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【ABA子育て入門#2】保護者の健康を優先する

概要:ABA(応用行動分析学)は子供の行動を理解し、形成する上で大きな効果を発揮する方法として注目されています。この方法の中心には、「保護者の心身の健康が第一である」という、シンプルでありながら奥深い真実があります。この記事では、ABAの子育ての複雑さを掘り下げ、この行動戦略を成功させるために保護者の健康が果たす重要な役割に焦点を当てます。負の強化にありがちな落とし穴、しっかりとしたサポートシステムを構築することの重要性、そして子供にとって積極的な強化子を育てる環境を育みながら保護者自身の健康を守るためにできる実践的なステップについて説明します。ABA子育ての難しさとやりがいをナビゲートし、応用行動分析学の原則を通して保護者のスキルアップを目指す方への洞察とガイダンスを提供します。


あなたがとても忙しい時や疲れている時に限って、子供がわがままになったり、怒って泣いたりと困ることがありますよね。辛いものです。

ABAで解説:子供に怒りをぶつけることが癖になるメカニズム

怒っても解決しないことがわかっていても、感情的になって子供に怒りをぶつけてしまったり、思わず叩いてしまうこともあるかもしれません。気をつけなければならないのは、このような行動は習慣化しやすいことです。

負の強化

我慢して我慢して苦しくなった自分の感情を一気に子供にぶつけることで、一時的にスッキリすることがあります。これをABAでは負の強化と言います。

負の強化とは、不快な状況下である行動をすることで、その不快が取り除かれると、また同じ状況下で同様の行動を繰り返しやすくなる(行動が増える)ことです。

また子供があなたに対してぐずったり、駄々をこねたりしている時に、あなたが感情的に怒ってしまった場合、今度は子供が泣き始めるかもしれません。泣き出すことで、ぐずったり駄々をこねる行動がやむため、鬱陶しい行動が止まります。ただし、これは子供があなたに叱られ、学習した結果、駄々をこねるのを辞めたわけではなく、単に泣く行動と駄々をこねる行動を同時に実行できないため、一時的に行動が止まっているだけなのです。

その理論はどうであれ、あなたが感情的に叱りつけた直後に、鬱陶しい子供の行動が止んだ、という経験をしてしまったため、これもまた負の強化となってしまいます。そして、今後も似たような状況で感情的に子供に怒りをぶつける行動を取りやすくなってしまいます。

このように気付かないうちに2種類の負の強化を同時に受けているため、あなたの子供への怒りをぶつける行動は強く強化されてしまいます。
この事実に気付かないまま、なんの手も講じないままにしておくと、虐待にまで発展していってしまう恐れがありますから、注意が必要です。

対処法

このような状況への対処法は、ABAの育児法(ペアレンティング)を知ることで、根本的な解決をすることができます。しかしここまで追い詰められてしまっている状態ですと、まずは親自身のメンタルヘルスを向上させることが最優先となります。

サポートシステムの構築

まずは、家族、友人、または専門的なサポートグループとのつながりを持つことが重要です。一時預かりなどを利用したり、託児付き育児セミナーなどに参加して、自分の悩みを相談したり、共有したり、子供を一時的に預かってもらいながら自分の時間を持つことが大切です。

もちろん、心理カウンセラーや行動分析士などの専門家の助けを求めることも一つの方法です。

これらの対処法を通じて、親は自身の感情をコントロールし、子供に対してより積極的で肯定的な育児を行うことができるようになります。親がメンタルヘルスを維持することは、子供の健全な発達にとっても非常に重要です。

ABA育児法を学ぶ

親に少し心身のゆとりが出てきたら、ABAの育児法(ペアレンティング)を少し学んでみませんか?子供の行動や自分自身の行動のメカニズム、親子関係の行動力学を知ることで、より自分を客観的に観察でき、理論的に子供と関わることができるようになります。そのような思考の習慣をつけることで、感情的な判断をすることが減り、より前向きな問題解決をすることができるようになってきます。

最後に

子育てには、保護者の心身の健康が最も重要です。子育ては非常にやりがいのあるものですが、困難で精神的に負担のかかるものでもあります。保護者にはゆとりやサポート、ストレス解消が必要です。疲れやストレスが溜まっている時は、子供との関係も難しくなります。保護者自身の心身の健康が、効果的な子育ての礎であることを認識することが、子供が育つ環境を育む第一歩です。

ABAを学んだり、新しい育児法を試したりすることが負担に感じられる場合は、一旦立ち止まって、自分を支え助けてくれる人を探すサインです。家族、友人、専門性、支援グループに助けを求めてもよいでしょう。セルフケアの時間を取ることは、自分勝手なことではなく、必要なことなのです。

ABA育児は、家庭をイライラしたり叱ったりする場所にするのではなく、子供を励まし導くような、正の強化に満ちた家庭環境を作ります。そのためには、保護者の幸福を第一に考え、知識武装することにより、単に負の強化を避けるのではなく、子供と幸せで理解し合える関係を築けるようになります。

次回は、ABAの観点から子供の不適切な行動のメカニズムについて掘り下げてみたいと思います。

ABA育児法を学ぶ今の一歩が、あなたと子供たちの素晴らしい未来をつくることにつながるのです。


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