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フツーの女子大生が休学してまで「カスタマーサクセス」に本気で取り組む理由

 「仕事は一生続くもの。だから急がなくていいんじゃないかな、まずは大学を出てからでもきっと遅くないよ」――たくさんの人にそう言われてきました。たぶんそれって、とっても優しくて、とってもあたたかいアドバイスなんだと思います。賢い大人たちはみんな、若い頃もっと勉強しておけば良かったと、若い人たちにこっそり教えるものですから。

 でも私は大学を休んで、とあるITベンチャーの"カスタマーサクセス"の一員として働くことを選択しました。大学に戻るか? そんなのはまだわかりません。でも今は、最強のカスタマーサクセスチームを作ること、そしてカスタマーサクセスのプロになることに本気です。

 あらためまして、こんにちは! 自称 ”日本最年少のIT系カスタマーサクセスチームリーダー(*当社調べ)、あやなです。私は現在、秋田国際教養大学という大学に籍をおきながらも休学中。新宿にオフィスを構えるとあるIT企業のカスタマーサクセスチームを預かり日々奮闘しています。

 私の担当しているサービスの会員は、実に20万人。現在は、私を含め3名のスタッフで20万人の会員様からのお問い合わせ対応や新規企画の立案を行なっています。


 今回は 22歳で大学を休学して、うまれて初めて本気になった「カスタマーサクセス」について書きました。カスタマーサクセスってなに?って人、これからの進路に悩む学生さん、自分の人生ってこんなんでいいのかなー……とお悩み中のみなさんに届きますように!

そもそも"カスタマーサクセス"って?

 私が今働いているのは、カスタマーサクセスチーム。社内では CS と呼ばれています。CSという言葉を聞いて、一年前の私が思い浮かべるのは「カスタマーサポート」とか、「カスタマーサービス」でした。

 従来、「カスタマーサポート」というのは、企業におけるコストセンターというイメージのお仕事でした。とにかくコストをかけず、なんとかお客様の不満を処理するというのが古くからあるカスタマーサポート業務のイメージです。カスタマーサポートとは「必要経費を下げること」「苦情を処理して謝ること」がお仕事……そんなイメージが変わりつつある中で生まれたのが「カスタマーサクセス」という考え方です。

 カスタマーサクセスをどう定義するかは会社によって、流派によっても様々なようですが、私が今いる会社では「攻めの対応」「サービスのファンを作る対応」と定義しています。

 コストセンターから、プロフィットセンターへ。機械的に苦情処理をするだけではなく、どうしたらそもそも苦情が出ないか考える頭脳集団へ。お客様の成功体験を通して、サービスのファンを作る。それが私の考えるカスタマーサクセスのお仕事です。


私がCSになった理由

 マーケターになりたい、コンサルになりたい! そんな声はよく聞きますが、CS専任者になることを希望している人を私は知りません。今きっと、CSのプロとして働いている人は、なんらかの理由でCSに配属され、そこに面白さを見出した一部の人たちというイメージです。もちろん私もその一人でした。

 今の会社で働き始めたのは2017年の暮れ。入社当時、私はただの「カスタマーサポートのアルバイトさん」でした。憧れのオフィスワーク! しかも高時給! 誘い文句に食いついて求人に応募した結果、見事合格。当時会社には顧客対応のためのチームは存在せず、社員や社長がお仕事の片手間に対応をしていました。会社で初めての顧客対応先任者、それが私でした。

 休学して数ヶ月、やりたいこともなく、面白いこともなく、毎日実家でぐずぐずしていた私は、初めてやるお仕事に四苦八苦していました。就いた仕事のサービスはわからないことだらけ。理不尽なクレームへの対応、全然わからないお金のこと。最初は毎日泣きそうでした。どう返したらお客様が怒らないのか、黙ってくれるのか、そんなことばかりを考えて毎日毎日必死でメールを読み解きました。

 自分の対応の不備でお客様を怒らせてしまった時は、本当にお腹が痛くて会社に行けないかと思いました。そんなネガティブから抜け出せないまま、入社して三ヶ月。社長から声をかけてもらいました。

「よかったら社員にならない?」

 私はあくまでも大学を休学している立場です。いわば社会的サボタージュ。アルバイトを始めた時も、もちろん社員になるつもりは全くありませんでした。それに、その頃私は、カスタマーサポートとしてのお仕事につかれはじめていました。自分はたぶん、カスタマーサポートには向いていないんだ……その考え方を変えてくれたのが、カスタマーサクセスというアイディアだったのです。


"カスタマーサクセス"との出会い

 なかなか社員になるかどうか決めあぐねている私に、社長が教えてくれたのがカスタマーサクセス、という考え方でした。当時の私にとっては初めて聞く言葉でした。

「カスタマーサポートスタッフ、じゃなくて、”最強のカスタマーサクセスチーム”を作りたい」「目指すのは、年収1000万もらえるCSだよ」

 社長はそんな風に私に伝えてくれました。嘘偽りなく、私は衝撃を受けました。本当にそんなことできるの? ただのお客様対応ではだめなの? 考えながらいろいろなことを調べていきました。

 そうして初めて知ったのが、カスタマーサクセスの世界です。世の中には、誇りを持ってお客様への対応を行う人たちがいること。彼らは、ただ対応することではなく、お客様にとって最高の対応をするためのプロフェッショナルであるということ。機械的でなく、クリエイティブに働いていくこと。お客様のことを本気で考えて向き合うこと。そんな世界があるなんて、と私は本当に驚きました。

 カスタマーサポートは、決して給与の高いお仕事とは言えません。大きい会社のコールセンターは時給の安い地区に拠点を作り経営を回していくのが常識――そうです、アルバイトを始めた時の私は何一つ気づいていなかったのです。なぜこの会社のCSスタッフの時給が 高 い のか。そこには社長の目指すところが現れていたのだと思います。そのころから、私は頭をひねって考えるようになりました。

 どうしたらお客様がハッピーになって、サービスを好きになってくれる?
 そもそも問い合わせしなくてもいいように案内できたらいいな。
 お客様が安心して使えるような「攻めのサポート」ってなんだろう。
 ただ打ち返すだけじゃない、その先を考えてやってみよう。

 そんな考えから生まれたのが、私の仕事に対する、小さいながらも確実な矜持でした。たくさん頭を使って、たくさんアイディアをだす。自分はただロボットのように対応する文章を打ち返すためにいるわけではなくて、もっと世界を良くするためにこの仕事をしている、という幸せな自覚。

 苦しいのも、しんどいのも、全部自分の考え方次第だと気づいたのです。ただただ、今ある仕事に対して「難しい」「お客様を怒らせたくない」と思うか、「もっとよくしたい」「素敵なサービスだって思ってほしい」と思って仕事をするのか、それだけで世界が変わって見えました。

 メールを打ち返すだけじゃなくて、クリエイティブに。ただ言われたことに反応するだけじゃなくて、想像力をたくさん働かせて。できることはたくさんあるのに、それに気づかないふり見ないふりをしていたのは私だと気付き始めたのです。

 会社のカスタマーサポートチームの名前が、「カスタマーサクセスチーム」に変わって一ヶ月。私は社員になろうと決めました。


自分のキャリアに悩む人たちにこそ「カスタマーサクセス」

 休学、その選択によって社会のレールから外れてしまうことを一番恐れていたのは私でした。このまま大学に戻らなかったらどうなるんだろう。就職は? じゃあその先の結婚、子供はどうなるの? ……そんな不安の中で暮らしていました。それでもなんとか働いてみよう、動いてみよう、お金を稼いでみようと、たまたま選んだCSという仕事で、私は多くのことを学んでいます。

 元々の私の志望は、コンサルタントやクリエイティブな領域。もっと言えば「いつか起業したい」と高校生の時から言い続けていました。つまり自分の手で何か価値を生み出すことにチャレンジしたいと本気で考えていたのです。カスタマー"サポート"とは全然違う業界ですよね。でも今は、カスタマー"サクセス"のプロフェッショナルを目指して頑張っています。

 カスタマーサクセスのプロになるために大切なものは? と後輩に聞かれた時、私はいつもこう答えます。

読解力: お客様の要望、疑問、不満を正確に読み取る。
瞬発力:的確なお返事をスピーディーに導き出す。
想像力:お客様の立場に立ってより親切な対応を考える。

 この三つを兼ね備えている人が「カスタマーサクセスのプロ」です。私は、この三つの要素は全ての仕事を行う人にとっての基礎の力だと思っています。

 読解力と瞬発力だけでは、「ただ対応の早い人」。イレギュラーが起こった時の対応に心もとなさが残ります。瞬発力と想像力だけでは、「サービス愛の強い人」。読解力がなくてはお客様の要望を本質的に捉えるのは難しいのです。そして、読解力と想像力だけでは、「お客様目線の人」止まり。対応の早さだってサービスの一つなのです。全ての要素がしっかりと組み合わさってこその「カスタマーサクセス」だと私は考えています。

 こうも思っているのです。この三つの力さえあれば、多分どこでも生きていける! マーケティングを始めても、コンサルティングを始めても、営業をやっても、接客をやっても、エンジニアになっても、社長になっても。全ての世界に通じる、本当に大切な基礎の基礎が「カスタマーサクセス」の仕事には詰まっていると私は信じて奮闘しています。


「ふつーの女子大生」から「カスタマーサクセスの人」へ 

 カスタマーサクセスとしてのキャリアも、習熟度も、私はまだまだ道半ば。目指すところは本気で 年収1000万のCS です。

 大学生活にちょっぴり挫折して、しんどい思いをした勉強も全部全部一度投げ出して、流れ着いた先がカスタマーサクセスのお仕事でした。でもこれも何かの素敵なご縁、今は本当にこのお仕事が大好きです。

 結局、仕事に面白さを見出してクリエイティブに動いていくか、毎日毎日なんとか食いつぶして生きていくかは自分次第。私は「カスタマーサクセスの人」になる道を選びました。

 何をやりたいのかわからない人、何かを成し遂げたい人、クリエイティブでありたい人、ビジネスの基礎を学びたい人、人と関わるのが好きな人、新しいものを生み出したい人、世界を変えたい人。中卒でも高卒でも大卒でも既卒でも、17歳でも22歳でも40歳でも80歳でも、CSは誰でもできるお仕事です。

 誰でもできる、けれど「本気じゃないとできない」。そこに私は面白さを見出しています。きっとカスタマーサクセスの考え方は、私の人生の強い強い基盤になると思っています。

これからも本気のCS、やっていきます!

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