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山田エズミ
2020年1月13日 23:23
山田一要という青年に出会ったのは、亮子が死んでから三年後のことである。 彼はおれに会うなり、持っていた携帯電話を投げつけてきた。何を考えているのだ、と思っていたら、彼を連れてきたキハチが大笑いした。「一要、幾ら嫌いだからって、ものも云わずにそんなことすんなよ」と云って彼を宥めている。訳が判らなかった。 キハチの『いわずもがな』という映画に出演する為の打ち合わせの席である。彼は二十才で、