「遊んでばっかり」と聞くとどこか否定的に聞こえますが、子供の遊びは、単なる娯楽にとどまらない、教育と発達に欠かせない要素です。幼少期は、読み書きの能力、観察力、批判的思考など、その後の人生の成功に不可欠なスキルの基礎を脳が身につける重要な時期です。子どもたちは遊びの中からこれらすべてを学びます。
以前、私のブログ記事では「危険な遊び」「自然の中での自由な遊び」の利点と必要性について探ってきました。
今回は、「感覚遊び(Sensory Play)」の重要性について掘り下げていこうと思います。
感覚遊びとは?
感覚遊びは、子供の感覚(触覚、視覚、嗅覚、味覚、聴覚、固有感覚、前庭感覚※)を刺激する遊びのことです。安全で対話的な方法で子供たちが周囲の世界を探求し、好奇心を刺激し、学ぶ機会を提供することを目的としています。水遊び、砂遊び、粘土遊び、フィンガーペインティングなどが一般的な感覚遊びの例であり、子供たちの認知的な発達や細かい運動能力、感情の調整にも役立ちます。
感覚遊びの役割
感覚遊びとは、自閉症などの感覚処理障害を持つ子どもたちのための遊び、療育方法だと思っている人もいるかもしれません。しかし感覚遊びは、全ての子供にとって有益であり、感覚を効果的に使うことを学ぶのに役立ちます。
感覚遊びが大切な理由とは?
子供の感覚を刺激する遊びが、なぜ子供にとって大切なのでしょう?理由をいくつか挙げてみます。
1. 脳機能の発達
脳は、神経細胞(ニューロン)とそれらの間をつなぐシナプスと呼ばれる接合部から成り立っています。感覚刺激を受けたり、新しい経験をすることによって、脳の神経回路が活性化されます。これにより、ニューロン同士のコネクションが増え、強化されるのです。
2. 感覚の統合
感覚遊びをすることで、子供は環境からの感覚情報を処理し、統合することができるようになると、効果的に反応することができるようになり、その環境にうまく適応することができるようになってきます。
3. 運動スキル
ほとんどの感覚遊びには、体を動かす要素も含まれています。
4. 言葉の発達
感覚遊びは、子供が経験していることを表現する機会を提供します。自分の気持ちを言葉で表現したり、出会った色や形、手触りについて話したりすることで、言葉やコミュニケーションのスキルが向上します。
感覚遊びを通して、子どもは物事を説明することを学び、想像力を働かせて物語やアイデアを生み出すようになります。
5. 社会性
感覚遊びは社会的な活動です。感覚を刺激する遊びを通して、あらゆるレベルの子どもたちが環境や子ども同士と関わり合います。
五感を刺激する遊びは、子どもたちが感じたことを、お互いに伝え合うきっかけになります。
子どもたちが一緒に遊ぶことで、材料を共有したり、協力し合ったりしながら、社会的相互作用と協調性を促進します。これによって子供たちは、共有すること、順番を守ること、効果的にコミュニケーションをとることを学びます。
6. 感情の調節
子供たちは、感覚遊びで「癒し」を得ています。
感覚遊びは、子どもたちが夢中になって心地よさを見いだすことで、エネルギーレベルを調節し、自己を落ち着かせることを学ぶのに役立ちます。このような利点は、神経質になっている子供にとって役に立ち、リラックスするのに役立ちます。
7. 認知能力の向上
感覚遊びは、認知能力の発達に多くの貢献をもたらします。認知能力は、論理的思考、問題解決、記憶、注意力など、知的なスキルを含む能力を指します。以下は、感覚遊びが認知能力を伸ばす方法についてのいくつかのポイントです。
まとめ
感覚遊びは子供の認知能力の発達に重要な役割を果たします。感覚遊びは子供たちの感覚を刺激し、興味を持ちながら自己のペースで学び取る能力や認知的なスキルを向上させることができます。
具体的には、子供たちが実際に手を動かし、探検したり、問題解決をしたり、実験をしたりすることによって、認知の発達が促進されるのです。また、感覚遊びによって微細運動や粗大運動のスキルが向上し、子供たちの運動能力も発展します。
さらに、感覚遊びはリラックス効果やセラピー効果を持ち、子供たちの感情調整やストレス軽減にも役立ちます。
感覚遊びは知識だけでなく、学んだことを実践する能力も育みます。子供たちが感覚遊びを通じて、学びに対する興味を高め、自ら学び、探求する喜びを見出すことができるでしょう。
したがって感覚遊びは、子供の認知能力や運動能力、感情調整能力を発達させる重要な手段であり、子供たちの成長と学習に欠かせない要素であるということです。
References