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農業用ハウスのモデル構築とシミュレーション

農業用ハウスの様々な要因が複雑に関係していていますが、様々な農業用ハウスの素材や作物の組み合わせを複数シミュレートし効率が最大化するように設計するサービスが提供されています。

農業用ハウスのモデル構築にはどんな要素が関わってくるのでしょうか。

まず、植物の成長に一番重要な要素である、気温と湿度とCO2のデータ項目があります。

次に、グリーンハウスの外部の環境が、内部の環境に影響を与えるため外部のウェザーステーションのデータ項目があります。太陽光が多くなれば気温が上がり、光合成の量が増えます。ウェザーステーションはハウス外の日射量、外気温、湿度、風向と風速、雨量の計測をしています。

ハウス内では光量子センサー(PARセンサー)があり、光量から植物の成長に最適なCO2を供給します。

ハウス内にはヒートパイプがあり、上部と下部にある場合それぞれの流量と温度のデータ項目があります。パイプの径と長さから熱交換が計算できます。

ボイラーを稼働させる場合、熱だけでなく、CO2の供給をコントロールすることができます。

次に自然換気コントロールデータ項目があります。ハウスによって上部とサイドに稼働窓の換気システムがあり、モーターでコントロールされます。ウェザーステーションの外気温、風向と風量から開閉する窓の選択と量を計算します。この項目は気温と湿度に影響します。

グリーンハウス内の温度を下げすぎてしまうと、再加熱には燃料がかかりコストに直結するため、自然換気のコントロールは重要です。

次にスクリーンのコントロール項目があります。スクリーンはハウスの上部にあり、モーターでコントロールされます。様々なスクリーンがあり、夜間の温度を保つ、日射量の調整する等様々な役割があります。新しいハウスでは2層が主流で3層のグリーンハウスもあるようです。

次に人工光(イルミネーション)のデータ項目があります。オランダの冬は夏に比べ90%も光量が減少するため、ハウス内にイルミネーションをつけなければ作物の成長率はほぼゼロになります。

LEDのイルミネーションも増えてきていますが、まだHPSライトが主流です。オランダでは20:00から24:00はスイッチを切ることが法律で決まっており、違反すると大きな罰金が課されます。

植物モデルと、これら様々な情報、過去の気候データを入れることで、グリーンハウス内の環境の変化とエネルギー量をシミュレートすることができます。

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こちらはModelicaで定義されたグリーンハウス用ライブラリ「GreenHouses」。ベルギー・リエージュ大学のQueralt Altes-Buchによって開発されています。

トマトの植物モデル。

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モデルを構築して実際のハウス内データと比較して見ることから始めます。

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