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こんな中学校を創ってみたい(第3回)

50分集中しきれたら良い子?25分しか集中しないのは悪い子?

中学校では、減点意識をもっている先生が多いように思います。
・宿題のワークを提出しない、提出しても答えを丸写しだから …減点‼
・授業課題に50分間集中して取り組むべきなのに、終わったからといって
 25分間もダラダラとしているから …減点‼
・グループで話し合いをさせているのに、参加しないから …減点‼
・テストに途中式が記載されていないから …減点‼

例えば、上記のような「雰囲気」感じることありません?
このような理由で減点されてしまった生徒、少なくないと思います…(-_-;)
というわけで、今回も妄想を膨らませてみましょう。

文科省HP参照

よくある宿題の背景は…

宿題は先生が「やりなさい」といって生徒に課している場合が多いです。生徒の立場で考えると、「分かっていることをやる必要ない」とか「分からないから解けない」とか「習い事があるからそんな時間はない」などの理由で、今一つモチベーションが上がらないかもしれませんね。けれど「減点」されたくないから渋々…。逆に、宿題をキチンと進めていくことで達成感を味わう生徒も少なくありませんね。

先生の立場から考えると、「反復で成績が上がり、定期テストや高校入試に役立つ」「通知表の評価材料の1つになる」「社会では、やりたくないことをやりきる力も必要だ」といった思いで宿題を課すというのが現状なんだろうと思います。まぁ、分かる部分もある気がします…。

いずれにしても、先生が課した宿題には、内容によって違いはあれど、高い学習効果があるとは言い切れないないようにも思えます。

授業は、時間いっぱい集中しなきゃダメ?

中学校の授業は1コマ50分です。生徒の集中力はそんなにもちません。
先生の話が何言ってるのか分からなかったり、先生の声が恐ろしく眠気を催す波長だったり、活動していてもあんまり面白くなかったり、すぐに飽きちゃったり…。逆に、内容が分かっている場合でも、本時の授業内容が最低限理解できたと思ったら、生徒は「はい、終わり」と思う。

今は、アクティブラーニングがどの学校もある程度定着していて、生徒同士が互いに教え合いながら進める授業も多いです。とはいえ、そうだとしても集中力がもたなかったり、そもそもコミュニケーションを不得手とする生徒もいたりします。そもそも、いまだに50分間黒板を書きまくりながらしゃべり倒す先生も少なくないですし…。

こんな状況で、50分間がんばらなければ「意欲がない」という判定が下されるということは、なかなか厳しいような気がします(-_-;)

グループ活動は参加しないとダメ?

主体的な活動にするための手段として、先生は「班になって話し合いをしましょう」といいます。先生もよく考えていて、話し合いが成立するように「座席」を工夫したり、生徒同士が話し合いやすくなるような学習課題やワークシートをつくります。
けれど、グループ活動が円滑に進むかというと決してそうでもなく、難しい場合が多いです。どういうことかというと、グループ活動は主体性を育んでいるようで、「グループで話し合いなさい」という、ある意味強制力をもった先生の指示で行われることが多いからです。「話し合い」や「学び合い」と言えば聞こえはいいですが、これではやらされ勉強になってしまいますね。そもそも、一人でじっくり進めたい生徒もいるでしょうし。

定期テストは何のために?

定期テストの目的には諸説ありますが、結局は「評価評定をつけるため」だと思っています。確かにテストを行うことで、生徒一人一人の苦手やつまずきを見つけ、生徒がそれを復習する材料としたり、先生が授業を工夫したりするためという目的もあるでしょう。これは理想的な考えですが、世の中そんなに期待通りにいくものではなく、大部分の生徒や先生は、テスト後に「もっとちゃんとやっておけば」と思うくらいのものです。大切なその思いは、一晩寝ると、日々のせわしない学校生活の中に溶けて霧散していってしまうことが多い気がします。

多くの中学校では、未だにテスト一発勝負にかける想いが強いと感じます。「テストは大事」「テストで結果を出さなければ」「成績が」「高校入試が」という考えは、生徒にも保護者にも先生にも共通していると思っています。だから、先生はテストを厳正に採点しようとします。答えはあっているが、途中の思考が記述されていなければ減点する場面も生じます。もっと言うと、「習っていない解き方や考え方である」とか「授業で教えたやり方ではない」という理由で減点される場面も出てくるわけです。
一発勝負にすべてをかけるというヒリヒリした戦いは嫌いではありませんが、果たしてここではそれが必要なのかと思います。

加点方式で生徒の育ちを支援しましょう

学びって「自分がやりたい」「もっと知りたい、できるようになりたい」って思ったときに、ふっと始めちゃうものです。まさにそれは、「主体的に学習に取り組む態度」ってやつです。宿題というか家庭学習も、生徒本人が「やりたい」とか「やらなきゃ」って自覚するからこそ、その中に楽しさを見出し、学びを持続可能ものにすると思っています。

上記の減点されそうな可能性を一気に解消するためには、加点方式の授業が望ましいのではないかと思います。実際に私が数年前に、数学の授業でやっていたことでもあるのですが、
(1)1年間分、または単元分の課題を準備する。課題は評価B基準と評価
   A基準の2種類設定しておく。簡単に言ってるが、この準備には結構
   時間がかかる(-_-;)。今はICT教材がかなり充実してるから、うまく
   使えるとよい。
(2)生徒は自由に課題にチャレンジする。生徒は、何を見ても、何を調べ
   ても、どこで誰と相談しても構わない。一人で黙々と進めてもよい。
   「先生の説明を聞く」と「板書を写す」という時間が授業から消える
   ため、生徒が考える時間を多く確保できる。
(3)課題はどこから始めてもよい。ただし、学校として定期テストが実施
   されているため、生徒自身が進度を調整する。
(4)授業のラスト5分だけは、振り返りシートを書く。内容は、進捗状況
   のチェック。そして、何が分からなくて、誰と何をどうしたら、何が
   分かるようになったかを記述する。これをしないと、授業時間が過ぎ
   ても、勉強をやめない生徒がでてくる。困ったものだ( ´∀` )
(5)生徒は、達成度をチェックするために、1単元分の課題が終わったら
   先生にチェックしてもらう。先生はその場で類題を課したり、口頭で
   生徒の回答の根拠を聞いたりする。だから、暗記や教えてもらったこ
   とを丸写ししただけで課題をクリアすることはできない。生徒はクリ
   アできなければ再挑戦するために復習をする。言ってみれば。一発勝
   負ではなく、何度もチャレンジできる仕組みとしている。先生のチェ
   ックは授業中に限らず、朝でも昼でも放課後でも構わない。
(6)どうしても分からないことは、先生に質問して教えてもらうことがで
   きる。「先生は教えたい⇔生徒は教わりたい」この利害が一致するの
   で学習効果は極めて高くなるし、生徒は欲しい情報をピンポイントで
   教わることができるため「先生分かりやすい!」と思うようだ。
(7)達成率が高まれば、それに応じて評価が上がる仕組みにする。この評
   価方法だと、評価は上がるのみで下がることはない。教科の得手不得
   手はあるにせよ、頑張った分だけ成績は向上するぞ、と予め生徒に説
   明する。だって「成績」ってそもそも読んで字のごとく、「紡いで
   (績)成し遂げる」ということだから。ちなみに4,5を獲得するに
   は、それ相応の難題を課す。
(8)宿題は課さない。が、進めたくて、勝手に家庭学習してくる生徒も少
   なくない。だって達成度が高まった分だけ成績が上がるから。
(9)定期テストはしょうがないので学校に従って実施した(ちなみに個々
   の得点はそれなりに向上し、平均点もまぁまぁ上昇しました。もとも
   と高得点を獲得する生徒は変わりようがありませんが。問題も「解き
   方を書け」とか「この解き方の間違いを指摘せよ」みたいな出題を増
   やしました)。定期テストも単なる評価の一部と捉えて、評価評定を
   算出する仕組みにした。

いかがでしょう。因みに、授業中の先生と生徒のコミュニケーションは爆発的に増加します。達成度確認のために必ず問答することになるからです。ただ、授業中は、基本的には自分たちでワイワイと勝手に学習を進めているので、基本的には先生は暇です。だから余った時間は、コミュニケーションが苦手でかつ学習をうまく進められない生徒に対してつかず離れず支援します。目が届かない生徒はいなくなりますし、50分間じっとしていてかつ先生の話を聞かなければならない状況がありませんから、「苦痛だ」という生徒や「ちゃんと話を聞け!」という先生の、気持ちのズレも解消されます。結構、面白くないですか?この実践は、何の研究指定もない、ごく普通の地方の公立中学校の話です。

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