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4つに分けて考えてみたこと

小学生から高校生までの選手達にサッカーを指導する際、試合において選手が見せるプレーについて、大まかですが下記の4つに分けて考えるのが良いのではと思っています。

・スーパープレー
・ビッグプレー
・ナイスプレー
・グッドプレー

この4つです。もちろんサッカーはもっともっと奥深くそしてカオスなものなので決してこれだけでは説明しきれないことばかりなのですが、とりあえず今回は、この4つのプレーにのみ言及していきます。

今回は「何をどう教えるべきか」ということではなく、選手が見せるプレーはほぼこの4つに分けられるということ、そしてそれについて指導者はどう振る舞うべきか、という観点です。

まず自分なりに、この4つのプレーを定義づけしてみました。

スーパープレー

誰が見てもわかるような派手なプレー。鮮やかな崩しのゴール、華麗なスルーパス、1v1での突破、強烈なロングシュートなど、サッカーを知らない普通のおじちゃんおばちゃんでもわかるような、印象的なプレー。
オーバーヘッド、ジャンピングボレー、股抜き、シャペウなどのアクロバティック系も、とりあえずここに含んじゃいましょう。

ビッグプレー

チームのピンチを救うプレー。GKのスーパーセーブ、相手のシュートに対し体を投げ打って防ぐプレー、抜け出した相手に対し諦めずに追い、ゴールを食い止め免れたプレーなど。1998年フランスW杯準決勝、抜け出したロナウドをひとり猛然と追ってシュートを防いだダービッツや、どんな試合でも、相手のシュートを何度でも何度でも懲りずに顔面ブロックする石崎くんなど。


ナイスプレー

サッカーを知らない人にはわからないような、地味だけど効果的なプレー。ボールをさわる前のちょっとしたステップだったり、さりげないリターンパスだったり、ボールがないときの動き出しのタイミングや、味方のために走る、気が利いた囮の動きだったり。守備時でも、ちょっとしたポジショニングの修正で相手のパスを潰してしまったり。位置取りの良さや味方との連携で相手のシュートコースを限定した結果、GKの正面にシュートが飛んでなんなくキャッチできたことも、一見さんには気づかれないようなナイスプレー。

例を挙げ出したらキリがない。
このような「地味でも光るナイスプレー」って、きっと他にも数多くありますよね。スーパープレーの前には、大抵この「ナイスプレー」が隠されているものです。

グッドプレー

倒れた相手を起こしてあげる、ミスをした味方を励ます、熱くなり抗議する選手とレフェリーの間に割って入る、試合後、相手を称える、決して最後まで諦めなかった姿勢、など⋯
プレーというよりも、人として求められる振る舞いのこと。

ざっとこんな感じ。
異論は認めますが、今の僕としてはとりあえずこの4つで精一杯なのでやっぱり異論は受け付けません。

このように、サッカーに存在するあらゆるプレーをある程度の解像度で分類しそれを定義づけして伝えることで、きっと選手達には整理された状態でスッと頭に入るだろうし、その伝え方次第では、頭だけでなく選手のマインドや心にも侵入し、そのハートを鷲掴みにできるのではとも思っています。それくらい、これらはエモーショナルな事柄であるとも思うのです。フットボールは、生身の人間がやるものですから。

いきなりさっそくですが、早くも結論に入ります(早い)
指導者ならばこの4つのプレーとどう向き合い、どう振る舞うべきか。

スーパープレー

そこに臆することなく挑むことができる雰囲気や空気を指導者がつくること。それが成功したら一緒に喜び、失敗したとしても、それにチャレンジした勇気を讃えるべき。しかしその反面、スーパープレーだけではフットボールは決して成り立たないということも、必ず並行して伝えなければいけないもの。この塩梅がとても繊細で難しいのだけれど、名将といわれる人は、ここのサジ加減の仕方が天才的なんだと思います。

ビッグプレー

それを実行した選手をとにかく讃える。それだけで充分。試合が終わったら真っ先に(なんなら試合中でも)抱きしめてあげましょう。「お前がヒーローだ!」と。

ナイスプレー

本日の主役。指導者は、ジュニア期からこの「ナイスプレー」をしっかりと伝えなければいけない。とかく派手なスーパープレーばかりが目立つものだし子どもやティーンエイジならばそこに走りがちになることも多いけれど、それをも許容しつつ、しかし。
決して目立たない地味なプレーの必要性を、指導者はちゃんと伝えること。なぜそれが必要なのか、なぜそれが「ナイスプレー」なのか。

他の誰もが見逃すような本当に地味なプレーでも、例えそれが報われなくても。あなただけは見逃さずに「◯◯、今のナイスだったぞ!」と叫んであげましょう。
それだけで、その選手は救われるはずです。

スーパープレーはできなくても、ナイスプレーならばできる。そんな選手も多いはず。そのチームの指導者、その子の親御さん、そしてチームメートだけは、そこに気づいてあげなきゃ。ご自身なりの「ナイスプレー」をたくさん見つけ、そしてそんなナイスプレーをした選手を、めちゃくちゃ褒めてあげて下さい。

グッドプレー

これは、伝えるというよりも指導者自身が普段から身をもって手本とならなければいけませんよね。指導者の振る舞いを、子どもや選手達はしっかりと見ています。

ナイスプレーを続けることでスーパープレーやビッグプレーの呼び水となり、グッドプレーを積み重ねていくことで、人からの信頼や運を引き寄せることができる。自分はそう思っています。


以上です。いろんな意見があっていいと思います。だからこそ、フットボールは面白くて奥深く、そして永遠にわからない。

最後にもう一つ
どんなプレーであれ、人の胸を揺さぶり心を動かす「エモーショナルプレー」があることも、ここまで書いて思い出しました。

結局、これが一番大事で尊いものなのかもしれないですね。


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