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美術館さんぽ⑤ 出光美術館「出光美術館の軌跡 ここから、このさきへⅠ」

こんにちは、aicafeです。
40代、人生時計で14:00頃に差し掛かったところです。
これからの人生の午後の時間の過ごし方を模索中です。

久々の美術展に行ってきました!
出光美術館で開催されている、「出光美術館の軌跡 ここから、このさきへⅠ 復刻開館記念展ー仙崖・古唐津・中国陶磁・オリエント」展です。

「出光美術館の軌跡 ここから、このさきへI」展へ

出光美術館の入っている帝劇ビルが今年の12月を以て建て替えとなることから、出光美術館もしばらく休館するとのことで、この一年は出光コレクションの数々を展示する企画が目白押しとなっています。

今回の展覧会は、昭和41年に出光美術館が開館した時に開かれた開館記念展を復刻した展示になっています。

本年は、皆様をこの展示室へお迎えする最後の一年となります。その幕開けを告げる本展は、58年前の開館記念展の出品作品と展示構成を意識しながら企画されたものです。当館の展示室は、これまでにいくたびかの改装を経ているものの、部屋の配置や基本的なつくりを変えることなく、今日に至っています。ビルのワンフロアであることを忘れさせるような独特の展示空間はそのままに、開館記念展の会場を飾ったのは、仙厓(1750-1837)の書画、古唐津、中国の陶磁や青銅器、オリエントの美術でした。それらは、当館の創設者であり初代館長の出光佐三(1885-1981)が10代のころから蒐集し愛蔵してきたもので、それぞれの作品がたたえる飾り気のない美しさは、いかにも佐三の感性にかなうものといえます。

展示概要」より

展示会の構成は5部に分かれています。
  第1章 古唐津
  第2章 仙厓
  第3章 中国陶磁
  第4章 オリエント
  第5章 青銅器
わたしとしては、第3章の中国陶器や、第4章オリエントに関心を寄せていましたが、観始めると第1章から見どころが満載で惹きつけられました。

古唐津の質実剛健な風合いの魅力

写真を撮ることができなかったので文面のみになってしまうのですが、「古唐津」のよさは今回はじめて知りました。
以前なら「地味だな」と思って終わりでしたが、微妙な釉薬のかけ具合や火の入れ具合で変化する色味と柄に、いつまでも見続けていたい奥深さを感じました。

初代館長の出光佐三が愛用したという「絵唐津丸十文茶碗」は素朴な質感や簡素なデザインが味わい深く、主の手にしっかりと収まる感じがなんとも愛おしく感じられる作品です。

仙崖さんのユーモアの虜に

そして、「仙厓 義梵」、仙厓さんです。
江戸時代の臨済宗古月派の禅僧であった仙厓さんは、ユーモア溢れる洒脱な画風で知られる画家でもあります。
昭和初期には一時、仙厓ブームが起こり、多くの作品が発見されたとか。

その仙厓さんの一大コレクターが出光美術館の初代館長であり、出光興産を一代で築き「海賊とよばれた男」、出光佐三その人なのです。

「博多の仙厓さん」の愛称で親しまれている聖福寺の住持・仙厓(1750-1837)の禅画は、ほのぼのとした素朴な味わいがあります。「厓画無法(がいがむほう)」(仙厓の絵には法則がないこと)を宣言した仙厓の作品は自由な筆致で描かれていますが、その中に禅の教えが込められており、「仙厓くらい禅を書画の上に自由に表現し得る人はない」とも称されています。開館当初の仙厓室を飾った作品を通して、禅とは何かの問いに答えてくれる仙厓の書画をお楽しみください。

「最新の展覧会」第2章 仙厓 より

展示されている絵の中には、「○△□図」や、

指月布袋画賛」など、多数です。

絵を観ているうちに、ふわっと明るく、楽しくなるような心地になります。200年も前の絵なのに、現代にも通じるユーモアと、優しさと、描く対象への透徹した目線が時に垣間見え、仙厓ワールドに引き込まれるのです。
今後も、追っかけ決定!です。

その他のコレクションも素晴らしい

中国陶器オリエント青銅器のコレクションも素晴らしいものでした。
いつものシンガポールの博物館ガイド仲間と行ったので、時代背景と照らしながら作品鑑賞を存分に楽しむことができました。
青花、青磁、白磁、金襴手。
鮮やかで華やかな陶器たちの後に、
突如、紀元前4000年くらいの山羊の模様の素朴な器が現れたりと、時空が自在に縮むかような展示空間です。

皇居を臨むロビーで一息お茶を飲む

出光美術館には、ほっと一息できるロビーがあります。
こちらのサイトにその様子がよくわかる写真が載っています)
皇居を臨むその窓辺で、備えられたベンディングマシンから、ほうじ茶などのお茶を紙カップでいただき、しばし寛ぐことができるのです。
建て替えでこの空間もなくなってしまうのかと思うと残念ですが、最後の期間限定として楽しむのもよいものですね。
この先の展示企画も気になるものばかり。
12月の閉館までの間に、ぜひまた再び訪れたい美術館です。

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