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16歳 一人旅の思い出(伊東編) 2022年5月11日~12日

【前回のあらすじ】
2001年8月。高校1年の夏休み。アルバイトをして貯めたお金で、埼玉から盛岡に向かう。その日は岩手公園周辺を散策。翌日は小岩井農場で遊ぶ。夜に東京に戻り、巣鴨のビジネスホテルで就寝。

【5月11日】
疲れのせいか寝坊した。電車に乗り遅れるところだった。急いで支度して新宿駅へ。そこからスーパービュー踊り子号に乗車し、伊東で下車した。

砂浜で何時間も横になった。上半身裸になって、体を焼いた。日焼けしたらかっこいいだろうと考えてのことだった。

夕方、近くの銭湯に行った。予定になかったが、体がベトベトでどうしても入りたかった。銭湯がどこにあるかわからなかったので、近くの旅館の人に聞いた。

地元の人しか入らなそうな小さな銭湯だった。先客がいた。体中に入れ墨があった。体を洗う時に隣同士になった。そして話しかけられた。

「兄ちゃん、石鹸ないの?」と言う。私は「はい」と答える。「じゃあこれ使うといいよ」と石鹸を貸してくれた。そこから会話が弾んだ。

「どこから来たの?」
「埼玉です?」
「自転車で?」
「いや、電車です」
「でも真っ黒に日焼けしてるじゃない」
「ずっとそこの浜辺で寝てたんです」

その夜、3日ぶりに帰宅した。私はこれ以降、泊まりの旅行を一度もしていない。

ホテルでの一人の時間に魅力がなかった。何をして過ごしたか覚えていない。スマホもノートパソコンも持っていなかったから、たぶん本を読んで過ごしたのだろう。でも本などホテルに泊まらずとも読める。

子供の頃から行き慣れている祖父母の家でさえ、夜は落ち着かない。いつも自宅の自室で寝たい。旅にあまり向いていない人間なのではないかと思う。

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著者は1985年生まれの男性。 不登校、社会不適応、人付き合いが苦手。 内向型人間。HSP。エニアグラムタイプ4。 宗教・哲学(生き方)…

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