【連載小説】「緑にゆれる」Vol.70 第七章
気がついたら、朝だった。
初めての寝袋は、かしゃかしゃして感触がおもしろくって、もっと楽しんでいたかったのに、包まれたらすぐに眠りに落ちた。
隣の寝袋を見ると、空っぽだった。寝袋からはい出してテントから顔を出すと、海が朝の光を浴びて、きらきら光っていた。
「おはよう」
しゃがんで海を見ていたカケルさんが、振り返って言った。
「いい朝だ」
浜辺では、犬の散歩をしている人がいる。少し離れた小高い砂山の上で、ヨガのような体操をしている人もいる。ただぶらぶらと、歩いて