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本屋さんは遊園地だと叫びたい話

660円で負の感情を購入。


思いのほか、時間ができまして。

語学やらいろいろ勉強してみたり、豆苗を食べて、育てて、愛でて、また食べてみたり、至極平穏。

なにより1番の趣味である読書の時間をとれるように。

ここ数日、本屋さんに入り浸っている。

図書館とわたしと母

バブル全盛期、わたしはお嬢さんだった。3万くらいするクリスマスにしか着ないセーターの記憶しかないんだけどお嬢さんだった。

そのバブルがはじけた後、わかりやすくジリ貧に。その時は子供でわからなかったけど、大人になって思い返すと、なかなかの貧乏だったと思う。
もやしの1円2円を気にする世界だったと思う。

亡くなった父は頭のいいひとだった。いい大学に行っていたらしい。
お酒ですべてをだめにしたろくでなしだけど頭だけはよかったから、わからないことを聞けばなんでも「答え」と「考え方」が返ってきた。
わたしがすこしだけ頭がいいのはそのおかげだと思う。

うちの母は賢いひとだ。勉強はからっきしダメだけど。
宿題は聞けなかったくらいダメだったけど賢かった。
そんな母は毎日わたしを図書館に連れて行ってくれた。
歩いてすぐの団地の中に図書館があった。
2階のエントランスに向かう階段、後ろに広がる公園、夕暮れ。
母は紙芝居や絵本が当たり前にそばにある環境をつくってくれた。

苦しい家計でも、本だけは惜しみなく買い与えてくれた。
わたしは3歳でひらがなとアルファベットの読み書きができた。4歳で世界の国旗と国旗のもつ意味、場所、首都、主要な産物が言えた。5歳である程度の漢字が読めた。
わたしの知能のピークは5歳だった。
でも、この人生で勉強に困ったこと、学ぶに躓くこともなく生きてきた。
それは母の作ってくれた環境のおかげだと思う。

空想シンデレラな小学生

小学校に上がるころには小説も読んでいた。
お友達はいたけど、怖かった。引っ込み思案の極みだった。
特に気の強い女の子が怖くて、いかにして存在感を消すかが重要だった。
ひとに嫌われないように、迷惑をかけないように、八方美人人生のはじまりだった。
そんなわたしも、空想の中では主人公だった。なんにでもなれた。
読んだ本の主人公になったつもりで通学路を歩く。授業を受ける。家に帰る。決して声に出すわけでも行動に出すわけでもない。空想に生きていた。
かといって暗かったわけではない。明るくなかっただけで。
ただ、姿のわからない不安にずっとさいなまれていた。

小6の時、お金持ちのお嬢さんのSちゃんにいじめられた。
危害を与えられるでなく、女の子独特の、順番にやってくる無視だ。
自分で言うのもなんだが、やっぱりその頃のわたしも頭がよかった。
中学受験を控える彼女より常に成績がよかった。気に入らないよね。
そして、わたしは泣かなかった
ひとりでいることになんら不都合がなかったからだ。
業間休みは教室で読書、昼休みは図書室へ行った。
図書室にはありとあらゆる本があった。
戦争の本を読んだ。宇宙の本も読んだ。三国志も読んだ。
スヌーピーとムーミンの本を全部読んだおかげで英語も覚えた。
「銀河鉄道の夜」の読書感想文で文科省の賞をもらった。
星新一さんとの出会いもこのころ。
小学校卒業とともに無視もなくなった。

太宰治との出会い

人生で唯一、本当に明るく元気だった中学時代。
この頃、大きな出会いがあった。

中2のときだった。国語の教科書に出てきた「走れメロス」
タイトルと太宰治の名前は愛読書の国語便覧で知っていいた。
初めての太宰に衝撃を受け、授業後に先生にほかに太宰作品を教えてもらいにいった。
そこですすめられたのは「女生徒」と「富岳百景」
(あまり理解されないんだけど、わたしにとって太宰は喜劇作家で、彼がいま生きていたとしたら、劇団新感線とかヨーロッパ企画あたりの本を書いてたんじゃないかと思ってる)
この出会いはターニングポイントになり、いわゆる純文学を経て、ミステリーやヒューマンドラマを読むようになった。
当時まだ新人作家だった真保裕一作品にハマっていた。
図書室にない本は古本屋で探した。
塾に行くわけでもなく、放課後は当時小学校低学年だった弟のご飯を作るだけの日々。
14歳でかぼちゃの煮物選手権をやったら優勝だったと思う。
学校の図書室、町の図書館で借りられるマックス冊数を借りて本を読む毎日だった。
極論であり、自論なんだけど、本を読んでいれば国語のテストならある程度点数がとれる。
だからこの数年後に導入された10分間読書はとっても理にかなってると思う。

本屋さんは遊園地

わたしにとって、本屋さんは遊園地
ディズニーランドより100%本屋さんにいるほうがいい顔してると思う。
個人的に好きな本屋さんを挙げてみたい。

3位 ブックファースト 六本木店(アマンドのとなり)
ブックファーストのよさは陳列のわかりやすさ。
中でも六本木店はすごく見やすく並べられていて、ほしい本にすんなり出会える。
店内はだいたいのブックファーストが白を基調としているのに六本木店はブラウン基調であたたかみがあるのが面白い。
新刊コーナーは標準的な平積み。実用書、啓発本はあまり平積みにしないので文芸書狙いのひとにはホッとできる。

2位 丸善 丸の内本店(オアゾ1~4階)
売り場が広い。とにかく見やすい。旅系の本や洋書も多くて見てるだけでも楽しい。
文芸書コーナーも意外な作家さんを平積みにしていたり、面白い特集を組んでいたりとこちらも新しい発見をもらえる。
文房具も売っていて、ついブックカバーとか手にとっちゃう。

2位 代官山蔦屋書店(代官山)
実をいうとここの陳列は本当に苦手。
出版社ごとの陳列に慣れてる昭和生まれには、おしゃれ蔦屋の陳列は本当にどうにも探せない。
以前同級生とここで物色してたのだけど、ふたりして全然探せなくて笑った。
でもそれをさっぴいても好きなのが代官山蔦屋。
ここの旅系のコーナーのわくわく感ったらもう・・・。
行く予定のない地のガイドブックとかつい買っちゃう。
基本的に文芸書しか読まないわたし。
ここに来たときだけはビジネス書も目に入る。代官山マジック。
絵本コーナーや画集のコーナーはそのコーナー自体がアート。
店内にスタバもあるし、近くにはお店がたくさんあるから食事をはさんで1日楽しめる、まさに遊園地。

1位 ジュンク堂書店池袋本店(池袋)
もう、ぶっちぎりの1位。ビルまるごと本屋さん。夢の建物
ここは2、3位と比べたら古い。年季の入った店構え。
でも、本当に本当に好きでたまらない。
ここの何が好きかというと、書店員さんの本への情熱、愛。
書店員さんが本当に本が好きなのが伝わってくるところ。
著者へのリスペクト、作品への愛情、「本」への愛。
リコメンドや陳列のそこかしこに、書店員さんたちの想いを感じる。
本が好きな人間からすると、同志に出会った気分になる。
あらゆるジャンルが愛とともに並べられている。
そこに世の中の流れまで感じられる
ここでは文芸書以外に歴史風俗史的な本も手に取りたくなる。
他の書店ではまずないこと。あと、話しかけちゃう。
そうすると、かなりの熱量で教えてくれるし、おすすめしてくれる。
ちなみに資格系参考書の知識がある方が多いから相談してみるとすごく親身になって教えてくれる。
ここで3~4時間くらい本を選んで並びのスタバや向かいのカフェドクリエで少し読み始めるのがとってもいい。
わたしはジュンク堂に行くためだけに池袋にいくこともあるし、
池袋で用事ができるとすこし早めに行ってジュンク堂に行く。
ほかの書店と確実に一線を画する存在。

ムスメも本が大好き。
本だけは惜しみなく買ってやることにしてる。
ムスメとは本屋デートをよくしている。

最近はいわゆるイヤミスが好き。
後味の悪いミステリー。
わりと女流作家さんに多い。
先日も真梨幸子さんの本を買った。660円。
読後感の悪いフィクションは、
空想に生きなくなった今のわたしの身代わり。

あぁ、ジュンク堂いきたい
だから電車乗れるようになりたい。


子供と美味しいお肉を食べる貯金にさせていただきますっ!!