福祉と援助の備忘録(28) 支援者の人間性の話
今回は、支援をする人の人間性の話だ。
支援する者とされる者との間の「よい関係」はラ・ポールなどと言う。フランス語とは、ずいぶんと洒落こんだものだ。でも語感に引きずられて難しく考える必要なんてない。「関係づくりは大事だよ」ということだ。
これは「支援者たる者、相手にやさしくして信頼されるべきだ」というあるべき論の話にとどまらない。現実的にラ・ポール形成は支援に役立つ。関係性がなければ、話もまともに聞いてもらえない。支援を受けてさえもらえないかもしれない。なんとか支援の体になったとしても、効果はひどく弱まる。まともな支援が成り立つのは、ラ・ポールがあってこそだ。
ではどうやってラ・ポール形成をすればよいのか。それをちょっと考えてみる。平たく言えば「仲良くなる」「友達になる」ということでしょ?
できれば早々に親しくなれたほうがいいだろう。じゃあ笑顔で明るく朗らかに挨拶だ。それから相手に関心を寄せて、簡単な質問なんかしちゃって、ちょっとでも返事を引き出せたら反応して、ベタ褒めする機会をうかがって……
……いや待て待て。それってなんか危ないぞ? この親しさって、アレとか、アレとか、はたまたアレと同じではないか。
そんな薄っぺらい関係性じゃないんだ。支援者にはもっと重み深みのある人間性が求められるんだ! 信用というのは口車で作る者ではない!!
じゃあ口車ではないとなると、なんなんだ。性格ってことか? なら支援者に必要な資質って、ほぼ生まれつきのもののようにも思えてしまうぞ?
先日ある事例検討会でスーパーバイザーが「支援者の人柄がすばらしい」と述べていた。だれに対しても言えそうな発言だなー、などと思ったがそれはいい。仮にそうだとしよう。でも事例検討って、支援策の良し悪しを考える場でしょ? これが人柄の話に還元されてしまうと、選択の余地がない。人柄が良かったからいいけれど、悪かったらどうしようもなかったの?
ここであえて対人支援ではなく企業マネジメントのドラッカーを持ち出そう。彼は「誠意」を重視した。それは訓練して得られるようなものではなく、持っていないそれを人が持つことは絶望的である、と言う。
……うーん、そうなのかもしれない。人望が薄く友達の少ない人は支援者には不向きかも?
Ver 1.0 2024/2/22
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