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「第1話 ダンボールの箱」ホームレス猫タマ

<第1話>

春の夜、自転車に乗った男がダンボ-ルの箱を、公園の滑り台の下に隠した。
暗くてよく見えないが、中から泣き声が聞こえてきた。「ミヤ―ン、ミヤ―ン怖いよ、 助けて~。」中には、4 匹の子猫が入っていた。

 次の日の昼頃、公園に遊びに来ていた女の子とお母さんが最初に気が付いた。 「ママ。猫ちゃんがいる。いっぱいいるよ。」 「あら、かわいそうに捨てられたのね。怖くて震えているじゃない。」なんて無責任な 飼い主だとか命を粗末にするなんて許せないとか言っている。 「ねえママ、おうちで飼ってあげよう。」
「そうね、でも全部は無理よ。1 匹だけよ。」 「わかった。じゃー、この白い子がいい。」そう言って箱の中から白い子猫が抱き上げ られた。

親子が帰った後、しばらくすると公園を中学生の女の子が通りかかった。 泣き声で気付き、箱から縞模様の子猫を抱き上げ帰っていった。こうして 2 匹は、引き取られることになったけどものこりの 2 匹は引き取り手がいなかった。何度か箱を覗く人もいたが、がりがりに痩せた 1 匹と警戒心が強い反抗的な灰 色の子猫を連れて帰る人は誰もいなかった。

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