旅にスマホは欠かせないが、とんでもない罠にハマることもある-GoogleMapsには気を付けろの巻

先日、仕事で北陸方面に出張した。
富山・石川・福井の3県を4泊5日で横断したのだが

スマートフォンという名の、この通信機器を備えた小型コンピュータにどれだけ助けられたことか。

いや助けられただけではない。必要以上に私を振り回してもくれたのだ。

初めての場所に行くのに、今やGoogleマップは必須である。私はiPhone11Proを使っているのだが、位置情報をオンにしておきさえすれば、何の目印もない民家のど真ん中にあるようなところにさえも、実に正確にナビゲートしてくれる。

行き先までの最短ルートを提示し、そこまでの所要時間を算出し、ご丁寧に周辺のおすすめスポットまで紹介してくれるのだ。

何を今さらわかりきったことをと思われる方もいるかもしれないが、まあ聞いてもいたい。



スマホが存在しなかった20年前、私たちは初めて訪問するような場所にどのように行っていたのだろうか？

今ではそれすらよく思い出せない。

がしかし、パソコンはすでにあったわけだから、（インターネットによるものだったかどうかは別として）パソコンを使って何かしらの地図を打ち出してはいたのだろう。

そう、紙で。

そこにボールペンで目印になるものをチェックしたりして、それを見てウンウン言いながら、どうにかこうにかその場所にたどり着いていたか、あるいは道に迷った場合は人に聞いたりしていたのだろう。


今では全く、そのような不便さとは無縁になった。やはりテクノロジーの進化は素晴らしい！と関心している。

しかし、先日の出張で福井県を移動していたおりに、とんでもない罠にハマってしまったのだ。

福井県越前市にある「越前武生駅」に降り立った私は、早速Googleマップを開いて顧客先を検索しようとした。


と、その時…


Googleマップにやたら目立っている食堂があるのに気付いたのだ。


オレンジ色の文字で、吉田食堂と。

地図の周りに何もないなだけに、吉田食堂はやけに目立っていた。

吉田というありふれた苗字、そして食堂という何の洒落っ気もないネーミング。ここの店主は間違いなく吉田さんだろうし、食堂は食堂以外の何ものでもない。そう、ご飯を食べさせてくれるところだ。


ちょうど昼前だった。顧客先の訪問までにはまだ時間はたっぷりある。


この食堂に行くしかない、と私は思った。
だいぶ歩くようだが、タクシーに乗るのはちょっとはばかられる。乗るのはいいが、吉田食堂の前で降ろしてもらうのが恥ずかしかったからだ。


なので歩いた。
目印になるものは何もないが、Googleマップがあれば見落とすこともない。



途中、こんなレトロでカッコいい看板をいくつも見かけた。（ただし看板だけだ。お店はもう営業していない）

そうか。越前は刃物の街だったんだなあ。
ここでまたスマホを出して検索。今ではこんな感じだが、なんと南北朝時代から700年も続く伝統工芸の街であったらしい。

歩くこと30分。
11月の中旬だったが、ひたいにほんのり汗をかいてきた頃

ようやく吉田食堂にたどり着いた。

えっ⁉︎

並んでるの？

お店の前に、土木作業に従事されていると思しき方が4人ほど立って待っている。

そんなに人気のあるお店なのかと思い、またスマホで検索。タワーのようなソフトクリームが有名な店らしい。

いやいや俺はアイスなんかじゃなくて、飯を食いに来たんだがと思ってブログなんかも調べていると、オムライスがおすすめとある。しかもけっこう量が多いと書いてある。

前日まで富山と石川で海鮮ばかり食してきた私の胃は、こういうのを無性にほしがっていた。

昭和風の、素朴なケチャップご飯が食べたい！
オムライスだ。これにしよう！

10分ほど待ち、おばちゃんが引き戸をガラガラと開けてと中に入れてくれた。

席数は多くないが、ゆったりしたスペースでテーブルが置かれていて、清潔感のあるお店だった。

メニューも見ずに「オムライスください」と私は言った。

周りのお客を見回すと、ラーメンを食べている人が多いようだった。素朴な醤油味の中華そばだった。

オムライスがきた。

ビックリした。

写真ではそこまで分からないかもしれないが、どう少なく見積もってもご飯3膳分はある量なのだ。

うまかった。
でも量が多過ぎた。

なんとか腹に詰め込んで、お会計は800円だという。

「あれは大盛りですか？」とおばちゃんに聞くと、あれで普通なんですよー。うちは量が多いのでと言われる。


吉田食堂、恐るべし。

重い腹を抱えながはまた30分以上歩いて、顧客を訪問した。もう少しで遅刻するところだった。

旅にスマホは欠かせないツールだが、便利だからといって（調子に乗って）その誘惑に負けてはいけないという話を今日は書いた。

これは一般論かもしれない。が、やれやれだ。