【連載小説】 Adan #31
はじめてのアルバイト〈12〉
「もちろん冗談だって分かってたよ!」と僕は聖良ちゃんと正人くんに向かって叫んだ。「君たちの冗談を真に受けるっていう僕なりの冗談だったんだけど、分かりづらかった? こんなの冗談に決まってるじゃないか! レインボー・アフロでエアロビクスウェアをまとって、おまけに紫色のローライダーに冗談ではなく本気で乗っていたら、そいつは変態だよ!」
僕が嘘をついてしまったのは自己防衛を任務とする自嘲部隊の働きによるものと考えられる。嘘をつき、恥の上塗りをする。