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なぜOpenAIはGPT-4oを短期間で実現できたのか?

毎週月曜日は「AI時代の経営学」。
今回はAI時代の標準的なワークフローとなる「アジャイル」について解説します。特に「アジャイル」の中でも人気のフレームワークである「スクラム」を中心に、その背景にある考え方について見ていきます。

先日、Open AI社からGPT-4oが発表され大きな話題を呼びました。ここまでのOpen AI社の歩みを見ると驚異的です。主なイベント内容を見ても以下の通り短い期間に多くのことを達成しているということが分かります。

・2022年11月 「GPT-3.5」がリリースされて世界的な話題を呼ぶ。
・2023年3月 さらに高性能の「GPT-4」モデルがリリースされる。
・2023年10月 画像出力(Dalle-E3)や、音声入力・画像入力(GPT-4V)がリリース。
・2024年2月 動画の生成を行う「Sora(ソラ)」が発表。

実に1年半の間に他の企業であれば5,10年以上かかりそうなマイルストーンを軽々と達成しています。

こうしたOpen AI社の生産性やスピードの速さの背景にあるのが今回紹介する「アジャイル」式の生産方法であると言えます。先日、Open AI社へのインタビューが公開されました。

この中ではOpen AI社が迅速にChat GPTの新機能を発表できる理由を聞かれ、次のようなことを回答しています。

・Chat GPTを独立のスタートアップした運営する。
・独立した段階的なリソースと高い人材密度
・日々の習慣の積み重ね

こうしたChat GPT部門の運営の仕方こそ、まさに「アジャイル」方式であると言えます。

AI時代にはすべての仕事の仕方がこのOpenAI社と同じような考え方になっていくことが予想されます。この点については、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひこちらも合わせてご確認下さい。

この記事は次のような方におすすめの記事になっています。

・AI時代のスタンダードな仕事の仕方についていち早く取り入れたい。
・自分の会社をAI時代に対応した形に変化させたい。
・アジャイル開発についての基礎知識を得たい。
・未来の働き方に興味がある。

早速お話していきましょう!



アジャイルとは何か?

まずは「アジャイル」の概要について説明します。「アジャイル」はもともとソフトウェア開発において取り入れられてきた生産方式です。その特徴は、短いサイクルで多数のマイルストーンの達成を目指すことにあります。

「アジャイル」は2000年代以降に生まれた手法で、伝統的な「ウォーターフォール」とは異なり、変化の激しいビジネス環境に柔軟に対応できるよう設計されています。

「アジャイル」はその後、ソフトウェア開発だけでなく経営やマーケティングにも取り入れられるようになりました。AIの登場により、すべての仕事が「アジャイル化」するという流れはさらに加速していくことが予想されます。

つまり、これからの社会において全てのビジネスマンが基礎スキルとして身に付けなければならないのが「アジャイル」であると言える訳です。

アジャイルの具体的な方法論

「アジャイル」にはいくつかの方式がありますが、ここでは最も一般的なスクラム方式に絞って解説します。スクラムは「透明性」「検査」「適応」という3つの価値を実現するよう設計されています。

スクラムではまずスクラムチームと呼ばれる自己管理型の小さなチームが作られます。このチームは、機能横断型で必要なスキルをすべて備えた人員で構成され、基本的には専任の人員を配置されます。

つまり、「アジャイル化」する社会の中で、これまでの部署制は解体されていき、いずれは全ての人材がいずれかのスクラムチームに属して働くことになっていきます。


5つのイベント

スクラムチームは主に5つのイベントを通じて仕事を進めます。

1. スプリント:2週間から1か月程度の基本サイクルで、スクラムチームは目的に向けてスプリントごとに生産物を作成します。
2. スプリントプランニング:スプリントの起点となるイベントで、開発を進めるプロダクトのバックログを選び、タスクに分解してスプリントバックログを作成します。
3. デイリースクラム:チームメンバーが互いの状況や課題を把握するため、毎日15分以内で進捗や問題を確認します。
4. スプリントレビュー:スプリントで達成した成果物を発表し、フィードバックを受けるイベントです。
5. スプリントレトロスペクティブ(振り返り):スプリントを振り返り、品質や効果を高める方法を計画します。


3つのバックログ

アジャイルではToDoを「バックログ」と呼び、以下の3つに分けます。

1. プロダクトバックログ:プロダクトに必要な項目を優先順位で並べたもので、プロダクトオーナーが管理します。
2. スプリントバックログ:プロダクトバックログを実行可能なレベルに細かく分けたもので、スプリントの目標に向けて作業が反映されます。
3. インクリメント:プロダクトバックログに基づいて作成された作成物で、スプリントで複数のインクリメントが作成されます。


なぜ「アジャイル化」が必要なのか?

さて、ここまで見てきたように「アジャイル」はこれまでの働き方とは一線を画します。そしてこうした「アジャイル」の仕事の仕方はソフトウェア開発だけではなく、あらゆる産業、あらゆる職種に浸透していくことになります。

では、なぜAI時代にはこの「アジャイル化」が進んでいくことになるのでしょうか?

アジャイルは短い期間(スプリント)で細かいゴールに向けて生産を繰り返し、対象となるプロダクトやサービスを少しずつリリース・改良していく手法です。重要なことに対して機動的にリソースを集中させ、顧客のニーズに柔軟に対応できることがアジャイルの本質です。

つまり企業にとって「重要なことに対する柔軟で即時的な実行力」が、「アジャイル化」の根底をなす意義であると言える訳です。IT化による顧客とのコミュニケーションの緊密化や新しいビジネスモデルの登場がこれまでアジャイルの必要性を高めてきました。

AI時代には顧客とのコミュニケーションはさらに高速化し、AIが中心的なタスクを担うことになります。したがって、アジャイルへの移行が企業の生き残りの鍵となるでしょう。これがあらゆる組織のあらゆる仕事が「アジャイル化」していく背景であると言えます。

次回予告

さていかがだったでしょうか。
今回はAI時代の経営を考える上で重要な「アジャイル」の基礎知識をお伝えしました。特に重要なことは「アジャイル」の本質が「重要なことに対して機動的にリソースを集中させ、顧客のニーズに柔軟に対応できる」ワークフローであるということ。

AI時代が到来し顧客のニーズをより深く捉えられるようになり、あらゆる仕事のスピードが高まる中では「アジャイル化」が企業の生き残りの最重要条件の一つになっていきます。

次回の「AI時代の経営学」では以下の3つのことをお伝えし、更に深堀りしていきます。

・開発以外のワークフローに「アジャイル」を取り入れる方法
・アジャイル化への対応のために経営者や従業員は何をすべきか
・アジャイル時代に活躍できる人材の条件

更新は5月27日(月)です。
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