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エモーショナルな毎日ではない
そう、エモーショナルな毎日ではない。
なぜなら、心があまり動かないように注意をはらって生きているからだ。
貼れる予防線はぜんぶ貼る。あらかじめ心の防御水準をマックスまであげておく。
回遊魚のように生きている。
止まったら死ぬぜ、という心意気ではない、止まったらもう動けなくなるかもしれないからだ。わたしは容易にがんばることをやめる。
毎日ホットケーキを食べたいし、自分で焼きたくない。洗濯機をまわしたくないし、洗濯物もたたみたくない。文章を書かなくても会話で完了したい。
そして、できればこれから一生、
ほんの少しも傷つかないで生きたい。
心が傷つくのは当たり前につらい。
エモーショナルな毎日ではない。
できるだけそうしているからだ。
たとえば、知らない誰かがわたしを嫌いでも好きでもそれはどうってことない。できれば好かれたらそれは嬉しいけれども、個人的な好き嫌いはたいした問題ではない。
ただ、知らない誰かが生きづらそうな瞬間や、傷ついただろう瞬間、むりに笑っているもしくは笑わざるをえない瞬間、そういったものにたちあってしまうと、とたんに心が死ぬ。
エモーショナルな毎日ではない。
どうかしているので、
そう思っていないと息をするだけでも傷つく。
エモーショナルな毎日ではない。
明日もなにもなくて心は静か、明後日もおだやかに心は静か。
そう言い聞かせて思い込むくらの健気さを、わたしは自分にたいして許してあげてほしい。