【#NIKKEI】ニトリの外食SPAは厳しいと思う

 記事の内容は、ニトリが外食に参入するというもの。食器や家具類を自社製品を流通させ、食材は現状は食品メーカーより調達、将来的には畜産などの生産まで手を広げるというもの。

家具事業の広告としては良い

 家具類というものは、展示だけでは使用感が伝わりにくいという部分は少なからずある。そのため、実際の使用場面を外食産業を通じて広告するというのであれば、十分に効果が期待できる。特にニトリ自体は認知度が高く、店舗数も多い。また外食産業はファミリー層との相性も良い。既存店の内部に出店したり、駐車場を利用することもできる。強みを活かすことで、使用場面と顧客の接点を確保することが可能である。

SPAとしての外食産業はリスクが高い。

 SPAとは製造小売のことで、開発・生産・販売・サービス、といったバリューチェーンを包括的に手掛けることで、様々な付加価値を創出する業態のこと。今回の記事で言えば、価格の低減、が目玉となる価値であろう。
 近年では、ユニクロを代表にアパレル分野のSPAが着目されている。しかし、アパレルと飲食では製造の費用構造が全く異なっている様に思う。アパレルの場合、製品の販売数に応じて生産することが可能であるし、製品自体の消費期限なるものはない。一方で、畜産関係の食品はそうはいかない。生産に関しては、牛の育成から始まるため、事前に生産量を消費量に応じてコントロールすることは難しい。また、加工などをして賞味期限を延ばせたとしても限界がある。
 このように、売上から逆算して生産可能なアパレル分野と生産して在庫を販売する外食分野では、外食産業の在庫リスクは高いのではないだろうか。

畜産分野を独立させる必要がある

 上記の厳しさは、畜産事業の販売先をニトリの外食店に限定した場合である。しかし、畜産事業の販売先を一般的な小売店、スーパーやショッピングセンター、にも広げることができるのであれば、在庫リスクは低減される。
 しかし、もう一つ問題が発生する。飲食店と店頭での価格差だ。飲食店は全てを自社で扱うからこその低価格が可能であるが、小売店で販売するとなるとそうはいかない。となれば、販売は期待できないだろう。もし、やや高級な肉を店頭では一般的な市場価格で、飲食店では低価格で、提供するとなれば付加価値として成立するのかもしれない。

まとめ

 もし、大量の在庫を抱える畜産分野を自社流通に限定して行うのであれば、将来の業績は非常に気になるところだ。競合の多い、レッドオーシャンの市場で畜産分野を抱え、SPAを外食産業を行うことは非常に興味深い。

#日経COMEMO #NIKKEI

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