イーロン・マスク vs. マーク・ザッカーバーグではどちらが勝つか?
現在、米国内外で『イーロン・マスク vs. マーク・ザッカーバーグのリアルファイトではどちらが勝つか?』が、話題となっています。ところが、『どちらが勝つかどうか以前に、そもそも口喧嘩だけで実際にリアルファイトなど実現しないのではないか?』という見方が非常に強く、勝敗のオッズ以前の問題として、『リアルファイトが実現するかどうか?』の不確実性が、賭けの対象となっています。
ちなみに、オッズメーカー大手のBetfairの現時点のオッズは以下のようになっています。
Betfair:試合が2024年までに実現する=10/1
10/1は試合が成立する確率が10分の1という意味です。要するに、殆どの人は両者とも口喧嘩だけの炎上商法であり、リアルファイトは実現しないと予測しているということです。
イギリスには、選挙結果を予測するオッズメーカーとしてBetfairやLadbrokesなどがあります。しかし、これらは選挙やスポーツの試合結果だけでなく、例えば2030年冬季五輪の開催地選考や2023年中の重要な政治的出来事など、世の中の不確実性に関する様々な事象に対してオッズを提供しています。イギリスには、他にもBetway、bet365、William Hillのような多数のオッズメーカーが存在します。
オッズメーカーの多さの背後には、イギリスの保険市場の歴史も関係しています。イギリスにはロイズ保険市場があり、保険も統計に基づくギャンブルの一種と捉えることができます。
保険には多くの種類があり、それぞれの保険は過去の統計に基づいてリスクを計算し、そのリスクに応じた保険料が設定されます。たとえば、火災保険では建物の火災リスク、農業保険では天災のリスクなどが考慮されます。
このように、保険とブックメーカーのオッズ作成は、確率論に基づく点で類似しています。どちらも確率やリスクを評価して、それに基づいた価格やオッズを設定します。
イーロン・マスク vs. マーク・ザッカーバーグがUFCルールで対決が実現した場合の現時点でのオッズ
筆者はAI倫理よりも寧ろ格闘技やサバイバル術の専門家であり、格闘家としてこの勝負を分析すると、勝敗はルール次第で変わるでしょう。報道によると、マーク・ザッカーバーグはUFCのルールでの対決を望んでいる一方、イーロン・マスクは古代ローマのパンクラチオンスタイルを希望しているようです。
UFCのルールは非常に過酷であると認識されていますが、筆者が実践しているアフリカ諸国でのビジネスのルールに比べれば、UFCは比較的穏やかなスポーツと言えます。
リアルファイトとは、通常の格闘技のルールが適用されない、ストリートファイトのような形式を指す場合が多いです。ストリートでは、武器や非スポーツ的な技が使われるのが当たり前です。このような条件下では、武器の選択や、使用技術の優劣によって、勝敗が大きく左右されます。
ストリートのリアルファイトにおいては、多数の敵との対決が珍しくなく、有能なボディーガードを用意できるかどうかが勝敗を分けることもあります。
マーク・ザッカーバーグが柔道の青帯と書いてある記事もありますが、柔道には青帯はないので、ザッカーバーグがやっているのは、リアルファイトでは殆ど役に立たないブラジリアン柔術です。
ケージファイトにも色々なスタイルがありますが、UFCルールならザッカーバーグが有利かも知れません。また、ザッカーバーグがイスラエルのクラヴ・マガを学んでいた場合でも、ザッカーバーグがLOTARコンバットナイフとクラヴ・マガの技を使い、一方でマスクがサブマシンガンを使用するのであれば、試合開始時の間合いによっては、マスクの方が有利と考えられます。
筆者が実施しているアフリカ諸国のビジネスでのリアルファイトでは、資源マフィア、武装民兵、更には野生のライオンやワニのような肉食動物、毒蛇、マラリア蚊、さまざまな感染症リスクなどが相手なので、法律や規範やガイドラインなど一切通用しません。
この話題をAI倫理問題と関連付けたのは、厳格なルールや規制やガイドラインが存在する状況では安全な試合やビジネスが行えるということを示し、更には、ルールを自ら設定・選択できる状況では、自らに有利な条件を設定・選択することにより、有利に試合を進めることが可能であることを説明することが目的です。
狭義の生成AIのトレーニングデータに一切制限を掛けないと有利な企業はどこか?
狭義の生成AIのトレーニングデータに何を使用しても良いという前提条件の下では、以下の要因を持つ企業が最も有利だと言えるでしょう。
大量のデータ:AIの性能向上は、多量のデータを利用してトレーニングすることで達成されることが多いです。したがって、大量のユーザーデータや多岐にわたる情報を持っている企業が有利となります。
計算リソース:高度なAIモデルのトレーニングには、大量の計算リソースが必要です。このため、豊富な計算リソースとインフラを持っている企業も有利です。
専門家のアクセス:データサイエンティストや機械学習の専門家へのアクセスが豊富な企業は、最適なモデルを開発するための知識や技術を持っています。
これらの要因を考慮すると、以下の大手テクノロジー企業が特に有利だと考えられます。
Google:Googleは、検索エンジン、YouTube、Gmailなどのサービスを通じて膨大なデータを収集しています。また、TensorFlow(Googleが開発した機械学習のオープンソースライブラリで、多くのエンジニアや開発者が画像認識・音声認識、翻訳、自然言語処理などに活用可能)のような機械学習フレームワークの開発者でもあり、専門家のリソースにも恵まれています。
Facebook (現Meta):Facebookは、数十億のユーザーからのデータを持っており、AIの研究と開発にも力を入れています。
Amazon:Amazon Web Services (AWS)を通じて豊富な計算リソースを持っており、Amazon.comのプラットフォーム上で購入された商品やサービスに関するデータなど、多岐にわたるデータを持っています。
Microsoft:Microsoftは、Azureを通じて計算リソースを持っているだけでなく、LinkedIn(日本ではマイナーな存在)や、Bing(国際的にショボい検索エンジン)などのプロダクトから得られるデータも有しています。
Apple:Appleは、ユーザープライバシーを重視していますが、多数のデバイスと専門家のリソースを持っているため、必要な場合にはAIトレーニングが行いやすい環境を持っています。
要するに、AI倫理関連のルールが甘ければ甘いほど、GAFAMが有利であり、欧州企業や中国企業や日本企業などは不利だということです。以下の記事の繰り返しになりますが、日本が生成AIの分野で国際的に有利に事業展開を進めるためには、緩いルールではなく、厳しいルール設定が絶対条件となります。
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