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【小説】醜いあひるの子 #0話

瓶底メガネで地味な女の子、屋嘉比智風。苛められていた過去がある為、人と上手く付き合えなかった。しかし、高校2年生になりクラス長を無理やり押し付けられた上、クラスメイトの鮎川匠馬にプリントとノートを届ける仕事をさせられ約半年。徐々に鮎川と仲良くなっていくが、強引な彼と夕食を摂る羽目になる。
そしてある日、智風のバイト先が移転する事に。困っている智風を見た鮎川は『テストで勝負してくれたらバイト先を紹介してあげる。もし屋嘉比さんが負けたら君の処女を頂戴』と言い…。
本編30話+匠馬編17話+番外編


何時も猫背にして自分を小さく見せようと努力し、教室という空間で息を潜めて椅子に座り、一日を過ごす。

前髪の隙間から覗く世界はとても暗く、あたしの周りは無音に近い。

誰とも話さずに怯えて過ごす日々は何時になったら終わりを告げるのだろうか。

全て自分のせいだと分かっている。

内気な性格で自分から声をかける事も出来ない。

それが全ての原因だとも。

しかし、どう頑張っても無理な事もある。

それが余計に暗い影を落として、心を闇に落として行く。

あたしは醜いあひるの子。

誰にも相手にされず、独り寂しく死んで行くのだ。

物語のようにハッピーエンドなんてある訳ない。

それでも魔法をかけてくれる人が現れないか、と密かに夢見るあたしは醜いあひるの子。


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