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建物の記憶を真空パックするために

プロジェクトに協力してくれるパートナーを探すにあたって、建物とそこに暮らした私たちの思い出を記録するのだから、建築関係の人達に相談したいという想いがありました。

日本工業大学の勝木先生のことが浮かんだのは、かつてケアクリ会議に登壇していただいたときに「建築のハードではなくソフトの部分、特に建物の歴史や暮らした人の生活史に着目した研究をしている」というお話をしていただいたことを覚えていたから。

街や公共施設の風景を切り取る研究室

勝木先生に久しぶりにメッセージをして、zoomで想いを共有すると、話はトントン拍子に決まっていきました。

勝木研究室は、建築を考えるにあたって、建物そのものの価値や意味のほかに、その建物が存在する(した)時代背景や産業・文化にも目を向け、暮らす人・使う人の生活史やライフスタイルの把握にまで力点を置いてアプローチするユニークな研究室です。例えば…、

「進修館」プロジェクト
地域のコミュニティセンターを利用してきた人達の様子を、これまで撮影した写真やインタビューからあぶり出して、現代の風景に当てはめて再現するプロジェクトだったり


「京島をアルバムにする」プロジェクト
昔の写真を素材に、このまちに流れた時間やそこで生きた人たちの記憶を再生し、共有するプロジェクトだったり、


日常生活だからこそ、記録や記憶に残りづらい「まちの風景」や「そこで暮らした人の風景」を残すプロジェクトは、私がイメージしていた祖母の暮らした家や、そこで暮らした市井の人の記憶から記録に残すというものに合致しました。

メンバーは、プロジェクトリーダーに勝木研究室の卒業生の隂山さんを迎え、在学生の鹿野君が卒業論文としてこのプロジェクトに関わってくれることに。そして研究室の学生さんたちもスポットで手伝ってくれることになりました!

親族への説明と解体時期の延期

いそいで祖母の子供達(叔父2人と母)に合意を取り付けなければ。ということで、まずは長男である叔父に説明。ギャラリーを営む叔父のことだから、アートや建築といった領域には理解があるだろうと思って説明。なんとか、秋口に予定していた解体の時期を少し後ろに倒してもらい、プロジェクト発足となったのです。

でも、この時はまだ、親族一同「アイコは何をしようとしているのか?よくわかんないけど、とりあえず熱量高いから、賛同しよう」ぐらいだったと思います(笑)

つづく。


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