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「教育の経済格差を容認している保護者が増えている」という衝撃の事実

ベネッセ教育総合研究所の「学校教育に対する保護者の意識調査2018」の中で、「教育の経済格差を容認している保護者が増えている」とも読み取れる衝撃のデータが公表されています。※p14「教育格差に対する意識」のページ

質問の内容は「所得の多い家庭の子どものほうがよりよい教育を受けられる傾向をどう思うか」というもので、この質問に対して、「当然だ」「やむをえない」「問題だ」と解答した保護者の2004年から2018年までの推移は、

「当然だ」    3.9%(2004年)⇒ 9.7%(2018年)

「やむをえない」 42.5%(2004年) ⇒ 52.6%(2018年)

「問題だ」    50.8%(2004年) ⇒ 34.3%(2018年)

となっています。

数字だけ見ると「当然だ」と答えた人は5.8%、「やむをえない」と答えた人は10.1%も上昇しています。「教育の経済格差が起こることは仕方ない」と考えている人が年々増加していることが分かりますね。。。

このような結果になっているのはどのような心理が働いているのでしょうか?

京都大学名誉教授であり「教育格差の経済学: 何が子どもの将来を決めるのか (NHK出版新書)」の著者である橘木 俊詔さんは上記の結果について次の3つの仮説を立ててます。


第1は、日本人の親は自分の子どもだけに関心を持っていて、他人の子どもはどうでもよいと思っている可能性である。あるいはそこまでではなくとも、社会全体の子どもまでは関心がほとんど及んでいないことが考えられる。
第2は、親の所得の多寡にかかわらず、能力の低い子どもにいくら教育投資しても、学力が高くなって有能な人に育つことはないと信じている人がかなりの割合でいる可能性である。
第3は、所得の低い親は自分が生活のために働くのに一生懸命にならざるをえず、子どものことまで考える余裕がないということである。


いずれにせよ、この傾向、個人的にはかなり危険だと思っています。

データは2018年でコロナ渦以前のもので、ある程度所得のある人間からすれば所得の低さによる教育機会の損失は「対岸の火事」でした。

しかしコロナ渦による度重なる企業の倒産、大量の人員削減のニュースが毎日流れる中で、まさしく「明日は我が身」の時代に突入しています。

予想と大きく反する異常事態が起きた時、子ども達の教育機会を少しでも維持するためには「社会全体で教育格差を是正しよう」という意識が絶対に必要です。

次回の調査の時コロナ渦を経験した人々が、どのような解答をするのか非常に興味が湧くところです。教育格差を無くしたいと考えてくれる人が少しでも増えていることを願います。

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