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小説「黒の悪魔が死ぬまで。」

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伝承『黒の悪魔と旅人と。』に出てくる”黒の悪魔”。 その、空想の産物だと思われていた”黒の悪魔”が …ある日、突如として、現実世界にーーー誕生した。 さっぱり読める、安心…
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#戦闘シーンあり

第47話「新しい世界で」

「この肉…唐揚げって言ったか?

焼くのも良いけど…油で揚げてあるの、めちゃくちゃウマいな!

さすが、都会…!

俺の好きな食べ物ランキングが、今…入れ替わった…!

第1位、唐揚げ!!!」

俺の正面に座るノヴァン大先生が、

そう言って、嬉しそうに唐揚げを口に放り込んだ。

たぶん今ので…もう、10個は平らげている。

「うーん、俺は、肉なら…ハンバーグの方が好きだな!

パンに挟んで、バー

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第46話「決着は」

「…勅令…放棄、か。」

真っ白な短刀を、自身の左胸に刺したまま。

ノヴァンが…静かに、つぶやいた。

「ええ。

勅令を叫ばずに…チカラを、使わせてもらいました。」

ブレイズは、すでに短剣から手を離し。

少し離れた所で、短剣が刺さったままのノヴァンを、じっと見つめる。

そして…

「ホワイトノーブルで勅令放棄ができるのは…

…隊長3人と、限られた部隊長のみです。

あの日…

アオバ君

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第45話「ファンサービス」

ヨウの叫びが…

風に乗って、ほのかに、空気にとけて。

最強の2人がいる場所へ、流れてきた…その時。

その叫びを、知ってか知らずか。

2人の最強のうち、最初に動いたのは…

「いきますよ。」

ホワイトノーブル”最強”

ヒュー・ブレイズだった。

ーードガッ。ドガッドガッ!!

10本以上の氷柱が…
その大きさに見合わない、ものすごい回転とスピードで。

一直線に…ブラックアビス”最強”

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第44話「最強vs最強」

ーーードォォォォン!!

凄まじい衝撃音と爆風が…

2人の最強を、包み込み。周囲にも、伝わっていく。

すぐ横にあったブラックアビスの本部は、その衝撃を受けて…

窓ガラスは、全て吹き飛び。
頑丈そうに見えたコンクリートの外壁も…
今にも、崩れそうなほど、ガタガタと揺れ動いていた。

「くっ。

とにかくっ!僕たちは、ここを離れなければ…っ!」

サクヤ隊長は、そう言って、俺の右腕を掴み。

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第43話「希望の奪い合い」

「あ〜もう!

俺は、ちょっぴりすごいけど…別に”最強”だなんて、思ってないっての!

まあ、確かにちょっぴりは、すごいんだけどな!」

大先生は、色素の薄い、白っぽい髪をガシガシとかいて

「歳上を舐めやがって…あいつら、後で絶対シメる。」

言葉とは違って…いつものニヤニヤ顔で。

右手で作った拳を、左の手のひらに、パンっと打ち付けた。

「はぁっ。

シメるのは…っ。勘弁してほしい、ですねっ

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第21話「放棄したのは」

「もちろん、ヨウも一緒に。
ここで死ぬくらいなら…ホワイトノーブルに、協力するよ。」

アオ兄は、明るく大きな声で宣言する。

「ア、アオ兄っ!」

突然の流れに驚き。
勝手に自分の名前も出されて、さらに困惑する。

「なんでっ…。」

平気で…何の罪もない人も殺せる。
そんな組織に…さっきまで、怒っていたはずなのに。アオ兄は、本気で…?

「ヨウ…。シゲ叔父さんのことはもちろん許せない。
だけど

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第20話「白銀の世界で」

「話をしている間に、多少回復したでしょうが…。

…ここまで、日が落ちている状態では。

アオバ君も、もうそのチカラを…十分に発現することは、できないでしょう。」

「…それは、お前も…同じだろう?」

アオ兄は、負けじと言い返す。

「残念ですが…私は少し、”特殊”、なんです。
…陽が落ちても、さほどチカラは落ちません。」

ブレイズ隊長の左腕が、”いつもと同じように”輝いて…

「博識なアオバ

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第19話「正義の色」

「くそッ!勅令するーーリュウマ、分け与えよッ!」

叫ぶような、祈るような…そんな、アオ兄の勅令が、聞こえた。

あっという間にドラゴンのリュウマが現れ、

「バオオォ〜。」

俺の周り一帯に、深緑色の炎を吐く。

ーーー炎を受けた周囲の木々や植物は、勢いよく成長し。
後ろから走って追いついてきたアオ兄と俺を、すっぽりと覆う、大きなドーム状の盾になった。

ーードォンッ!!

「くっ。」

「って

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第18話「狂え」

「!?な、なんで…!?」

信じられない、信じたくない人物が。

木の陰から…ゆっくりと、その姿を現した。

「…ヨウ君まで、来てしまいましたか。
…これ以上、誰かを傷付けるのは、本意では…ないのですが。」

困ったような声色で話す人物。
その人物が、上品な仕草で指をパチンとならす。

それが合図だったのか、
彼の周りの地面に突き刺さっていた、”水色の”氷柱が、溶けて消えていった。

その人は…

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第17話「果たされない約束」

「だいたい…5時25分、ってとこか?」

このゆるいカーブの先、
森が少し開けた、広場のような空間があって。
その中央に、ヒマリと約束した…例の、”大きな切り株”がある。

天気は悪くないはずだが…
…ついさっき、ちょうどこの先から、
”落雷のような音と、空に黄色の稲妻”が、見えたばかりだ。

不思議と雨は降っていないが…山の天気は変わりやすい。
これから雨が降るとしたら、きっと最悪な告白になって

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