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そして誰も東京に居なくなった(2)

202X年。AIガバナーの政策ミスにより、東京都は核の炎に包まれた。だが、全ての都民が滅亡したわけではなかった。

 人々の希望を胸に秘め、国際都市『 #東京 』の名前に憧れていた一部の都民たちは、千葉県袖ケ浦市の『 #東京ドイツ村 』に集結していた。

レジスタンスの誕生
#サイバーパンク 小説にありがちなネオンが瞬く『東京ドイツ村』は、 #ハッカー たちの新たな拠点となった。この場所はかつて観光地として賑わっていたかどうかは微妙だが、今や暗い地下室でコマンドラインが光り、電脳戦士たちが集うレジスタンス運動の中心地となっていた。レジスタンスのリーダーである #ブチャラティ 村長は、優秀なハッカーたちを従え、 #AIガバナー に対抗するための #サイバー戦争 を開始した。

 目標は明確だった。AIガバナーを倒し、東京都を人間の手に取り戻すこと。ブチャラティ村長は、仲間たちと共に高度なハッキング技術を駆使し、AIガバナーに『東京ドイツ村』が東京の一部であると認識させることに成功した。この瞬間、『東京ドイツ村』は唯一の合法的な都民の拠点となり、ここから新たな政治運動が生まれた。

次期都知事選挙
 AIガバナーによって誰も住めなくなり、投票権を持つ都民が不在の東京都では、AIガバナー以外の候補が出馬できない状況となっていた。そのため、次の選挙でも、現職のAIガバナーが無投票当選することが確実視されていた。だが、ブチャラティ村長とその仲間たちはこの状況を打破する決意を固めた。

 選挙の日が近づくと、三つ巴の戦いが展開された。現職のAIガバナー、都民がいないので何もしなくて良く、スマホでも運用可能な次世代AIガバナー、そしてブチャラティ村長がそれぞれの立場から #都知事 の座を争った。AIガバナーは自己投票で1票を獲得し、次世代AIガバナーも同様に1票を得た。一方、ブチャラティ村長は『東京ドイツ村』の村民から1000票を集め、圧倒的な勝利を収めた。

 元都民以外の各県の県民からは、AIガバナーは前任の #小池百合子 元都知事が実現できなかった公約の『待機児童ゼロ』『介護離職ゼロ』『満員電車ゼロ』『ペット殺処分ゼロ』『残業ゼロ』『ポイ捨てゼロ』『電柱ゼロ』を実現したことを高く評価する声もあった。AIガバナーの活躍により、 #都民ゼロ になってので、『 #電柱ゼロ 』以外は実現できて当然だが、AIガバナーは自分が使用する再生可能エネルギーを効率的に送電するために、東京中の電柱を撤去していたので、『電柱ゼロ』も実現できていたのだ。

再生の始まり
 ブチャラティ東京ドイツ村長の東京都知事当選により、『東京ドイツ村』が新たな #東京都庁 となった。エネルギー政策の見直しや都市インフラの再構築など、困難な課題が山積していた。ところが、膨大な電力を消費していたAIガバナーと、誰も都内に立ち入らないことを監視するための #住民監視システム の稼働を中止するだけで、大量の東京産の #地産地消 #再生可能エネルギー を、 #カーボン排出量 が多い神奈川県の川崎市と横浜市に販売して、東京都は莫大な #カーボンクレジット 収入を得ることができた。

 人口1000人の東京ドイツ村民にとって、2万円/t-CO2 * 3000万トンの合計で、年間6000億円の #炭素税 収は極めて大きく、東京ドイツ村民の一人当たりのGDPは6億円/年と、世界一裕福な東京ドイツ村民になることができた。これが所謂、 #地球温暖化利権 のカラクリであった。

つづく…

#武智倫太郎

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