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農業に興味を持ったオランダ在住のソフトウェア・ハードウェアエンジニアと、プラント・サイ…

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農業に興味を持ったオランダ在住のソフトウェア・ハードウェアエンジニアと、プラント・サイエンティストがEUのアグリテックについて紹介(準備室)

最近の記事

アグリテックと農業用ロボット。サステナビリティと労働力不足の解消が鍵に。

現在の世界規模でのアグリテックのマーケットは7800億円。その中でオランダのマーケットは11.5%を占めています。今後オランダのアグリテックマーケットは2030年までに3倍の920億円から3200億円になると予想されています。 労働力の不足コロナの流行はまず労働力の不足が顕在化しました。ヨーロッパの農業は主に東欧からの季節移動の労働者によって支えられています。スキルと意欲のある労働者がCovidにより自国に戻ったことにより、さまざまな農作物の収穫では30%もの労働者が不足し

    • 農業用ハウスのモデル構築とシミュレーション

      農業用ハウスの様々な要因が複雑に関係していていますが、様々な農業用ハウスの素材や作物の組み合わせを複数シミュレートし効率が最大化するように設計するサービスが提供されています。 農業用ハウスのモデル構築にはどんな要素が関わってくるのでしょうか。 まず、植物の成長に一番重要な要素である、気温と湿度とCO2のデータ項目があります。 次に、グリーンハウスの外部の環境が、内部の環境に影響を与えるため外部のウェザーステーションのデータ項目があります。太陽光が多くなれば気温が上がり、

      • オランダの農業を変えたハウス内ヒートパイプレールの発明

        オランダのグリーンハウスの通路にはヒートパイプが引かれ、この上を様々な作業車が走るレールの役割も兼ねています。 世界中のグリーンハウスに導入されているこのヒートパイプレースシステム。50年前の1960年代のオランダ・ウェストランドで、トマト栽培農家だったゼグワード・ザープさんによって発明されました。 パイプレールシステムと、そこから生まれたパイプレールトロリーは、ハウス農業を大幅に変え、効率の向上、エネルギーと水の削減、作物の収穫量の増加、大幅な労働力の節約、温室の拡大と

        • トマト界のパンデミック

          私たちはCovidのパンデミックの世界に生きていますが、トマト、トウガラシなど、ナス科の植物にもウィルスが広がっています。 2014年にイスラエルで見つかったToBRFVウィルスは、人間には影響を与えませんが、植物の免疫系を弱らせて、病原菌の影響を大きく受けるようになります。数年前には南イスラエル全体のトマト50%を壊滅させるほどの被害が出ています。 このウィルスは昆虫や、人間、機械等を通して広がり、一度ハウス内で見つかると拡大し続け数週間で全ての植物に感染し、現在のとこ

        アグリテックと農業用ロボット。サステナビリティと労働力不足の解消が鍵に。

          オランダのハウス農業がざっくりわかる映像

          オランダの農業ハウスはびっくりするほど巨大です。九州ほどの面積の国に9600haのグラスハウスがあり、1農場あたりの平均グリーンハウス面積で2020年は5.7ha。2007年は2.6haなので13年で倍増しており、農場の吸収合併も進んでいることが分かります。 オランダのハウス農業がとてもよくまとまっているカルフォルニア大学農業研究部の映像がありました。どんな環境でどう作っているのかざっくり分かります。 日本国内の農業系スタートアップのニュースを目にすることが増えてきました

          オランダのハウス農業がざっくりわかる映像

          オランダ農業ハウスのセンサーとデータ

          オランダのハウス農業は世界一の高効率と言われます。これは緯度が高く、寒冷な気候で、冬場の日照量が少ないため、大規模なハウスを作り、熱、光、CO2等エネルギーを外部から投入し続けなければならない環境であることと、オランダ人の超合理的な気質が関係しているのかもしれません。 植物のストレスを最小限にし、できるだけ少ないエネルギーと労働力で最大の収穫量を得るために多様な分野の専門家が関わっています。 訪問させていただいたハウスは高さが7メートル。古いハウスは5mということですが、

          オランダ農業ハウスのセンサーとデータ

          はじめまして!

          初めまして。オランダに住んでいるソフトウェア・ハードウェアエンジニアです。農業に興味を持ち、オランダの大規模農場や、コミュニティファーム、ロボティクス、アグリテックの会社を訪れている中で、日本とはだいぶ違う環境で見ること聞くことが面白く、紹介していくためのノート(準備室)を立ち上げました。 ワーヘニンゲンでプラント・サイエンスを学んだオランダ人と二人で日本語の記事になっていない情報をお届けできたらと思っています。ぜひフォローお願いします!

          はじめまして!