ヤンキー嫌いの僕が元アウトローの社会起業家と組んで非行少年を肯定しようとしている話
僕はヤンキーが嫌いだ。
『嫌い』というより、『関わりたくないと思い、避けながら生きてきた』と言った方が正しいかもしれない。
僕の地元は田舎で、田舎の若者はオタクかヤンキーと相場が決まっている。
そしてオタクはヤンキーに虐げられながら青春時代を過ごす事が多く、逆の現象は聞いた事がない。
僕はどちらかと言うとオタク側だったが、たまたまヤンキーのいない進学校に入学したため平和な学生生活を送る事ができた。
でも、学校外の付き合いだったり街中だったり、どこかでヤンキーにエンカウントしないよう注意を払って生きてきた。
大学に入るとヤンキーはその気配さえなくなった。それは会社に入っても同じで、順当にいくとこの先ヤンキーによる直接的な被害を受ける事は無いだろう。
報道されるいじめ事件
それでもいじめというものを忘れる事はできない。テレビやネットでは不良少年によるいじめがニュースに乗る。
そういった報道を見ていると、ほんの少し人生が違っていたら、僕も同じようにヤンキーにいじめられる日々を送っていたのかもしれないと思う。
そして同時に考える。
もしその場に自分が居合わせたら、被害者の子をどこまで守ろうとする事ができただろうかと。
これは何も僕のような人間に限った話じゃない。
荒れた学校に赴任した先生は、強弱の差はあれど否応でも同じような世界を目にするだろう。
それこそ親であれば、ヤンキーである自分の子と向き合い続けなければならない。
でも、学校の先生や親のような人達の中で、目の前で繰り返される悲劇を止められるほど強い人は稀だ。
karma（かるま）という人物について
ここからは、僕が組む事になったkarmaという人物について話したい。
・腕に刺青
・最終学歴は小卒
・少年院入所歴有り
・各種依存症経験
何というか、ヤンキーを通り越してアウトローという形容の方があてはまりそうだ。
そしてkarmaの歩んできた人生も、一人の人間に収まりきらない程に劇的なものだ。
幼少期には親の虐待にあい、入所した施設では苛めも受けた。非行を繰り返し、薬物を含め様々な依存症を経験した。（余談だが、karmaと言う名前の由来は過去に犯した罪を背負って生きるという意味だそうだ）
解離性障害を持ち、何度も自殺未遂をしている。5階から飛び降りた事もあり、クレンザーをまるごと飲んだ事もある。
あらゆる薬物をミックスし、オーバードーズして3ヶ月間ICUに入っていた。その際に初期発見が遅れた為に左足が麻痺。これは今も完治はしていない。
レルモワイエ症候群、ベーチェット病等の難病を患い、過食症と拒食症を今でも繰り返している。
2人の発達障害児の母であり、シングルマザーとして仕事と子育てを両立させていた。
LD（学習障害）のため算数がほぼできない。
言語系IQ140のギフテッドではあるが『2E』と呼ばれる、二重に例外的な異才でもある。
荒れた学校にはしばしばこういった『負のタグ』を背負った子どもがいる。だが、それらをここまで詰め込んだ人物はいないんじゃないだろうか。
karmaの活動
karmaに肩書きをつけるなら社会起業家だ。フォトグラファーとして人間の持つコンプレックレックスをアートに昇華した作品を発表している。
他にも篠崎のカフェ『ごちゃまぜcafeメム』の経営者という側面もある。
メムは言うなればインクルーシブカフェだ。マイノリティもマジョリティも、文字通りごちゃまぜになれるサードプレイスを目指している。
マイノリティの中には障害者・LGBTQ・難病罹患者もいる。メムに来れば社会課題のほとんどを網羅できると言っても過言じゃない。
負の連鎖を止めるため
これはkarma本人のツイートだ。
もうこれ以上痛みを繰り返さないために、私たちは連鎖を断ち切る必要がある。いつまで茶番を傍観するんだ？ほんの少しでいいんだ。ほんの少しの変化があれば、それが無かった場合とは、その後の状態は大きく異なる。バタフライエフェクトぶちかましていこうぜ。無駄なことなんかひとつも存在しねぇよ。
— 👁️🗨️ 𝚔 𝚊 𝚛 𝚖 𝚊 🎗 (@k6rm6) July 21, 2019
いじめは確かに悪い事で、罰されるべきものだ。
でも、罰する事は目的じゃない。いじめが生まれる構造、親を含めたその世界にいる全ての人達にある負の連鎖を止める必要がある。罰はあくまで抑止力にしかならず、人間がいじめに向かう気持ちを根絶する事はできない。
karmaの目指すもの
karmaはこの負の連鎖を止めたいと思っている。
非行という非行を経験し、この世界の闇を見てきたからこそ伝えられる事がある。
karmaは非行少年を『更生』しようとはしていない。むしろ、非行少年たちを肯定している。
非行という行為自体は止めさせたいと考えているが、少年たちの存在そのものやマインドについては肯定している。
そういった大人の存在が、少年たちにとってのセーフティネットになると考えているからだ。
自己紹介
最後に、僕についても少し話しておきたい。
僕の名前はトキオ。
大手企業で会社員をしながら、不思議なきっかけでkarmaのマネージャーをする事になった。
先述の通り、僕はヤンキーが嫌いだ。
それでも、非行少年を肯定する事で負の連鎖を切る事ができるなら、それを試してみたいと思っている。
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