「チャレンジャーセールスモデル」を読んで -健全な関係構築のための「価値の交換」について-

毎月定例で行っている輪読会Reading Quest。
今回の課題図書は『チャレンジャーセールスモデル』でした。

前職は人材紹介、現職では企業と子どものオープンイノベーションを立ち上げるべく法人営業として勤めている私ですが、正直「営業」には強い苦手意識があります。
しかしながら、何をするにおいても(たとえプライベートであっても)
人と生きる中で、営業を切り離すことはできないと考えているため、
本書からの学びを生かしていきたいなと考えています。

このnoteでは、本書のディスカッションを通して、
なぜ自分が苦手に感じていたか、
そして向上のために何がキーとなりそうか、
そして本書から若干逸れるものの、
更に理想とするセールスモデルを作るには何が重要かという気づきをまとめていきます。

チャレンジャーセールスモデルの要約

どんな時代背景においても、
トップクラスの成果を出してきたセールスマンにはモデルが存在するのか、
存在するとすればどのようなモデルなのか、転用・育成していくにはどうすれば良いのかを多数のサンプルをもとに打ち出した本。
結論として、圧倒的に成果を出してきたのは「チャレンジャーセールスモデル」であり、顧客を指導し、適応し、支配するタイプの営業マンだった。
逆に、多くの人が理想としてきた「関係構築型」はパフォーマンスとしては低い傾向だったという驚きの結果が出てしまった。

ここでいう指導とは、顧客の潜在的な課題に対し、新たな気づきを提示すること、
適応とは、顧客の状況などに共感すること、
支配とは、顧客の意思決定プロセスを握り、主導権を持つことである。

チャレンジャーセールスモデルはBtoBのソリューション営業の基本スタイルである

本書では、顧客に寄り添い、顧客に尽くそうとする関係構築型の営業マンより、
顧客に指導したり支配したりする"チャレンジャー"な営業マンが結果を出していることに「驚き」と表現していましたが、
感情でジャッジするBtoCはともかく、BtoBのソリューション営業やコンサルティング営業であれば、基本だなと感じました。(知っているのと出来るのは全く別の話ですが!)

顧客に"挑戦的である"という表現で、
てっきりゴリゴリマウンター系の押しが強い営業マンのことかな?と思いましたが、
本質は、「顧客が目的を達成するために重要であるにも関わらず、気づいていなかった課題に対し、自社ならではのソリューションを提案する」営業マンのことで、選ばれるべくして顧客に選ばれるというtheハイパフォーマーなスタイルだと思います。

結果が伴いにくいセールスモデル

では、チャレンジャー以外にどんなセールスモデルがあるのでしょうか。
それは、関係構築型、問題解決型、勤勉型、一匹狼型と全てで5つの傾向に分かれるそうです。この中では、長年最も成果を出すと信じられてきた関係構築型が最もハイパフォーマーの割合が少なく、調査員を驚かせたようです。
「君のことはいいやつだと思ってるよ。だけど、買うのは別の会社の商品かな。」こういうことが、今は当然に行われてしまうということです。
ただ、誤解してはいけないのは、チャレンジャーの中のハイパフォーマーの比率が高かったというだけで、他のモデルはハイパフォーマーになり得ないかといえばそういうわけではないということ。
そして、さらに、このセールスモデルは育成が可能ということ。
私自身が営業が苦手だ…と感じているのは、まさに、結果が伴わないからです。巻末にあるセールスモデルの自己診断をしてみたところ、「勤勉もしくは問題解決型」と出ました。確かに、自分のスタイルを振り返ってみても、「価値提供=提案」をしなきゃと思っても、「エスパーでもないのに、そんなことできない…」なんて思ってしまい、結局御用聞きになってしまう事ばかりでした。そうすると、多くの競合がいるなかで、自分が選ばれるべくして選ばれる理由がなく、結果は伴わず、自己評価も下がっていく…という繰り返しでした。
つまり、私が変えるべきは「御用聞きから新たな気づきを与える」というセールスモデルに転向すること。これには、相手を知り、自分を知り…そして相手に提供できるレベルで自分の知見を伸ばさなければいけません。
今回、noteを再開したのは、そのインプットとアウトプットを伸ばす取り組みの一環なので、地道にやってみようと思います。

「指導・適応・支配」にさらに加えるとしたら?

本書では、ハイパフォーマーはチャレンジャーセールスモデルに多く、そしてその特徴は「指導・適応・支配」にある、と述べられていました。
ここであえて、更なる理想のセールスにおいては他にどんな要素が良いか?という議論がうまれたので考えてみます。

ちなみに私は、セールスは継続が最重要だと考えています。
新たな気づきを与えられて契約に至っても、焼畑的に1回のやりとりで終わってしまったらコストに見合いませんし、自転車操業になってしまいます。

では、その継続をうむにはどうしたら良いか?もっといえば、健全なサイクルをつくりだすにはどうしたら良いか?
私は、サイクル化において重要なのは「価値の交換」ではないかと考えています。
つまり、与えるばかりではなくて、受け取ることもするということ。これはもちろん、報酬以外で。

ちょっと関係構築型っぽく聞こえる気がしますが、うまい営業の人って、「おねだり」「お願い」みたいなのがうまいイメージがあるのです。でも、それはTakeのおねだりじゃなく、相手にも価値提供のチャンスを与えるような、相手の「負債感」を無くすような、無理のない関係を作るイメージ。
「今回はうちの商品を使ってくださってありがとうございます。ちなみに、うちは今こういうことで困っていて…。前おっしゃってた御社のサービス、一度使わせてもらえませんか?」というような。
こんなに業界が複雑に変わっていく時代、売買の関係性も常に変わっていきます。常に買う側、売る側というわけではなく、いつの間にか競合になっていたり、共同開発者になっていたりすることもあるわけです。そんな中、お互いがお互いに提供し合うような健全な関係を構築できていることが強みになっていくのでは?と思います。

私自身、人によって、与えることが多くなったり、逆にもらうことが多かったりのアンバランスに陥ることがありますが、どちらも疲弊して長続きしないことが多いです…(大抵もらうことが多すぎて居た堪れなくなります)。

といいつつこれは、情とか義理に訴えかけようというのではなく、相手が価値の交換をしたいと思えるレベルに、こちらが提供しなければこのサイクルは起こり得ないからこそ、自分が提供する価値を高めようという話です。結局、「指導」がいかに相手のインサイトに刺さるか、そのための準備がハイパフォーマーたらしめる要因になりそうです。

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