優しい兄弟
何日か前から、嫁が頭が痛いと言い、耳の後ろから後頭部辺りを一生懸命揉んでいた。
電気が走るようにビリっとズキっと痛いのだそうだ。
私は個人的に、かなり前から筋膜リリース的なマッサージの仕方を勉強して、自分の腰痛や、肩や首凝りから来る頭痛を、それで治していた。
また、以前も何度か嫁の頭痛のために、肩、首、頭のマッサージをしたこともある。
マッサージ中は凄く痛がるのだが、翌日にはスッキリ治るので、いやいやながらマッサージを依頼される。
その日は嫁があまりにも頭が痛い、ということで子供たちが寝る時間の少し前に、布団の上で嫁のマッサージをした(いつもは子供たちが寝た後、ソファーの上でやっていた)。
盆の窪という後頭部の凹んだところから耳の下辺りまで、また首の筋肉は全体が、肩もあちこちかなり凝っていた。
凝っているということは、マッサージをすると痛いということである。
そして私のやり方では、うまくポイントにはまると電撃のようなものがビリビリと走るのである。実はそれが本当にいい場所に刺激を与えられている証拠でもあるのだ。
それをしていると嫁が「痛い!あぁ痛い!」「電気が、電気が!!」「ひえぇ~~!いだだだだーー!」と叫びまくった。
そしたら長男が突然駆け込んできて、
「もう止めて!止めてあげて~!!」
と泣き叫ぶのである。
ボロ泣きじゃないか。
いやいや、マッサージだから大丈夫だよ、と私も嫁も伝えたのだが、お母さんの「痛い」という声が不安にさせたようだった。
幾ら言っても泣き止んでくれない。
次男も「お父さん!」って睨みに来る。
おいおい、お父さんは悪者じゃないよ!
お母さんのマッサージをして良くしてるんだよ!
と言っても無駄であった。
泣き叫ぶ長男に負け、マッサージは中断した。
優しい子たちである。
しかし頑固でもある。
その優しさだけは忘れないで欲しい。
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