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歴代朝ドラレビュー(3) 2023年10月【9】

(2)はこちら。

マッサン(2014年度後期)
玉山鉄二が主演。男性が主人公の朝ドラは、95年度の「走らんか!」以来19年ぶりという。

広島県竹原市出身で、全編に渡ってその土地の言葉を話していた。それがうまいのか下手なのか、よそ者の私にはわからない。でも聞いていて心地よかった。ググってみると、地元の人も褒めているようだった。

主人公マッサンの妻エリーはスコットランド出身。彼女が文化の違いに戸惑い、奮闘するエピソードが多い。それはそれで面白いし、伝える必要性もあるとは思う。ただ比重が大きすぎる。

マッサンのモデルは、ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝。「日本のウイスキーの父」と呼ばれている人物だ。彼の活躍を物語の中心に据えるべきだろう。

それなのに、つまりマッサンの活躍が観たいのに、しばしばエリーの奮闘記が挿入される。15分あるなら、13分マッサン、2分エリーぐらいでいい。これが逆転している回がしばしばあるのだ。

マッサンのパートは面白くて、エリーのパートは退屈。その退屈なほうがやたらメインに来るので、残念な出来になってしまった。

あさが来た(2015年度後期)
これは素晴らしい作品。話は幕末から始まる。主人公あさ(波瑠)はお転婆少女。長じて敏腕経営者になる。

こういったタイプの女性は、男性社会への対抗心が前面に出がちだ。しかしあさにはそういうところがない。あくまで仕事に集中している。もちろん色仕掛けなどもしない。

女であることを武器にせず、性別にこだわらず、あくまでひとりの経営者として独立している。女性を軽視するような輩に会えば、行動で認めさせる。

夫の進次郎(玉木宏)、それから五代友厚(ディーン・フジオカ)が実に魅力的。少女漫画に出てくる理想の男性像だろう。しかし彼らはあくまであさを支えるだけ。

事業を発展させていく少年漫画的要素と、素敵な男性たちがサポートしてくれる少女漫画的要素がうまく融合している。だから男性でも女性でも嫌な気持ちにならずに楽しめるのだ。

ネガティブな部分としては、姉はつ(宮崎あおい)の存在。いかにも女性らしい女性。嫁ぎ先で夫にも姑にも冷遇されるが黙って耐える。私はそれが好きではなく、彼女のパートに切り替わるとイライラした。

家が倒産して百姓となり、そこからはしたたかな嫁となり妻となった。でも私は最後まで好きになれなかった。宮崎あおいさんについては「純情きらり」では夢中になったものの、ここではそうならなかった。

雁助や亀助など、使用人たちの恋愛も退屈だった。なぜかと言えば興味が持てないから。彼らが誰と一緒になろうがなるまいが、物語は進展する。それなのに長い尺を取るものだから、ウンザリした。

今回はここまで。次回以降、下記の作品について書く。

カムカムエヴリバディ(2021年度後期)
ちむどんどん(2022年度前期)
舞いあがれ!(2022年度後期)
らんまん(2023年度前期)

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著者は1985年生まれの男性。 不登校、社会不適応、人付き合いが苦手。 内向型人間。HSP。エニアグラムタイプ4。 宗教・哲学(生き方)…

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