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一要枠

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会社社長の令息で、最高学府を首席で卒業しながらも就職せず、ほぼ流浪の民と化す。それどころか思い入れる俳優に過激な行動を起こし、それでも何故か父の会社の本元である組織に居る女性と婚…
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もてあまして、わけがわからなくて

もてあまして、わけがわからなくて

 
 山田一要という青年に出会ったのは、亮子が死んでから三年後のことである。
 彼はおれに会うなり、持っていた携帯電話を投げつけてきた。何を考えているのだ、と思っていたら、彼を連れてきたキハチが大笑いした。
「一要、幾ら嫌いだからって、ものも云わずにそんなことすんなよ」と云って彼を宥めている。訳が判らなかった。
 キハチの『いわずもがな』という映画に出演する為の打ち合わせの席である。彼は二十才で、

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