位置で松田に渡せば、という信頼感がありました。もう最高です」と選手たちにがんばりを称えた安田監督。特に薫英女学院高時代の教え子でもある松田に対して、「マラソンの練習を継続しながらですが、大阪のために走ってくれた。感謝しています」
 恩師からの期待に応えた松田も、「安田監督に呼んでいただいた限りは、自分の力を発揮するしかないと思っていました」と胸を張った。

 薫英女学院高の現役・OGを軸に全員が力を発揮し、エースが締めくくる。区間賞は松田のみ。まさに粘りの「全員駅伝」で、大阪が女王の座を取り戻した

 (『月刊陸上競技Online』、「合言葉は「アンカーには松田がいる」大阪が盤石の継走で4度目V!松田瑞生は区間賞で華添える/都道府県女子駅伝」[2023年1月15日]より。)



 8年前に大阪・優勝のフィニッシュテープを切ったのも、松田瑞生(ダイハツ)だった。「あの時も3位でタスキを受けました。もう8年も経ったんですね!」。そうおどけてみせた松田。当時は「10000mも走ったことがなかった」。“ホープ”だった当時から立場は変わっても、大阪のムードメーカーなのは変わらない。「アンカーに松田がいる」。その存在感で、1区から8区まで安心してタスキをつなげた。

 「腕時計をせず自分のリズムで走りました」。これも、都大路を駆け抜けた薫英女学院高時代と変わらない。神奈川の佐藤成葉とともに前を追う。東京、福岡に追いつき、2.6kmでトップに立つ。中間点を過ぎて、一気に独走態勢に入った。「後ろは見ない」のが自分のスタイル。右拳を突き上げてテープを切ると、大阪の後輩たちの元へ駆け寄った。

 高校の恩師・安田功監督から「監督をしているうちに一緒に勝とう」と誘われ、久しぶりに大阪のユニフォームをまとった松田。「今後の世界大会のスケジュールを考えるとこれが最後かもしれない」。27歳になった松田には、これから先の道のりがしっかり見えている

 思い焦がれてきた東京五輪代表を逃し途方に暮れたが、どん底から蘇った。昨年はオレゴン世界選手権に出場。たった1人で世界に挑戦し、入賞まであと一歩の9位で涙を流した。「また世界に挑戦したい」。その思いは強さを増す。
 (中略)
 「タイムも良かったのでマラソンに向けていい流れにつながると思います」。世界への渇望を癒やすために、松田は前だけを見て走り続ける。

 (『月刊陸上競技Online』、「松田瑞生「最後かも」大阪背負いVに笑顔 23年ブダペスト世界陸上とMGC両方挑戦!3月のマラソン「記録狙いたい」/都道府県女子駅伝」[2023年1月16日]より。)


 そして、個別の選手の振り返りの3人目、「松田瑞生(大阪)」。
 多くをここで言及するまでもない、なぜって、

 ただ『圧巻』に尽きる、1人だけ『異次元の領域』。『スピードとスタミナを高次元で兼ね備えている』
 持てる全力を出し切れれば(というか、プレッシャーに押し潰されなければ)、『10月15日日曜日のMGC本番の大本命』と言い切ってよい。」

 このことが、自分の正直な想いです。
 2016年、2019年の鈴木亜由子(愛知)の優勝劇は、
 「『都大路の経験値・コース形態(特に下り基調&長い直線。それと中学生時代から都大路で輝き続けた経緯から、沿道の観客を味方につけていた)』『愛知のユニフォーム(【亜由子の、亜由子による、亜由子のための】といってよい)』といった『補正値(これは独特のスター性を含めて)』の影響が少なからずあった(勿論、補正値を省いてもトップ選手ではあると思うので、勝利可能性自体は充分にあったとは思うが)。
 と正直感じてます(特に2016年は)。

 ですけど、今回の松田瑞生は、
 「ただ純粋に『負ける気がしない』。なぜって、『持っている総合的な能力値の総和自体が他を圧倒している』から。」
 と感じたんですよね。





 (前略)
 愛知に隙はなかった。米田監督が「前回の優勝は鈴木におんぶされたもの。でも、今回は違います。オール愛知の力を結集した結果です」と話す。
 その言葉通り、2区~8区までの中学生と高校生が、他チームの学生、社会人選手に引けを取らない力走をしたのだ。
 2区で区間賞を取り、9位から8人抜きでトップに立つ快走を見せた藤中佑美(光ヶ丘女高)を皮切りに、後の5人も区間ひとケタ順位で優勝争いの主導権を握り続けた。

 社会人は1区・荘司麻衣(デンソー)と鈴木の2人だけ。2秒差で区間賞を逃した鈴木だが、チームの立役者に違いない。
 この鈴木は中・高校生たちにとって憧れの的なのだ。「亜由子さんみたいな選手になりたい」と思っている。米田監督はそのあたりの空気を察し、「中学、高校の先生たちと協力して、『鈴木選手のようになろうよ』と合同練習してきました。今の愛知を支えている要素です」
 鈴木は鈴木で、先述と重なるが「みんなが背中を押してくれたのが大きい。MGCへの弾みがつきました。若い選手のパワーを自分の力にしたい」と、オール愛知を強調した

 (中略)

 鈴木がゴールした後は、お祭りムードで盛り上がった。光ヶ丘女、豊川、安城学園から選抜された高校生5人も、愛知県内で競い合うライバル意識など一切なく、和気あいあいと互いに健闘を称え合う
 「合宿や合同練習で、互いに刺激し合っていることが向上心につながっているのでは」と口をそろえる

 藤中が「チームの目標は優勝でした。達成できてうれしいです」と自身の区間賞より、チーム一丸となったことの喜びを語る。
 鈴木と同じ豊橋市出身の4区・古川璃音(豊川高)は、「一番の目標だった大会で優勝でき、その一員だったことに誇りを感じます」と言った。
 7区の小笠原安香音(安城学園高)は「亜由子さんにつなごうと、みんなの思いが優勝の夢を実現させたのだと思います」。
 3区の阪井空(水無瀬中)と8区の林那優(一宮中)は、「憧れだった亜由子さんと一緒だったことがうれしい。おまけに優勝まで。感謝の気持ちでいっぱい」と口にして目を輝かせた。

 第28回大会で7位を占めてから10年連続入賞の愛知。それまでは第1回大会の15位を振り出しに、10回大会まで入賞なしだったが、2回の優勝を含む17度の入賞。
 愛知が強豪の一つとして指を折られるようになったのは、地道な強化策が実ったからだ。今大会を契機に、新たな道を歩む。

 (『月刊陸上競技Online』、「【誌面転載】都道府県女子駅伝 愛知 〝絆〟の強さを証明」[2019年2月15日]より。)


 2019年の愛知。「憧れの亜由子さんと共に」
 2023年の大阪。「アンカーには松田がいる」

 自分は、「都道府県対抗女子駅伝の歴史」は、4つに大別されると考えてます。


 【自分が考える「都道府県対抗女子駅伝」の歴史。】
 創設(1983年)~2000年 (草創期)
 2001年~2014年     (福士加代子/小林祐梨子/早狩実紀の時代)
 2015年~2023年     (鈴木亜由子/松田瑞生の時代)
 2024年?~       (ポスト鈴木亜由子/松田瑞生の時代)
       [→廣中璃梨佳/田中希実/不破聖衣来/山本有真の時代?]


 「鈴木亜由子」「松田瑞生」
 「背中で、及び温かい言葉で示す」「輪の中心にいる」亜由子さん、「ストレートに強烈な言葉で示す」「輪の先頭に立つ」松田さんと、持っている性格はそれぞれに異なりますけど、亜由子さんと松田さんに共通してることがあります。それは「稀代のカリスマ性の持ち主」ということです。
 そして、会った記者は高確率で魅了されるという逸話を持つ。
 しかも亜由子さんは中学2年生から、松田さんは高校1年生から(出場自体は中学3年生から)、都道府県対抗女子駅伝で重要な存在として輝き続けてきました。いわば都大路と共に育ち、その成長の歩みにつれて、いつしか「故郷の中高生の憧れの存在」になっていった。「故郷(の都道府県)からの出場にこだわり続けてきた」ことも、特筆ととても強く感じます。

 「鈴木亜由子」「松田瑞生」という2人のカリスマを、リアルタイムで応援できることに、1人の人間として、とても幸せを感じます



 松田が競技場に入るとき、及びゴールした直後。 「想いが一つになっている」感じが伝わり、とても素敵な感じでした。 (中高生以上に、中島さんが「みずき姉さんを心底慕っている」感じが「優勝!」な感じです。)

 大会終了後の表彰式で、「いえーい」とピースサインする松田と、トロフィーを持って「どや顔」の中島と、満面の笑顔の大学生・中高生。
 「同じ方向を向けた」ことの結実が伝わり、いわば「松田イズム」が結実した感じで「おめでとう」と感じます。


 で、2019年に鈴木亜由子が、そして今大会で松田瑞生が、それぞれ「都道府県対抗女子駅伝への参加に区切りをつける」意向を表明しました。で、2人共に「『27歳』での『区切り(事実上の卒業)』」になった。
 (尤も当時の亜由子は、亜由子自身で「区切りをつける意向」を示した訳ではない、当時の米田監督が「世界への挑戦に専念して欲しい」「いると頼りきりになってしまう」といった理由で区切りをつけさせたと自分は解釈していますが。)

 いわば、「全盛期であるうちに」(特に30歳以降になると「スピードの衰えとの闘い」にどうしてもなりますので)ということと、「マラソンへの専念」が大きいのかなと想像です。

 で、今大会は「ビッグネームの参加がとても少ない」ことが特徴でしたけど、鈴木亜由子、松田瑞生の卒業劇を踏まえると、
 「今後、ビッグネームあるいは有力選手の出場は、『29歳までを事実上の上限で』の感じでになっていく可能性が高いと想像です。」
 と、自分は正直感じています。


 で、昨年から、「ポスト鈴木亜由子/松田瑞生時代」の息吹は起き始めていました。それは今大会で、より加速した感じがあります。

 「廣中璃梨佳(長崎)」「田中希実(兵庫)」「不破聖衣来(群馬)」「山本有真(愛知)」。現時点では、この4人が「次世代のフラッグシップ」の有力候補でしょう。
 で、1人の陸上ファンとしては、この4人に加えて「村岡美玖(長野)」「水本佳菜(大阪)」「柳谷日菜(京都/大阪)」の3人も加わって欲しいと正直感じてます。
 いま挙げた7人のうち、柳谷を除く6人に共通しているのは「故郷からの出場にこだわり続ける姿勢」です。田中、山本はこれを鮮明にしていますし、水本は今春からの就職先のエディオンは「大阪が登録地」ですので、「陸上人生を大阪一筋」がほぼ確定ですし。



 柳谷は、潜在能力を完全開花させたら「都道府県対抗女子駅伝の次世代の中心選手」に躍り出る素質は充分にあると映りますし、村岡は、今回の悔しさを飛躍へのステップにできる素質はあると強く信じています。
 ですけど、「都道府県対抗女子駅伝」の「最大のクライマックス」は、「アンカー(9区)の、特にラスト5km」であると自分は思っていて。
 で、「2016年の鈴木亜由子、1分37秒差の大逆転劇」、これに近いような「アンカーでのごぼう抜き&大逆転劇」を現実にできる資質能力を持つ選手、その最有力は「不破聖衣来(群馬)」である、と強く感じています

 「跳ねるような軽やかな走り」。「澄んでいるけど勝負師の眼差し」。
 それでいて、現代っ子的な感じの「勝負ピアス」。
 「絵になる」要素をいくつも備えている、それが「不破聖衣来」と感じるのです。そして不破の資質能力は、特に「前を追うとき」でこそ最高に輝ける、これは2つの大学女子駅伝で存分に証明済みです。

 それに群馬の選手編成的には、「8位入賞ラインからどれほど追い上げられるか」になると想像します、それこそ「2016年の愛知」に近い感じの。
 で、そこからいつの日か「聖衣来さんが憧れの存在です」という感じで育った中高生と融合して「優勝の景色を叶える」、そうなると最高に素敵だよねと。


 聖衣来さんの「陸上人としての最大目標」は恐らく、
 「2027年のMGCで2位以内→2028年ロサンゼルス五輪に出場」
 と想像します。で、鈴木亜由子さんは
 「2019年の都道府県対抗女子駅伝の9区で優勝を決める快走→2019年のMGCで2位で五輪出場を叶えた」
 でした。

 そうなると、「2027年の都道府県対抗女子駅伝」(聖衣来さんにとって社会人2年目。鈴木亜由子さんが2016年に初優勝を叶えたときと同じ年齢です)、これが一つの目標ですけど、つまり

 「来年(2024年)から4年間の『都道府県対抗女子駅伝』は、『ポスト鈴木亜由子/松田瑞生時代』の大会になる。この新世代である『◎◎世代』には、誰が名乗りを上げるか、いまからとても『わくわく感』の想いです。」

 これが、自分の正直な想いです。

 正直、想像以上にとても長くなりましたけど(激汗)、たくさんの人間ドラマが凝縮だから、「都道府県対抗女子駅伝」が自分はずっと大好きなんだと、こうして綴らせて頂いてより一層強く実感です。
 素敵な駅伝を、ありがとうございました。そして、応援したい人間に何人も出会えたことに感謝して、これからも陸上を楽しみに観たいです。


 【陸上・マラソン・駅伝#2B】【エッセイ#12B】

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