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あとがきにかえて――「青く、きらめく」で伝えたかったこと。
【連載小説】「青く、きらめく」読んでくださって、ありがとうございます。
恋愛観も、育ちも違うカケル、マリ、美晴。三人の青春を三方向から描いてみたらどうか、というアイデアが生まれたのは二〇〇八年。ずっと眠っていた物語は、海辺の町に引っ越してきて、動き出しました。
しばらく創作からはなれていた私に、「今、住んでいるところを舞台に書いてみたら?」と友人が言ってくれたことがきっかけです。
この町に最初について駅から出たとき、海の方向から、ふわぁ、っと何とも心地いい風が吹いてきた。それと共に、自分の中に、ぱぁっと明るい何かが舞い上がった感覚を、今でも覚えています。
物語を書き始めるときに、いくつか決めたことがあります。
ひとつは、主人公である、特に三人を、愛すること。
そして、敬意を持って、決して傷つけないこと。
そのために、どういう言葉を選ぶのか、また、何を書いて、何を書かないのか、を考えて筆を進めました。
奥手な人にはその人なりの、一線を越えられない人にはその人なりの、愛が定まらない人にはその人なりの、みんな理由があると思うの。
それは、生まれつきの性質だったり、子どもの頃に傷つけられた夢だったり、誰かの心ない言葉だったり、育った環境だったり、その子自身にはどうしようもないことに起因するんじゃないかな、と私は思っています。それを責めたりする資格は、だれにもないんじゃないかな、とも。
「自分が 思うようになれない、 それが青春だ」
これが、構想に入る前のこの作品のキャッチコピーです。
最近、若い人たちが恋愛をしないといいます。
でも、傷やコンプレックスは持ったままで良くて。
なにか、足りない。自分は不完全だと思う。自分の中のコンプレックスに苦しんでいる。そんな自分が自分であることを受け入れると同時に、他人を認めて受け入れていくことの、尊さと、愛おしさ。
パートナーを求めていくことの意義は、そういうところにあるんじゃないかな、と思うのです。
結ばれる結ばれないは、別としても、きっと心を揺らした経験は、君を輝かせる。
だから、勇気を持って、恋に、また恋とは呼べないくらいの感情に、身を任せてみよう、と伝えたかった。
そして、人は、人との出会いや言葉がきっかけで、支えられたり、大きく生き方のかじを切ることがあります。
最終回で、カケルが美晴に言った言葉のように。けれど、その言葉は、もしかしたら、人に言っているようで自分自身にも言いたかったことなのかもしれない。
この長編を書き終わって二年が過ぎ、再編集した今、初めてそのことに気がつきました。
この物語が、とくに今の10代、20代ぐらいの若い子たちに届きますように!!
愛を込めて。
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