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【読書記録】日本酒と料理の素敵なマリアージュ『日本酒BAR「四季」春夏冬中』シリーズ

春夏冬中と書いて「あきない中」と読ませる、日本酒バー『四季』を舞台にした作品です。

作中に出てくるのはどれも本物の日本酒。日本酒に合う料理の提案もしてくれるおいしい小説です。
実家の酒蔵を飛び出した主人公の成長物語でもあり、楽しむところの多い作品でした。

日本酒BAR「四季」春夏冬中 さくら薫る折々の酒

実家の酒蔵を継ぐのが嫌で東京に飛び出してきた冴蔵(さくら)。行き倒れそうになっていた彼を救ったのは、夫を亡くし一人で『四季』を営む楓さんだった。もともとは日本酒バーだった『四季』を復活させるべくバーテンダーとして働きはじめた冴蔵だけど、昔からの常連客には反発され…。

利き酒師の資格はあるのに下戸の冴蔵は、持ち前の絶対的な嗅覚を使って日本酒と料理の完璧なマリアージュを提案していきます。
日本酒と料理の描写は読んでいるだけでしあわせな気分になります。

日本酒にまつわる物語ですが、出てくる人たちがみんな素敵です。
楓さんの夫だった青葉さんからの手紙が泣けました。店を切り盛りする楓さんの、ふんわりとしつつも芯が強い姿にあこがれます。

日本酒BAR「四季」春夏冬中 さくら咲く季節の味

実家からの承認ももらい『四季』に戻ってきた冴蔵。けれど近所にオープンした日本酒バーが『四季』に荒波を立てることに。冴蔵の元カノの出現で、楓さんとの関係にも微妙な変化が…。

大手の経営する日本酒バーが『四季』のライバルとして立ちはだかります。嫌がらせの口コミでお客さんが激減しお店は追い込まれていくのですが、物語はあくまでおだやか。インターネットに疎い二人が営む店だからか、ゆったりとした空気感は変わりません。
繊細な味を楽しむ日本酒バーならではの空気感なのかもしれません。

日本酒と料理のマリアージュもあいかわらずお見事です。
日本酒には詳しくないのですが、香りや味を想像するだけでほろ酔い気分になれますね。



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