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奈倉有里 著,「夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く」(イースト・プレス)の感想

奈倉有里 著
夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く(イースト・プレス)の感想(上から目線ですみません)
202206291351 

 どこでこの本を知ったのか今一つ覚えていないのですが,ラジオ番組で紹介されていたのかも知れません。本来はネットで注文するのは好きではないのですが今回は本屋さんが遠い(あるいは在庫がない)の理由でインターネット通販で購入しました。
 結果を先に述べれば買って読んで良かったです。私はロシア文学あるいはウクライナ文学は全くわかりません。またこれを読んだからといって「それらを知った,わかった」などと言うつもりは全くありません。しかし奈倉さんの文学に対する考え方やその前の外国語(ロシア語)習得の方法と熱意は大変興味深く,強く私に伝わって来ました。家の中にある家電製品(ヘアドライヤー)にまで単語を書いて覚えるというのは,それくらいしないと外国語の習得が出来ない,という一例かも知れません。若い時に何かに熱中してそれが相当程度・人並みを遥かに超えていくとこのような文章が書けてロシア文学研究者(翻訳者)になれる,ということなのでしょうか。

 文章はほとんど全体が平易な書き方をされているので,文学に興味のない方でも抵抗なく読めると思います。単にロシア文学の話(だけ)ではなく留学当時の学業・政治情勢・市井の人々の状況が垣間見られてそのことだけでも旧ソ連やロシアを理解する手助けにはなると思います。

 確か作家の高橋源一郎さんがおっしゃっていたことだと思うのですが,彼がこの本を「小説みたいだ」と(ポジティブに)評価していたようですが,私はそれはあまり感じずに極めて優れた随筆だと感じました(上から目線ですみません)。きっと何かの(ノンフィクション関係の)賞を受賞されるような作品だと信じています。

 この程度の感想しかここでは記せませんが,ご興味の持たれた方は一度手に取って読まれると良いと思います。

A. J.

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