2019年8月の記事一覧
【掌編小説】 シュガートレイン
シュガートレインが渚を走る。
ジョイント音を立てて、黒煙を上げて、刈り込んだばかりのサトウキビをのせて走る。
シュガートレインは村々にあるサトウキビの集積場をまわっている。サトウキビを積んだ貨車を拾って、製糖工場まで引いていく。
三人の少年たちが、龍のように長くなって走るシュガートレインを追いかけている。
機関士のおじぃが、汽笛を鳴らして彼らを威嚇する。
少年たちがシュガートレインの貨車に飛
【掌編小説】 掃除しない清掃員
その細い遊歩道には、せせらぎと、清掃員の口笛が流れている。
歩道と小川は曲がりくねっていて、それらが交差する場所には、飛び石、または可愛らしい太鼓橋が架かっている。小川にはメダカやドジョウが泳いでいて、そしてその小川の下流には、大きなサガリバナの木が一本立っている。サガリバナの木のその佇まいは、休息を取っているようにも、あるいは恋人が来なくて待ちぼうけているようにも見える。
サガリバナの