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小説「黒の悪魔が死ぬまで。」

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伝承『黒の悪魔と旅人と。』に出てくる”黒の悪魔”。 その、空想の産物だと思われていた”黒の悪魔”が …ある日、突如として、現実世界にーーー誕生した。 さっぱり読める、安心…
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第二章(新しい世界):第29話「紅の光の中で」

「…んっ…。」

頭が…ぼーっとする。

ここは…どこ、だ…。俺は…。

俺は…。

ーー『…戻ってこい、ヨウ…。』

ーーー『俺は、ずっと…。お前の、そばにいるから。』

…そうだ、俺は…あの時…、確かに…。

「…ア、オ兄…。」

まだ…ほとんど、無意識に。
ぽつりと、声に…出してみる。

そのまま、少しずつ覚醒してきた頭で…。
自分に起こった出来事を、思い返していく。

あの時…。

ブレイ

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第12話「昼食は前向きに」

「そうか、5時半に2人きりで会う約束をね。素敵じゃないか。」

ちょうどお昼どきだったので、座席数の多い、
大通りに面したお店に入った。

お互いパンに鶏肉を挟んだチキンバーガーを頼み

「チカラについての話があるって…
…変な誘い方、しちゃったんですけどね。

あ、でも!残るミッションは、いよいよ!
誕生日プレゼントを、買うだけですっ!」

注文の品がくる間に、
今の所の作戦は、概ねうまくいって

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第9話「双子のような」

ーー7年前。

生まれ育ったリビ山で【黒の誕生】に、巻き込まれ…
…俺はここ、ミタ山に移り住んだ。

今、歩いているこの道。
ジャアナの街に下る大きめの道から、森の中に分岐するこの細い道。

”ある人”に会うために…
…俺はこの道を、7年間で何度通ったことだろう。

「あっ!ヨウ、おはよ〜!今日も暑いね〜。」

その”ある人”こと。

”ヒマリ・プリマナ”は、
道を歩いてくる俺に気付き、笑顔で挨拶

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