来年もまたここで。
―今年のお花見は控えましょう。
去年の賑わう花見の映像をバックに
注意を促すニュースキャスター。
映像を見ながら
うんざりとした顔で君が言う。
「今年の桜は今年しか咲かないのにね」
当たり前が当たり前じゃなくなった春。
気軽に外にも出れず、
テレビは「今日は○○人」の報道と
斜め上に推移するグラフばかり。
気分とは裏腹に、
降っていた雨がやんで
久しぶりの快晴。
「ねぇ、でかけようよ」
人が少ない所とか
外とか広い所ならいいんでしょ、と
服を選び始める。
車で向かうのは、
山梨県の「ほたる見橋公園」
赤い橋と桜。
小さな公園だけれど、
僕たち以外に人はいないようだ。
満開の桜の下ではしゃぐ君は
子どもみたいで、
桜に合わせて選んだ
ピンクのベレー帽がよく映える。
「来年もこようね」
来年はどんな春になるんだろう。
みんなで花見ができるだろうか。
普通の生活が恋しくなる今日この頃、
催花雨がもたらした満開の桜は
今日も僕らの心を躍らせる。
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