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世界への扉が開いた瞬間 不破聖衣来/陸上長距離【前編】|挑戦のそばに

2021年12月、10000mで日本歴代2位(当時)のタイムを記録。さらに翌月の全国女子駅伝で、13人抜きで区間新記録をマーク。女子陸上界のニューヒロインとして、彗星の如く現れたのが不破聖衣来選手です。
 
小柄ながら力強いストライドを武器に、大きな注目を集めた彼女。ですが、2022年は怪我に見舞われ長期離脱。しかし、その間も世界選手権を現地観戦して学びを得ると、復帰直後から活躍。「世界で戦う」堅い決意を胸に、走り続けます。
 
小さな頃から悔しさを糧に、新たな自分へと進化してきた不破選手。今回の『挑戦のそばに』では、監督や周囲からサポートを受けて2024パリ出場を目指す不破選手の競技人生に迫ります。

華々しい活躍と怪我に悩まされた1年

2021年12月の関西実業団ディスタンストライアル。
不破聖衣来選手は、10000mで30分45秒21と、
日本歴代2位(当時)の大記録を打ち立てました。
さらに続く、翌月の全国女子駅伝では、
4区(4㎞)で12分29秒の区間新記録を
叩き出し、13人抜きを達成。
一躍、注目の的となりました。

しかし、2022年に入ると怪我に悩まされます。
1月に右アキレス腱を痛め、股関節痛も発症。
4月には日本学生個人選手権5000mに出場した
ものの周回遅れでレースを終え、
所属する拓殖大学の五十嵐利治監督と相談し、
5月の日本選手権への欠場と、目指していた
世界選手権への挑戦を断念しました。

それから、実に145日後。
復帰の舞台となったのは9月の日本インカレ。
大会3日前まで出場を迷った状態ながら、
不破選手は10000mで優勝。
復活を印象付けました。
「直前まで思うように練習はできていませんでした。でも足の痛みはなかったので、それなら出たいと思い、出場を決めました。まずは完走することを目指していたのですが、結果優勝できて自分でも驚きました」
 
その後、10月に行われた全日本大学女子駅伝でも
力強い走りを披露した不破選手。
5区で2年連続区間賞を獲得しましたが、
本人はまだ「本調子には程遠い」と話します。
「今年に入ってから怪我や貧血などで、なかなか思うように練習できないことが多かった。インカレや駅伝では結果を残せましたが、自分の中ではまだ満足に走れていない部分があるので、もっと伸ばしていけると思います」
 
そう話して、これからの完全復活、
今後の世界挑戦への意思を覗かせます。
 
しかし、大学進学まで彼女は「具体的に世界で
戦うイメージがつかなかった」と言います。

“世界を目指そう”と言われ、可能性が広がった

小学生のころ、持久走大会で9位になり、
それが悔しくて、おじいちゃんとお姉さんと
一緒に走り始めた不破選手。
 
中学校で陸上部に入ると、
「1年生の総体で、県大会までは絶対行けるだろうと思っていたのですが、あと一人のところで予選落ち。それが悔しくて、練習に真剣に取り組むようになりました」と、本気で競技に打ち込むようになります。
 
高校ではコロナウイルスの影響で
大会が中止になる中、自身の気持ちにも
変化が訪れました。
 
「コロナによる大会自粛時期は、怪我やストレスで全然走れていない時期だったので、リハビリに専念できて良かったと考えています。メンタル面も、距離とタイムに関する捉え方や自分の感覚が変わったので、それが復帰後の良い結果につながりました」
高校生活終盤で不破選手は、全国レベルの選手として認知されるようになっていきます。
 
そして、拓殖大学へ進学を決めます。
一番の決め手になったのは、五十嵐監督に
かけられた言葉でした。
 
「いろんな大学から声をかけていただいたのですが、監督からは『日本一じゃなくて、その先の世界を一緒に目指そう』と言っていただきました。それまで自分の中では、“世界”という目標が明確じゃなかったんですけど、その話を聞いた時に自分の可能性がすごく広がった気がして。ぜひ一緒にやりたいなと思ったので、拓殖大学を選びました」

出るからには、世界で勝負する力をつけてから

そして2022年、出場を目指していた世界選手権は、怪我により参加できませんでしたが、現地で観戦。
改めて世界のトップレベルに触れて、
自分の足りない部分を見つめなおしました。

「世界はすぐ目の前というところまで来て、結局今回は出場することができなかった。ただ、現地で実際に見て感じたのは、今回仮に絶好調で出場していたとしても、本当に“出ただけで終わっていたな”ということです」

世界で戦えるランナーになるには、
しっかりとした準備と心構え、経験も必要です。
「10000mで世界で戦うには、終盤のスタミナ、スピードも必要だなと感じました。出るからには、そこで勝負する力をつけてから出場したい。しっかり大会で結果が残せるように頑張って、また辿り着きたいと思います」

今までもたくさんの悔しさを、
自らの力に変えてきた不破選手。
2022年に感じた悔しさもまた、
彼女をより強くするはずです。

➡後編に続く(2023年1月31日公開予定)

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