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「近年、発達障害者が増えている」と言われる理由の私なりの一つの仮説。


ADHD_noteです。


今回は、「近年、発達障害者が増えている」と言われる理由の私なりの一つの仮説を書きたいと思います。

私が思う仮説は、
ここ数十年間の ”働き方” の変化です。


1990年代~2000年代くらいまでの約20~30年の間、
バブル不況をきっかけとした長期間の不況について、

失われた20年、あるいは、失われた30年と言われています。


ちょうどその間に、高卒、専門短大卒、大卒となる年齢だった方は、不況のために企業が新規採用数を狭めたり、見送ったりするため、それまで日本の雇用形態で一般的であった”正社員などの正規雇用”として働くことが難しいという傾向にありました。(ちなみに私もその一人です。)

このような社会情勢になると、フリーターや派遣、契約、嘱託など、一年単位での雇用契約での就労を余儀なくされる(つまり、雇用の調整弁的な雇用形態での働き方を選択するほかない)方が多くなります。
(ちなみに私も一時期、その一人でした。)

こうした雇用形態では、1年~5年で労働契約を終了される場合が多く、企業側としては、「この人達をいつまで使おうか」、もしくは、「この人達は、ある日突然辞めるかもしれない」などということで、ある程度決まった定型業務だけを行わせざるを得ない状況が多かったことが想定されます。
(実はこれ、発達障害当事者からすると特性に合った働き方と思います。)



少し話は脱線しますが、

私が実際に経験した、印象に残ることがありました。
ある日、「バブル時代」に入社した世代のお偉いさんが(あえてどの年代かは言いませんが、、苦笑)、「あと10人くらい増やせばいいんじゃない?」「もう半分は要らない。20人残せば十分。」などと、人を”能力”ではなく、あくまでも”数”として管理していたことでした。

もちろん資本主義社会ですから、効率化のためにそうした仕事が必要なことはわかります。

私が言いたいことは、”自らが偶然生まれた年代が、就職する時期の年齢になった時の社会情勢に恵まれただけ”という、いわば、ほぼ "運" としか言いようがないだけの理由で安定した職に就けた、と言う事実を棚上げして、そうでない世代には、やれ「派遣に甘んじている奴は無能」だとか、「正社員で働けない奴は能力が無い」、「根性が無い」などと批判をしているだけの人には、もう少し想像を働かせられないだろうかなぁと強い嫌悪感や憤りを感じるということです。
ここ数年、ようやく正規雇用とその他の雇用形態との格差是正、同一労働・同一賃金などの法整備が進みつつあり、以前より多少は改善している(ましになってきている)と思いますが・・・。


さて、話を戻しまして、、

実際に私も働いた経験がありますが、派遣の雇用形態では1年~5年程で職を転々とするということはめずらしくなく、必然的に働く場所が多くなる(=働く現場、一緒に働く人は、短期間に増えつづけることになる)ため、

発達障害当事者が派遣会社と契約してから、現場での契約解除(プロジェクトの終了など)までの期間(数か月~数年の間)では、発達特性を気づかれる(あるいは本人が気づく)間もなく、現場が新しくなったり、契約そのものが終了する
のではないか?と推察されます。

ここ数年(特に昨年のコロナ禍以前までは)、労働関係の法改正によって、たとえば「紹介予定派遣」など、最初は派遣契約でも、その後の正規雇用への登用が前提として採用されるなど、

労働関係の法改正から見ても、以前のような働き方、
”長期的な雇用関係”への原点回帰に進む傾向でした。


私はこの傾向は、日本社会全体から見れば、良いことだと思いますが、発達障害当事者に限ってみれば、すべてがプラスとは言えない気がしています。

それまでフリーターや派遣・嘱託などの雇用形態で働いてきた発達障害を持つ人たちが、突如”正規雇用”として新しく採用されることには、次のようなさまざまな問題が生じると考えられるからです。
(一部、私自身の経験を踏まえて書いています。)


・仕事の仕方、考え方の違い。
(自分が社員である=会社のために働く一員である。という考え方を受け入れなければならないこと。)


・周囲の社員との関係性。
(特に、高卒や大卒と同時にストレート入社した同年代との関係では、20代半ば~後半で中途入社すると、ストレート組は既に職歴が5年や10年の中堅社員となっていることがあり、どうしても考え方に違いが出る。いわゆる年下の上司など。)


・発達障害者自身の(まだ、その時点で気づいていない)障害特性と、仕事上でのギャップなどの困り感。


本人は「正社員になれた!!」などということに気を取られ、発達障害に気づいていませんが、仕事のなかで小さな一つ一つのことに違和感を抱くようになり、毎日の業務で徐々に徐々に、じわじわと心身を蝕まれていきます。

数か月、数年経ったころに、ついに心身が限界となり身体を壊し、休職や退職に至るなどし、結果、心療内科や精神科をたずねて障害が発覚する。


私は、このようなケースが多くなっていることも、近年発達障害と診断される人が多くなってきているのではないか・・・?と思うに至りました。

以上は、あくまでも私なりの一つの仮説です。


この考察は、あながち間違ってはいないのではないかと思っています。


普段から書いていることの繰り返しとなりますが、
どのような障害があるにしても、無いにしても、それぞれが自身の能力を発揮しながら社会に貢献し、それに応じて生活できる以上の十分な対価を受け取ることができる(企業側から見れば、十分な給与を支払うことができる)社会の実現を、心から願います。


ちなみに画像は、今後も新しく見つかるなどで、ある程度増える予感・・・的な画像。

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

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